イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

あいみょん「いちについて」ショート動画公開から想起した、動画再生指標の不安定について

昨日スタートしたドラマ『19番目のカルテ』(TBS)の主題歌を、あいみょんさんが担当しています。

一方で、公開された動画の概要欄には『※YouTubeでは7月22日(火)23:59までの期間限定公開!』と記載されています。

あいみょんさんによるショート動画の公開から想起したのが、音楽チャートにおける動画再生指標の強くなさでした。この克服なるか、注目しています。

 

 

あいみょんさんの代表曲の中で、ショート動画が先行で公開されたひとつの例として「裸の心」が挙げられます。

「裸の心」はドラマ『私の家政夫ナギサさん』(TBS)主題歌として2020年5月1日にデジタル先行、同年6月17日にフィジカルリリース。上記ミュージックビデオはフィジカル発売に合わせて公開され、デジタル先行のタイミングでは下記”short movie”が公開されています。なおショート動画は現時点でも公開され続いています。

あいみょん「裸の心」(2020)におけるビルボードジャパンソングチャートのCHART insight、初加算時からの60週分を上記に掲載。こちらは有料会員が確認可能なもので、20位未満の指標順位も明示されています。なお、ビルボードジャパンでは有料会員が知り得る情報の掲載を許可しています。当時はルックアップ(CHART insightではオレンジで表示)およびTwitter(水色)も加算対象となっていました。

ショート動画公開の段階では動画再生指標(赤)が300位前後を推移していた「裸の心」において、ミュージックビデオが公開されると動画再生指標は100位以内に上昇。しかし安定傾向が強いはずのこの指標が乱高下を続けたのみならず、2020年10月21日公開分で加算対象となる300位を割り込むと、翌年2月10日公開分までほぼカウントされないという状態が発生していました。

 

この動画再生指標の乱高下という現象は、現在も続いているとみられます。

ビルボードジャパンのソングチャートとアルバムチャートを合算したトップアーティストチャート、有料会員が確認可能な直近60週分のCHART insightをみるとあいみょんさんの動画再生指標は動きが激しいと言える状況です。あいみょんさんは2025年度ビルボードジャパントップアーティストチャートで7位に入っていますが、他の歌手と比べて動画再生指標に波があり、同じ接触指標のストリーミング(青)と大きく乖離しています。

上記は2025年度上半期のビルボードジャパントップアーティスト、上位6組の直近60週分におけるCHART insight。back numberの接触2指標における乖離は目立つものの、あいみょんさんほど大きくはありません。そして今年度上半期のこのチャートにおける構成6指標の順位からも、あいみょんさんの乖離が目立つことが解ります。

ビルボードジャパンによる2025年度上半期トップアーティストチャート、上位20組については各種チャートをまとめた記事にて構成6指標の順位を記した表が掲載。以下にその表を貼付します。

表ではフィジカルセールスが黄色、ダウンロードが紫、ストリーミングが青、ラジオが黄緑、動画再生が赤、カラオケが緑で表示され、各指標100位までの順位が掲載。ソングチャートは6指標、そしてアルバムチャートはフィジカルセールス、ダウンロードおよびストリーミングの3指標が加算対象となります(アルバムチャートでは昨年最終週以降、ストリーミング指標が加算されています)。

 

 

動画再生指標未加算の原因として、同指標のカウント対象となるISRC(国際標準レコーディングコード)が動画に付番されていないことが挙げられます。YouTubeアカウントでは音楽パートナーがこのコードを付番可能であり(下記リンク先)、また後からでも付番はできるとのことで、ビルボードジャパンはその徹底を呼びかけています。

YouTubeについて

(中略)

YouTubeの再生回数では上位のはずの楽曲が入っていないのはなぜですか。

YouTubeで表示されるのは全世界のユーザーによる累計再生回数です。ビルボードでは毎週月曜日から日曜日の日本国内再生回数を抽出し、他の指標と同じく約300位までの楽曲で合算し、個人向け「CHART insight Pro」では100位までを表示しています。ランクインしていないのは、ウィークリーでの国内における再生回数が圏外であったか、ISRCを動画アップロード時に付番していないか、の理由が考えられます。私達は後者の理由の払拭を目指し、各社様に今後も引き続き呼びかけを続けていきます。

あいみょんさんの作品における動画再生指標は、ともすればISRC未付番以上の理由があるのかもしれないと思うほどに乱高下の状態が続いています。歌手(の運営)側はISRC付番状況について注視することは勿論のこと、付番していても未カウントが続くならばビルボードジャパンやYouTubeに対し見直しの働きかけを行うことも重要と考えます。

 

 

最後に。あいみょんさんの新曲「いちについて」のショート動画が削除される予定と知り、ショート動画で満足するユーザーが少なくないことが削除予定の背景にあるのではと感じた次第です。フルバージョン動画やストリーミングへの誘導が歌手側における課題ですがそれと同時に、ビルボードジャパンにおいては公式発のショート動画をソングチャートに取り込むべきかを議論することが求められるでしょう。