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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

Apple Music開設10周年に伴い再生回数上位500曲が発表…日本の楽曲の動向等注目点を挙げる

Apple Musicの開設10周年を記念して、このサブスクサービスで最も聴かれた500曲が今月発表されました。”10 Years of Apple Music: Top Songs”と題したプレイリストはこちら。

 

”10 Years of Apple Music: Top Songs”で首位を獲得したのは、エド・シーラン「Shape Of You」(2017)でした。ブログ執筆時点でミュージックビデオが65億回再生を突破していることもあり、納得の結果といえるでしょう。

一方、トップ10ではヒップホップが過半数を占め、ドレイクが客演含め3曲ランクイン。そのドレイクは、500位までに最多28曲を送り込んでいます。カントリーでも活躍するポスト・マローン、またトラヴィス・スコットやフューチャー等が10曲以上入っており、ヒップホップの強さが目立つ状況です。

その中にあってエド・シーラン「Shape Of You」が最も聴かれたのは、ヒップホップ的なアレンジの存在も大きいかもしれません。日本でも大ヒットしたこの曲については、過去のブログエントリーにてヒットの理由を分析しています。

 

 

さて、日本でもサービス開始10周年を迎えたApple Musicですが、グローバルチャートでは日本の楽曲の上位登場も少なくありません。結果、今回紹介された500位までのうち日本の楽曲は10作品ランクインしています。

<”10 Years of Apple Music: Top Songs”にランクインした日本の楽曲>

 

・91位 YOASOBI「夜に駆ける」(2019)

・147位 優里「ドライフラワー」(2020)

・199位 Official髭男dism「Pretender」(2019)

・275位 Vaundy「怪獣の花唄」(2020)

・291位 YOASOBI「アイドル」(2023)

・363位 あいみょんマリーゴールド」(2018)

・415位 YOASOBI「群青」(2020)

・428位 Official髭男dism「Subtitle」(2022)

・440位 Mrs. GREEN APPLE「青と夏」(2018)

・471位 King Gnu「白日」(2019)

”10 Years of Apple Music: Top Songs”にはYOASOBIが3曲、Official髭男dismが2曲ランクイン。他方、K-POP歌手においてはBTSが唯一複数曲を送り込んでいます(34位に「Dynamite」、252位に「Buttter」が登場)。韓国におけるApple Musicのシェアが高くないことを踏まえれば、その状況下でBTSが複数曲を送り込んでいることは見事といえるでしょう。

 

なお日本の楽曲では、2017年度ビルボードジャパンソングチャートを制した星野源「恋」、および2018年度、2019年度の双方で首位の米津玄師「Lemon」が今回の500曲に含まれていません。これは星野源さんのサブスク解禁が2019年8月、米津玄師さんが2020年8月だったことが影響しており、仮に日本の音楽業界が総じてデジタルに前向きだったならば日本の音楽作品のグローバルにおける存在感は高まったことでしょう。

 

 

”10 Years of Apple Music: Top Songs”にてマライア・キャリー「All I Want For Christmas Is You (邦題:恋人たちのクリスマス)」が100位にランクインしたことに、個人的には注目しています。

1994年リリースのクリスマスソングは当時米でフィジカルシングル化されず、フィジカル未リリース曲のチャートインが認められない当時のチャートポリシー(集計方法)に伴い同年の米ビルボードソングチャート入りは叶いませんでした。しかしデジタル時代になりその存在感を高めた「All I Want For Christmas Is You」は2010年代後半以降毎年首位に立つようになり、現時点では歴代3位となる通算18週の首位を獲得しています。

マライア・キャリー「All I Want For Christmas Is You」が米ビルボードソングチャートを制するまでについては、上記エントリーで紹介しています。ストリーミングを味方につけたのみならず、マライア側の施策の巧さも影響していることが米ビルボードソングチャートのみならず、今回の”10 Years of Apple Music: Top Songs”にも表れたといえるでしょう。

 

 

”10 Years of Apple Music: Top Songs”からは様々な発見が得られるはずですので、是非チェックすることをお勧めします。米ではストリーミングの鈍化が指摘されていますが、次の10年でどのような曲がヒットしていくか楽しみです。