日本時間の昨日発表された最新6月28日付の米ビルボードソングチャートでは、コールドプレイ「Sparks」が93位に初登場を果たしています。
.@coldplay's "Sparks" debuts at No. 93 on this week's #Hot100, 25 years after its release.
— billboard charts (@billboardcharts) 2025年6月23日
Details: https://t.co/tQbtT4K1Md
上記動画は2019年のライブ映像ですが、「Sparks」は元々2000年7月にリリースされたファーストアルバム『Parachutes』の収録曲であり、リリースからおよそ25年を経て米ソングチャート100位以内に初めてランクインした形です。
上記ポストにあるように、コールドプレイ「Sparks」のソングチャート初エントリーについては記事化されています。今回はこの記事を意訳し、「Sparks」上昇の要因を探ります。
タイトル:
コールドプレイの曲が、リリースから25年後に初めてHot 100にランクインした理由
(2000年にリリースされた「Sparks」が93位に初登場、何が起こったのか。)
過去にリリースされた作品(カタログ)のどれが流行し、バイラルな瞬間を迎えるかは誰も予測できません。
ケイト・ブッシュの「Running Up That Hill (A Deal With God)」が『ストレンジャー・シングス 未知の世界』シーズン4での使用を受けてリバイバルしたり、ニルヴァーナによる隠れた名曲(ディープカット)「Something In The Way」が『バットマン』のおかげで注目される等、映画やテレビ番組で注目を集めたという明確な理由を指摘できる場合もあります。もしくは、クリスマスやハロウィンの時期にその定番曲が復活するのも恒例となっています。
他にもフリートウッド・マック「Dreams」やフェティ・ワップ「Again」が、TikTokのようなユーザー生成コンテンツアプリによるバイラルヒットのおかげで(それぞれ2020年、そして今年2月に)ソングチャート(Hot 100)に返り咲いたように、少し予想外の形で復活を遂げることもあります。
その最新のケースがコールドプレイによる25年前の作品、「Sparks」です。
2000年にリリースされたデビューアルバム『Parachutes』に収録された「Sparks」は、最新6月28日付米ビルボードソングチャート(→こちら)で93位に初登場。コールドプレイが6月6~7日にラスベガスのアレジアント・スタジアムで公演を行った後、TikTokでのストリームが急増。バイラル的にブレイクしたことが再注目の要因です。
この公演のタイミングは、フロントマンのクリス・マーティンが長年のパートナーであるダコタ・ジョンソンと破局したと報じられた時期。ライブにて「Sparks」が演奏された際に広くシェアされたTikTok動画では、マーティンが"And I know I was wrong / But I won't let you down"と歌いながら、目に見えて感情的になっているように見受けられます。この瞬間がファンの琴線に触れ、「Sparks」は記事執筆時点までにTikTokで50万以上のクリップを記録しています。
@diana2rad_ Homie is heartbroken 😭💔 #coldplaylasvegas #alliegantstadium #coldplayconcert #sparkscoldplay #chrisanddakota #dakotajohnson #chrismartin #chrismartincoldplay #coldplayconcert #coldplayjune6 #fypシ #foryoupage #foryoupage❤️❤️ #coldplaylasvegas2025 #alligantstadiumcoldplay #chrismartinanddakotajohnson #fyp #coldplaysparks ♬ I know I was wrong - Diana🌙 ・コールドプレイ「Sparks」が使用されたTikTok動画一覧
ルミネイト社によると、コールドプレイ「Sparks」の米におけるオンデマンドストリーミング数は以下のように推移しています。
5月23日~5月29日 300万回
5月30日〜6月5日 320万 (前週比5%アップ)
6月6日〜6月12日 480万 (同48%アップ)
6月13日~6月19日 570万 (同18.5%アップ)
アルバムからシングル化こそされなかったものの、「Sparks」は長い間ファンのお気に入りとして、またコールドプレイによるセットリストの主役として愛されてきた作品であり、2005年には映画『ウェディング・クラッシャーズ』のワンシーンに用いられ話題になったことも。2020年には、米ビルボード編集部が選ぶ2000年のベストディープカット(トップ40)にランクインしています。
「Sparks」の再注目に伴い、アルバム『Parachutes』は最新6月28日付米ビルボードアルバムチャート(→こちら)で9,000ユニット(前週比11%アップ)を獲得し、169位に再登場。2001年に最高51位を記録したこの作品は、2016年2月以来となる再ランクインを果たしています。またこのアルバムに収録されたシングル曲「Yellow」は最新チャートの集計期間中にストリーミング530万回(前週比6%アップ)を獲得。同曲はバンドにとって、米ビルボードソングチャートに初めてランクインした作品となります(2001年に最高48位を記録)。
なお「Sparks」はコールドプレイにとって、リトル・シムズ、バーナ・ボーイ、エリアナおよびティニをフィーチャーした「We Pray」(2024年10月)以来となる、キャリア27曲目の米ソングチャート100位以内エントリー作品となります。
コールドプレイ「Sparks」が再注目を集めたきっかけはラスベガスでのライブであり、この開催タイミングでストリーミングが急増していますが、そこにクリス・マーティンの個人的な出来事が報じられたことでライブ終了後もストリーミング数が伸びています。
尤も、クリス・マーティンおよびダコタ・ファニングの双方が破局について公にコメントしていない模様であり、TikTokをアップした観客や視聴者の感情移入は邪推と言われればそれまでなのですが、リリースから25年経ったアルバムに収録された非シングル曲「Sparks」が動画のバズに伴い、米ビルボードソングチャートで100位以内初エントリーを果たした形です。
もうひとつの注目点は、「Sparks」がコールドプレイファンの間で知られた存在だということ。ここから想起したのは、ビルボードジャパンソングチャートのカラオケ指標でした。ビルボードジャパンは今年度下半期より、総合ソングチャートに53週以上登場した作品に対しストリーミングの指標化時に減算処理を施すというリカレントルールを採用していますが、カラオケ指標に強いルール適用曲は下落幅が小さいという印象です。
早速各指標との紐付けありがとございます。Keiさん採録の情報からリカレントルール以降の順位変動幅(縦軸)と各指標順位(横軸)の関係を視覚化してみました📈 カラオケでよく歌われることが順位下落を比較的軽微におさえている可能性がうかがえます✍️… https://t.co/svbc6HgFo4 pic.twitter.com/nGiWQ9tRSf
— 徒然研究室✍🏻 (@tsurezure_lab) 2025年6月4日
カラオケではコアファン以上に(歌手のファンではないが曲が気になるという)ライト層の支持が高い曲が人気になるため、「Sparks」からカラオケ(指標)を想起することは少し異なるかもしれません。しかし、ビルボードジャパンによるカラオケ指標の導入目的(下記参照)を踏まえるに、コアファン/ライト層問わず世代を越えて愛される曲が今後チャートでの存在感を高めるのではないかと考えた次第です。
『カラオケ指標の導入で“JAPAN HOT 100”は、一般的なヒット曲に加え世代を越えて歌い継がれる楽曲やVOCALOID関連楽曲など、より広範なユーザーの音楽嗜好をカバーし、これまで以上に多角的かつ多層的に“ヒット”を映し出す総合チャートを目指す。』https://t.co/f1c0j4I125
— Kei (ブログ【イマオト】/ポッドキャスト/ラジオ経験者) (@Kei_radio) 2025年6月3日
無論、コールドプレイ「Sparks」の今後の動向をチェックする必要はありますが、今回のブレイクを興味深く感じています。