2025年度上半期に社会的にヒットした、もしくはチャートを語る上で欠かせない曲を選びました。恥ずかしながら2024年度の記載を失念しており、今回は2023年度以来の掲載となります。
J-POPについては、6月6日に発表されたビルボードジャパンによる上半期各種チャートを参考にしています。
今回は昨年12月から今年5月の間にヒットした作品を取り上げています。なお、リリースタイミングはこの限りではありません。
<2025年度上半期の社会的なヒット曲、もしくはチャートを語る上で欠かせない曲>
① Mrs. GREEN APPLE「ダーリン」
NHKによる『18祭』、2024年版のテーマソング。Mrs. GREEN APPLEはビルボードジャパンによる2025年度上半期ソングチャート(「ライラック」)、アルバムチャート(『ANTENNA』)および双方を合算したトップアーティストチャートで三冠を達成し、高い人気や勢いの大きさを証明した形です。上半期ソングチャートでは「ビターバカンス」の順位がより高いのですが、勢いが持続しているこちらを選出しています。
② サカナクション「怪獣」
テレビアニメ『チ。―地球の運動について―』オープニングテーマにして、バンドにとって3年ぶりの新曲。リリースから現時点で16週連続トップ10入りを果たしたのみならず、Stationheadの活用やYouTube生配信等も相まってリリース直後のSpotifyデイリー再生回数が今年度(ビルボードジャパンにおける2025年度初日以降で)最高を記録。アニメがNHK発ということもあり、『NHK紅白歌合戦』の出場可能性も十分です。
③ HANA「ROSE」
ちゃんみなさんとBMSGによるオーディション、”No No Girls”から登場した7人組ダンスボーカルグループによる初のフィジカルシングル表題曲。通算2度の首位獲得を含め、現時点まで10週連続でトップ10入りを記録。プレデビュー曲「Drop」、そしてオーディション使用曲のHANA版となる「Tiger」も安定しており、『NHK紅白歌合戦』の初出場は確実と捉えています。
④ timelesz「Rock this Party」
こちらは”timelesz project”オーディションを経て3→8名体制となったtimeleszの、初となるデジタルシングル。トップ10入り4週を含む通算13週エントリー、上半期ソングチャート54位という成績は大ヒットとは言い難いものの、通称”タイプロ”が大きな話題となり、その結果としてアルバム『FAM』が初週64万枚のフィジカルセールスを記録したことは人気の証でしょう。今後はアルバムがデジタルリリースなるか注視していきます。
⑤ CUTIE STREET「かわいいだけじゃだめですか?」
FRUITS ZIPPER「わたしの一番かわいいところ」やCANDY TUNE「倍倍FIGHT!」等KAWAII LAB.所属歌手によるヒット曲の相次ぐ登場、それもストリーミングが上位で安定するという状況は、日本のアイドル作品におけるヒットの仕方、そしてアイドルの勢力図が変化していることを示すに十分です。その中で「かわいいだけじゃだめですか?」は上半期8位となり、アイドル/ダンスボーカルグループで最高位を記録しています。
⑥ M!LK「イイじゃん」
ソングチャート登場4週、最高45位というソングチャートの成績と大きく異なり、Z総研、モデルプレスおよびマイナビティーンズラボにおける上半期トレンドランキングでは流行した曲部門の最上位に。チャート動向に関して歌手側の施策の見直し等も重要ながら、彼らが紅白出場を果たしたならば尚の事、ビルボードジャパン側がショート動画に関するチャートポリシー(集計方法)を見直すか議論することは必要でしょう。
⑦ ロゼ & ブルーノ・マーズ「APT.」
昨年10月のリリースながらビルボードジャパン上半期ソングチャートでは2位に、そして米ビルボードによるグローバルチャートにおいてはGlobal 200で通算12週、Global 200から米の分を除くGlobal Excl. U.S.においては通算19週首位を記録し、後者では歴代最長記録を達成。ブルーノ・マーズはレディー・ガガとの「Die With A Smile」も大ヒットさせています。
⑧ ケンドリック・ラマー & シザ「Luther」
昨年ドレイクとのビーフで注目を集めたケンドリック・ラマーは、今年のスーパーボウルハーフタイムショーで(そのビーフも含む)パフォーマンスが大きな話題に。それを機に、ルーサー・ヴァンドロス & シェリル・リン「If This World Were Mine」(オリジナルはマーヴィン・ゲイ & タミー・テレル)をサンプリングした「Luther」が米ソングチャートを制すると、13週連続でその座に。シザとの好相性も示した作品といえます。
⑨ ドーチー「Anxiety」
今年のグラミー賞で『Alligator Bites Never Heal』が最優秀ラップアルバム賞に輝いたドーチーは、後にYouTubeでのみ公開していた「Anxiety」を音源化。米やグローバルのソングチャートでトップ10入りしたのみならず、米ではラジオ指標も制しています。グラミー賞、そして先日開催されたBETアワードにて社会改善を願い発信するドーチーの姿は、分断が進む世界にあって重要な存在といえるのではないでしょうか。
⑩ アレックス・ウォーレン「Ordinary」
元々はYouTuber、インフルエンサーとしても活躍していたアレックス・ウォーレンによる「Ordinary」は、Netflixによるリアリティショーでの披露を機にTikTok等でバイラルヒット。グローバル、そして米の順にチャートを制しています。最新の米ビルボードソングチャートではサブリナ・カーペンターに首位の座を譲るも翌週の返り咲きが見込まれており、下半期もヒットを続ける可能性は十分です。
以上10曲、いかがだったでしょうか。複合指標から成るソングチャートは前年度からのヒット曲も多いゆえ、2024年度の年間チャート等も是非チェックしてください。
2025年度下半期も社会的なヒット曲が生まれることを、楽しみにしています。