昨日はMrs. GREEN APPLEの強さに関するエントリーを公開しましたが、そこでは最後にこのようなことを記しています。
ただし一方では、そのGlobal 200をベースに日本市場分を除いた上で日本の楽曲を抽出したビルボードジャパンによるGlobal Japan Songs Excl. Japanにて、チャート開始から1年半以上経過しながらMrs. GREEN APPLEは週間20位以内に未だランクインしていません。「天国」は日本映画の主題歌ゆえ海外での認知は難しいかもしれませんが、この曲で海外人気を高めることができるかについて注視していきます。
Mrs. GREEN APPLEが他の歌手と比べて日本と海外とで人気に乖離が生じているだろうことについては、Global Japan Songs Excl. Japanチャートから読み取ることができると捉えています。一方でそのGlobal Japan Songs Excl. Japanの最近の動向をみると、最上位曲のストリーミング数がシュリンクしていることが解ります。今回はまず、こちらについて紹介します。
米ビルボードにおけるグローバルチャート(Global 200、およびGlobal 200から米の分を除くGlobal Excl. U.S.)、そしてビルボードジャパンによるGlobal Japan Songs Excl. Japanについては下記エントリーをご参照ください。Global Japan Songs Excl. JapanはGlobal 200を基に日本市場分を除いた上で日本の楽曲を抽出したチャートであり、2023年9月にスタートしています。
米ビルボードのグローバルチャートおよびビルボードジャパンによるGlobal Japan Songs Excl. Japanの最新チャートはこちら。なお前者についてはビルボードジャパンによる記事翻訳版がないため、このブログにて意訳したエントリーとなります。
【ビルボード】LiSA「ReawakeR (feat. Felix of Stray Kids)」グローバル・ジャパン・ソングス8連覇 コーチェラ出演XGが軒並み上昇 https://t.co/s5L32AmG0K
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2025年4月24日
これらデータを、以下の表にまとめています。日付はGlobal 200におけるそれであり、Global Japan Songs Excl. Japanの公開日はその2日前となります。またGlobal Japan Songs Excl. Japan首位曲において色付けしている作品は、同週のGlobal 200にて200位以内にランクインしていることを意味します。
上記表を今回用意したのは、最新のGlobal Japan Songs Excl. Japanを制したLiSA feat. Felix of Stray Kids「ReawakeR」のストリーミング数が400万を割ったことがきっかけ。同チャート首位曲のストリーミング数は、(記事未掲載分を除き)当週が最も少なくなっています。
ビルボードジャパン(@Billboard_JAPAN)によるGlobal Japan Songs Excl. Japan(米ビルボードのGlobal 200から日本市場分を除いた上で日本の楽曲を抽出)、発足時の2023年9月14日公開分と最新2025年4月24日公開分のトップ10画像はこちら。4曲が重複しています。https://t.co/kDhF7bIrX2 pic.twitter.com/Ywr2NI1vwN
— Kei (ブログ【イマオト】/ポッドキャスト/ラジオ経験者) (@Kei_radio) 2025年4月27日
またこのような比較を用意しましたが、Global Japan Songs Excl. Japan発足時にトップ10入りしていた作品のうち4曲が最新チャートでもトップ10内に入っています。さらには発足時にトップ10入りしていたimase「NIGHT DANCER」および米津玄師「KICK BACK」は、最新チャートで20位以内に入っているという状況です。
ストリーミング時代にあってロングヒットが一般化しているものの、それでも新曲が日本のチャート以上に海外では上がりにくいこと、加えてLiSA feat. Felix of Stray Kids「ReawakeR」におけるストリーミング数の低下も踏まえれば、日本の楽曲の海外における裾野は拡がっているとして、しかしさらなるインパクトや認知の拡大は必要ではないかと感じずにはいられません。
この状況から、日本の音楽チャートや最新曲を海外でも流布する仕組みを作り上げることが必要だと考えます。そして来月にはMUSIC AWARDS JAPANが初開催されることから、その開催前後に海外向けコンテンツを充実させていくこともまた重要です。
その点において、NHKの対応が重要に成ると考えます。
📢 放送決定
— NHK MUSIC (@nhk_musicjp) 2025年4月24日
【#NHKMUSICSPECIAL「J-POP 世界への挑戦」】
世界は今、なぜJ-POPに夢中なのか?
その知られざる舞台裏と海外ファンに密着📹
ことし初開催となる#MUSICAWARDSJAPAN 2025の見どころも👀
📺5/8(木)22:00~ NHK総合#Ado #新しい学校のリーダーズ #YOASOBIhttps://t.co/7VZQW3UBWA
NHKではMUSIC AWARDS JAPAN(の放送)に向けてと思しき音楽特番が春以降増え、とりわけ上記特番ではMUSIC AWARDS JAPANを主催するCEIPA(一般社団法人カルチャーアンドエンタテインメント産業振興会)による海外イベントへの密着や、新設音楽賞についての紹介がメインとなっています。このようなコンテンツを海外に向けて発信することが必要と考えますが、決してできないわけではないということが下記から読み取れます。
2024年10月に放送したNHKミュージックスペシャル『藤井風~登れ、世界へ~』は、なんとNHKワールドジャパンで1年間、英語版のフルバージョンを観ることができます。通常の日本語版が「NHK+」の配信終了と同時に見られなくなってしまうのとは対照的です。
※ NHK WORLD-JAPANの公式YouTubeチャンネルにおけるNHKミュージックスペシャル『藤井風~登れ、世界へ~』のリンクはこちら。
YouTubeに掲載されたNHK関連の動画はブログ等できちんと貼付できないこと、NHKプラスでの配信終了と共に動画が消えること等についてはNHK音楽番組のYouTube展開を踏まえ、テレビパフォーマンス映像のYouTube配信に関する提案を記す(4月6日付)でも紹介しています。法律やその制定を促す周囲からの厳しい目線によりフレキシブルな対応ができない中、NHKは海外発信という意義にて番組公開が可能になったといえます。
ならば、日本の音楽番組をこのような形で海外へ発信することを希望します。これは音楽特番に限らず、ビルボードジャパンの最新チャート(総合ソングチャートやGlobal Japan Songs Excl. Japan等)を紹介する番組を用意し発信することもまた必要でしょう。それが今回のエントリーで記した疑問の解消、そして海外でのJ-POP強化につながるはずです。
先ほど紹介したインタビュー記事(noteプロデューサー/ブロガーの徳力基彦さんがインタビュアーを担当)にて、NHKプロジェクトセンター エグゼクティブプロデューサーの加藤英明氏はこのように述べています。今後のNHKの対応に期待しています。
放送と配信は対立するのではなく、「日本の音楽を世界に届ける」という共通テーマに向けて共存共栄する方法を発明していかないといけないと思っています。
・藤井風が示す新時代ヒットの生まれ方と『NHK MUSIC』ブランドに見るNHKのグローバル戦略 | Agenda note(3月31日付)より