2020年1月にスタートした【私的トップ10ソングス+α】企画、今回は2025年3月分です。前の月にリリースされた曲を中心に選出しています。ミュージックビデオ等動画がない曲も含め、エントリーの最後に掲載したSpotifyプレイリストでチェックしてください。
これまでの私的トップ10ソングス等についてはこちら。Spotifyを利用し、最新曲のみで構成されるプレイリスト(New Music Wednesday、New Music Friday Japan、New Music FridayおよびMonday Spin)を毎週チェックしています。
なお、"私的トップ10ソングス"とあるように、月イチで紹介するこのエントリーは完全な私見に基づくベストソング選出企画となります。音楽チャート等紹介の際、個人的な作品への思い入れを乗せないよう心掛けています。
10位 フェリックス・ヤーン feat. ホイットニー・ヒューストン「It's Not Right But It's Okay」
一部メディアではフェリックス・ジェーンとカタカナ表記されるドイツ出身DJによるこの作品は、2000年前後のR&Bをダンサブルにリミックスしたもの。ホイットニー・ヒューストンによるシングル(1998年リリースのアルバムから翌年シングル化)を大きく変えることなく、ホイットニーが所属していたアリスタが得意としたダンスリミックスに加工。懐かしくもありながら、新しさも感じる音に仕上がっています。
9位 ジェイドン「I'll Be Good」
2000年前後のアコースティックR&Bを思わせる曲が増えてきた中、この曲はアッシャー「How Do I Say」(アルバム『8701』(2001)収録)を効果的にサンプリング。個人的には大サビの部分があまりしっくりこないものの、実はこの部分の転調にこそ元曲における(プロデュースした)ジャム&ルイスらしさが活きています。なおジェイドンは先月アッシャーとL.A. リードによるレーベル”Mega”と契約したとのこと。
8位 ハンター・メッツ「Abilene」
アコースティックギターを基調とした3連符のリフレインが響く中、ハンターの声自体はどこかしら寂しさや憂いを帯びているのがポイント。その寂しさ等を強調するかのようなミックスがボーカルに施されたことで尚の事、アレンジの温かみと声の持つヒリヒリ感が(合わないようでいて)不思議とマッチしています。
7位 ノー・ガイダンス「Lovers To Enemies」
3月はイギリス発R&Bグループによる作品に強く惹かれた次第。美しいギターアレンジが光るこの曲は、メアリー・J. ブライジやトニ・ブラクストンといった1990年代後半のR&Bを彷彿。そんな作品に、ボーカルグループ(これまた1990年代に一世を風靡)が挑戦しているのが好いですね。
6位 アミリア・ムーア「F**k, Marry, Kill」
タイトルにFワードが普通に出てくるところが、よくも悪くも今のアメリカらしさかもしれません。昨年R&B界で大ヒットしたマニー・ロング「Made For Me」の登場以降、胸を打つ美しいミディアムバラードが数多く出ているという印象です。
5位 bird「サイレンス」
(公式動画なし。)
birdさんと冨田恵一さんという、アルバム『BREATH』(2006)でタックを組んだコンビに外れなし。いかにも冨田さんらしい(特にベースラインの)遊び心満載によるアレンジの上で奏でられるbirdさんの歌声には余裕があり、その名の通りさえずるかのような心地よさ。大人の余裕を感じます。
4位 ZIN「超えてゆく」
日本のR&B歌手による作品には、アレンジこそR&Bながらも歌声がそう感じられないものが少なくないという印象を抱いているのですが、この曲におけるボーカルの芯の強さや深み、加えて歌詞のテーマやアレンジ等は、遜色ないといえるかもしれません。
3位 キム・オキ feat. 折坂悠太「月がきれいだね」
韓国サックスプレイヤー、プロデューサーによるニューアルバムに折坂悠太さんが招聘。日本語タイトルや歌詞、そして出だしの歌声からしてまさに”折坂悠太ワールド”といえます。韓国で日本の様々な作品がヒットしていると聞きますが、このような作品の登場からもその流行が一時的ではないのだと感じずにはいられません。
2位 ハイム「Relationships」
音のバランスの素晴らしさに惹かれて選出。1990年代初めのヒップホップっぽいビート、ひだまりのようなピアノ、流麗な女性ボーカルそしてポップなコーラスワークが絶妙にシンクロ。ハイムの音楽は詳しく存じ上げていないにもかかわらず、この1曲からなぜか”ハイムらしさ”を強く感じ、勝手に納得しています。
1位 シュガーベイブス「Jungle」
自主レーベル発と思しきイギリスの3人組女性ボーカルグループによる新曲。一昨年のジェシー・ウェアによるアルバム収録曲(特に「Free Yourself」)を彷彿とさせる作品であり、流行に左右されにくいイギリスらしいR&Bを感じます。
以下、次点として10曲。
・アイナ・ジ・エンド「花無双」
・ベイス「Bby Boi」
・ドラン・ジョーンズ & ジ・インディケーションズ「Been So Long」
・グッド・ネイバーズ「Starry Eyed」
・JENNIE「Like JENNIE」
・ジョー・アーモン・ジョーンズ「Hurry Up & Wait」
・マック・キーン「Sophia」
・オフ・ザ・メニュー「Love Is A Shade Of Blue」
・クアデカ「Godstained」
・ジアーティスト(TheARTI$t)「Ghost」
グッド・ネイバーズの音世界から、ゴティエ feat. キンブラ「Somebody That I Used To Know」(2011)を想起。ドーチーが今年のグラミーで最優秀ラップアルバム賞を獲得した後、YouTubeのみでリリースされた曲が再注目を集め現在グローバルでヒットしているのですが、その曲がサンプリングしたのもこの「Somebody That I Used To Know」というのが面白く、再評価の流れが高まっていると感じずにはいられません。
Spotifyのプレイリストはこちらに。
今月も素晴らしい音楽に出逢えることを願っています。