イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

HANAやSnow Manのチャート動向を経て、日本音楽業界のデジタルへの考え方が変わるかを注視する

今週および来週のビルボードジャパンソングチャートは特に注目すべきと捉えています。アイドルやダンスボーカルグループを主体に、日本音楽業界のデジタル化が加速するかもしれません。

 

 

まずは本日発表される4月9日公開分ビルボードジャパンソングチャート(集計期間:3月31日~4月6日)において、集計期間3日目にデジタル先行でリリースされたHANA「ROSE」の上位進出が見込まれます。

上記は次週4月16日公開分の集計期間初日における主要サブスクサービスの動向ですが、HANA「ROSE」は各サブスクサービスの週間チャートでも強く、Spotify(3月28日金曜集計開始)で62位、Amazon Music(3月30日日曜集計開始)で24位、Apple Music(3月31日月曜集計開始)で1位およびLINE MUSIC(4月2日水曜集計開始)で1位を記録。Spotifyではわずか2日分の集計で62位となっている点に注目です。

HANA「ROSE」は初のフィジカルシングル表題曲にて、ビルボードジャパンソングチャートを制する可能性はあると考えます。複数週に渡り1万ポイント超えを果たす曲が2025年リリース作品ではMrs. GREEN APPLE「ダーリン」のみとなっていますが、「ROSE」は初週におけるダウンロードの高さ、そしてともすればストリーミング1千万回超えの可能性も相まって、まずは初週1万ポイント超えを果たすかが気になります。

 

当週はAKB48「まさかのConfession」が、フィジカルセールス指標でハーフミリオンを記録したことに伴い総合でも上位進出が予想されるものの、同曲は各サブスクサービスの週間チャートにランクインしていません。総合チャートでHANA「ROSE」がフィジカルセールス指標未加算ながら「まさかのConfession」に勝れば、音楽業界におけるデジタルの重要性を特にアイドル業界が強く認識していくかもしれません。

無論、実際のチャート結果を見届ける必要があり、またHANA「ROSE」は次週Mrs. GREEN APPLE「クスシキ」と競うのみならず(「ROSE」「クスシキ」共に次週初の1週間フル加算)、ダウンロード指標がある程度後退することも予想されます。ただ「ROSE」の人気に伴いプレデビュー曲「Drop」が再浮上していることを踏まえれば、歌手のコアファンやライト層が増加し、ストリーミングが安定する可能性も考えられます。

 

 

日本音楽業界のデジタル化が加速する、また音楽業界におけるデジタルの重要性を特にアイドル業界が強く認識することについては、次週4月16日公開分ビルボードジャパンアルバムチャート(実際の公開は4月17日)の結果次第でさらに高まるのではと考えます。

 

Snow Manがベストアルバム『THE BEST 2020 - 2025』をサブスク解禁する件については、解禁がアナウンスされた先週金曜にこのブログで紹介しています( 上記エントリー参照)。このベストアルバムのデジタル解禁分が、次週のビルボードジャパンアルバムチャートにおいて1週間フル加算されます。

 

主要サブスクサービスにおけるデイリーチャートの動向をみると、Snow Manによるベストアルバム収録曲の順位はサービス間で乖離が生じています。”LINE MUSIC>Apple Music>Spotify”となっており、LINE MUSICにおいては若年層ユーザーの多さが影響しているかもしれません(なおLINE MUSICでは4月8日付においても100位以内に18曲がエントリーしています(こちらのポストからはじまるスレッド参照))。

 

Snow Man『THE BEST 2020 - 2025』のサブスク解禁について採り上げたブログエントリーでは、その解禁方法から『timeleszのデジタルコンピレーションアルバム『Hello! We're timelesz』を想起した』と記しました。

デジタル解禁時の楽曲数はSnow Manとtimeleszで大きく異なりますが、解禁日の主要サブスクサービスにおけるデイリーチャート順位はtimeleszがより高いといえます(上記エントリー参照)。timeleszのデジタルコンピレーションアルバム『Hello! We're timelesz』は3月5日公開分ビルボードジャパンアルバムチャートで初登場から2連覇、ストリーミング指標においては3連覇を達成しています(初登場時の動向は下記エントリー参照)。

Snow Manにおいてはデジタル解禁時に(ベストアルバム収録曲以外の)新曲を用意していないことも、各サブスクサービスにおけるベストアルバム収録曲の順位に影響しているかもしれません。しかし60曲以上を収録していることで、(ビルボードジャパン側は曲数の大小が係数処理に伴い大きく影響しないと述べていますが)曲数の多さも相まって次週のビルボードジャパンアルバムチャートで最上位に進出する可能性も考えられます。

 

Snow Man『THE BEST 2020 - 2025』がサブスク解禁に伴いビルボードジャパンアルバムチャートを再度制すれば、そしてそのタイミングでフィジカルセールスが伸びるならば尚の事、フィジカルに強いアイドルがデジタルにきちんと向き合うようになるかもしれません。Snow Manと同時にフィジカルデビューを果たしたSixTONESがアニメタイアップ曲で解禁に踏み出す可能性を以前示唆しましたが、より現実味を帯びたと考えます。

SixTONESは新たなフィジカルシングル「BOYZ」を6月4日にリリースします。Snow Manは昨秋、テレビアニメ『ブルーロック VS. U-20 JAPAN』第2期エンディングテーマの「One」をまずサブスク解禁していることから、SixTONESも来るべき新曲にてデジタルへの布石を打つのではと予想しています。

 

 

チャート動向に注目すると共に、デジタル解禁が加速するか、日本音楽業界のデジタルへの考え方が前向きに変化するかを注視することが重要です。なお、デジタルとフィジカルについての自分の考えは昨日付のnoteでも記しています。