イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

前週のトップ10初登場曲が真のヒット曲に成るか、CHART insightから読む (2025年4月2日公開分)

昨年夏以降再開したこのエントリー、今年に入ってからタイトルを一部変更しています。前週の内容はこちら。

 

ビルボードジャパンソングチャートの動向を分析する者として、真の社会的ヒット曲とはロングヒットする、年間チャートで上位に進出する作品と考えます。週間単位で上位に入るのは好いことですが、他方で所有指標が極度に強い曲は加算2週目に、また接触指標が所有指標的な動きをなぞる曲(主にLINE MUSIC再生キャンペーン採用曲)はキャンペーン終了後に指標が大きく後退し、総合でも急落することが少なくありません。

この急落は毎週のようにみられます。ソングチャートのトップ10は多いときで5曲程度が毎週入れ替わり、ロングヒットするか否かが極端に分かれる状況です。主にライト層の支持が反映されるストリーミング指標がロングヒット曲では強い一方、急落する曲はコアファンとライト層との乖離が大きいのですが、これらを1週分のチャートの順位およびポイントのみで判断することは、現状では難しい状況です。

そのため、このブログエントリーではビルボードジャパンに対しチャートポリシー(集計方法)の改善も提案していますが、あくまで自分なりのと前置きしつつもチャートの見方を提示したいと考えたのがエントリー再開の理由です。

 

 

<2025年4月2日公開分 ビルボードジャパンソングチャート

 前週初めてトップ10入りした作品の、前週および当週におけるCHART insight>

 

※CHART insightの説明

 

[色について]

黄:フィジカルセールス

紫:ダウンロード

青:ストリーミング

黄緑:ラジオ

赤:動画再生

緑:カラオケ

濃いオレンジ:UGC (ユーザー生成コンテンツ)

 (Top User Generated Songsチャートにおける獲得ポイントであり、ソングチャートには含まれません。)

ピンク:ハイブリッド指標

 (BUZZ、CONTACTおよびSALESから選択可能です。)

 

[表示範囲について]

総合順位、および構成指標等において20位まで表示

 

[チャート構成比について]

累計における指標毎のポイント構成

 

SixTONES「バリア」

 3月26日公開分 2位→4月2日公開分 20位

・ロージークロニクル「へいらっしゃい!~ニッポンで会いましょう~」

 3月26日公開分 4位→4月2日公開分 100位未満

・ 僕が見たかった青空「恋は倍速」

 3月26日公開分 5位→4月2日公開分 100位未満

サザンオールスターズ「夢の宇宙旅行

  3月26日公開分 8位→4月2日公開分 60位

 

当週におけるストリーミング等動向表はこちら。

 

ストリーミングでのヒットが総合チャートの上位安定につながり、年間チャート進出の鍵を握ります。上記で紹介した作品が年間ソングチャートに登場する可能性は現状では高くはありませんが、しかしサザンオールスターズ「夢の宇宙旅行」がストリーミング2種連続加点対象(300位以内)となり、Apple Musicでは100位以内に入ってきたことは注目です。収録アルバム『THANK YOU SO MUCH』もストリーミングが上昇しています。

 

前週総合2位のSixTONES「バリア」は20位に後退するも、前作「GONG」(2→76位 前週のトップ10初登場曲、当週のCHART insightから真のヒット曲に成るかを読む (2024年7月24日公開分)(2024年7月26日付)参照)に比べてダウン幅は縮小。接触指標の動画再生が好調に推移していることが一因であり、フィジカルセールス加算初週および2週目において「GONG」が2週とも20位未満だった一方、「バリア」は7→9位となっています。

前週のチャート動向紹介の際、総合チャート最上位進出にはデジタルが重要だと伝えした上で、『動画再生はストリーミングと比例する傾向にあることから、動画再生指標が好調なSixTONES「バリア」はサブスク解禁すればストリーミング指標を十分獲得できたと考えます』と記しました。作品により動画再生指標の動向は異なるものの、SixTONESのサブスクニーズは高いだろうことが「バリア」から読み取れるのです。

 

そんな中、昨日はSnow Manがサブスク本格解禁をアナウンス。このことは弊ブログでも採り上げています。

SixTONESSnow Manは同時フィジカルデビューを果たしながら、SixTONESはSTARTO ENTERTAINMENT所属歌手によるチャリティシングルを除き、未だデジタル解禁していません。日本時間の昨日には米グラミー賞のホームページが日本のアイドル/ダンスボーカルグループ10組を採り上げた記事が公開され、SixTONESが最初に紹介されているのですが、サブスク未解禁歌手が記載されていることには素直に違和感を抱いています。

MUSIC AWARDS JAPANがはじまり日本の音楽が世界に拡がる可能性が高まる中、デジタルに明るくない歌手の存在は世界の音楽ファンが日本の音楽に対する信頼を損ねる種と成りかねません。音楽業界が総出でベテラン等サブスク未解禁歌手の説得にあたるべきと常に記しているのは、それが理由です。

メディアや音楽関係者はサブスク未解禁歌手に対し、デジタル解禁の可能性や海外音楽ファンへのニーズにどう応えるか等、(悪意を持って聞くのではなく)素直な疑問として伺うことを心から願います。旧ジャニーズ事務所時代においてメディアが過度に行ってきた配慮は、今は採る必要はありません。そしてデジタル解禁の可能性を問うことは、何のタブーでもないはずです。

 

 

SixTONESは新たなフィジカルシングル「BOYZ」を6月4日にリリースします。Snow Manは昨秋、テレビアニメ『ブルーロック VS. U-20 JAPAN』第2期エンディングテーマの「One」をまずサブスク解禁していることから、SixTONESも来るべき新曲にてデジタルへの布石を打つのではと予想しています。