ビルボードジャパンは本日午後、最新ソングチャートを公開します。注目はデジタル解禁から4日分の集計分にて前週2位に初登場したサカナクション「怪獣」、および先週金曜にリリースされたtimelesz「Rock this Party」や藤井風「真っ白」の動向です。
サカナクション「怪獣」およびtimelesz「Rock this Party」については以前ブログで取り上げています。最新3月5日公開分のビルボードジャパンソングチャートではロングヒットを続けるMrs. GREEN APPLE「ライラック」に加え、なにわ男子「Doki it」や=LOVE「とくべチュ、して」には30万枚を超えるフィジカルセールス指標が初加算される等、ライバルは多数。その中で「怪獣」「Rock this Party」「真っ白」の動向に注目です。
さて、デイリー200位までの再生回数が可視化される日本のSpotifyデイリーチャートで、サカナクション「怪獣」、timelesz「Rock this Party」および藤井風「真っ白」においては"ピークが早いのでは"という印象を抱いています。
#サカナクション「#怪獣」、#timelesz「#RockthisParty」および #藤井風「#真っ白」は【リリース前日にフラゲ的な形で初登場】【リリース日に最高再生回数を記録】という点が共通。海外ではリリース日にピークを迎える曲が多いながら、ロングヒットするものもみられます。3曲の今後の動向に注目です。 https://t.co/c5PAddgBtL
— Kei (ブログ【イマオト】/ポッドキャスト/ラジオ経験者) (@Kei_radio) 2025年3月3日
実際、今年度のビルボードジャパンソングチャートで初登場し、上位をキープする曲の多くで同種の傾向がみられます。
2025年度のビルボードジャパンソングチャートで初登場し上位キープを続けるMrs. GREEN APPLE「ビターバカンス」「ダーリン」、米津玄師「Plazma」「BOW AND ARROW」、Number_i「GOD_i」と、先述したサカナクション「怪獣」、timelesz「Rock this Party」および藤井風「真っ白」における、日本のSpotifyデイリーチャートの初動以降の再生回数およびその推移を上記表にてまとめています。
フラゲ的な形でリリース前日に初登場、また米津玄師「Plazma」「BOW AND ARROW」および藤井風「真っ白」を除く5曲は初登場時に50位以内ランクインを果たしていますが、リリース曜日は曲により異なります。日本のSpotifyには曜日特性が存在することから上記表では曜日を揃えて掲載していますが、それら特性については下記エントリーをご参照ください。
日本のSpotifyデイリーチャートの初動以降の再生回数およびその推移をまとめた上記表からは、米津玄師「Plazma」「BOW AND ARROW」、Number_i「GOD_i」、サカナクション「怪獣」、timelesz「Rock this Party」および藤井風「真っ白」がリリース日から1週間以内に再生回数のピークを迎えていることが解ります。加えて「Plazma」「GOD_i」「怪獣」はピーク日の1週間後における再生回数が1割以上低下しています。
無論、中長期に渡る推移を見極める必要があります。「Plazma」は「BOW AND ARROW」の(フラゲ的な形での)初登場時にピークを迎えており、新曲登場が既発曲を刺激する可能性も考えられます。またミュージックビデオの公開も影響する可能性があります。「BOW AND ARROW」は本日公開される一方、サカナクション「怪獣」以降のリリース曲は現時点で公開されていない状況です。
ピーク時の早さについては、必ずしも好くないことだとは言い切れません。
海外ではリリース日に初動が大きくなることが自然ですが、歌手側がリリース日を(チャートの集計期間初日である)金曜に基本的に統一していること、そしてユーザーが新曲をリリース日に聴く習慣が付いていることが背景にあると考えます。日本の音楽を海外に轟かすべくグローバルチャートでランクインすることが重要と捉えるならば、今回紹介した曲の傾向は良い流れといえるでしょう。
ならばその初動を維持し、如何にしてロングヒットさせていくかがより重要であり、Mrs. GREEN APPLE「ビターバカンス」「ダーリン」がその理想形だと捉えています。
Mrs. GREEN APPLEにおける年末年始のメディア露出の多さ、そしてその結果としてのチャート席巻を踏まえれば2曲のロングヒットは自然かもしれませんが、「ビターバカンス」のピークが「ダーリン」リリースの7日目であることも踏まえるに、新曲投入も含めた歌手のパワーの増大や維持が、新曲のロングヒットに反映していると考えます。
Mrs. GREEN APPLE「ビターバカンス」ストリーミング累計1億回再生突破 https://t.co/wPeC0VmfrH
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2025年3月4日
「ビターバカンス」はストリーミング1億回再生がアナウンスされたばかりですが、グレーゾーンがライト層(曲は気になるが歌手のファンというわけではない方)に、そしてライト層がコアファンに昇華していることが記録達成につながったものと考えます(コアファンからライト層への昇華はフィジカルセールスの上昇や安定から見て取れます)。この昇華のためのアプローチをどうするかが、重要になるのではないでしょうか。
最新のビルボードジャパンソングチャートをどの曲が制するかは解りかねますが、新たに登場した曲のピークが早ければ数週後はMrs. GREEN APPLEの作品群が上位を占める形に変化していく可能性は高いでしょう。新曲のヒットを如何にしてアーティスト全体のパワーにつなげていくか、歌手側のみならずコアファンにとっても考えを巡らせ、実行していくことが求められるというのが自分の見方です。