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(追記あり)【海外ビルボード】米はケンドリック・ラマー「Not Like Us」から「Luther」に首位交代、ドレイクが2曲トップ10入り

(※追記(2月25日19時48分):Global 200における日本の楽曲動向を追記しています。)

 

 

 

現地時間の2月24日月曜に発表された、最新3月1日付米ビルボードソングチャート(集計期間:2月14~20日)。前週首位に返り咲いたケンドリック・ラマー「Not Like Us」は2位に後退、ケンドリック・ラマー & シザ「Luther」が初の首位を獲得しています。

ケンドリック・ラマー & シザ「Luther」はストリーミングが前週比6%アップの4520万(同指標初の首位)、ダウンロードが同27%ダウンの6,000(同指標4位)、ラジオが同6%アップの4670万(同指標6位)を記録しています。ストリーミング指標における首位獲得はケンドリック・ラマーにおいて7曲目、シザにおいては3曲目となります。

ケンドリック・ラマー & シザ「Luther」の首位獲得、および前週以降のケンドリック・ラマーによる上位独占は、ケンドリックが2月9日にスーパーボウルハーフタイムショーに登場し披露したことが大きく貢献した形です(こちらで映像が確認可能)。

 

「Luther」はケンドリック・ラマーにとって6曲目、シザにとっては3曲目の首位獲得作品となります。

<米ビルボードソングチャート ケンドリック・ラマーによる首位獲得曲>

・「Bad Blood (テイラー・スウィフト feat. ケンドリック・ラマー)」(2015年6月6日付 1週)

・「Hamble.」(2017年5月6日付 1週)

・「Like That (フューチャー、メトロ・ブーミン & ケンドリック・ラマー)」(2024年4月6日付以降 3週)

・「Not Like Us」 (2024年5月18日付以降 3週)

・「Squabble Up」 (2024年12月7日付 1週)

・「Luther (with シザ)」 (2025年3月1日付 1週)

<米ビルボードソングチャート シザによる首位獲得曲>

・「Kill Bill」 (2023年4月29日付 1週)

・「Slime You Out (with ドレイク)」 (2023年9月30日付 1週)

・「Luther (with ケンドリック・ラマー)」 (2025年3月1日付 1週)

ケンドリック・ラマーにおいて、「Like That」から「Luther」までの4曲は11ヶ月以内に首位を獲得。このスパンはBTSにおける10ヶ月と1週以来の短さとなります(2020年12月~2021年10月における「Life Goes On」「Butter」「Permission To Dance」および「My Universe (with コールドプレイ)」)。

4曲の首位獲得記録における最短スパンは、男性ソロ歌手においてはジャスティン・ティンバーレイクが保持。2006年9月から2007年4月にて記録していますが1曲は客演での参加であり、全曲主演名義となると男性ソロ歌手ではケンドリック・ラマーがマイケル・ジャクソンにおける9ヶ月と2週(1987-1988 アルバム『Bad』から5曲を送り込む)以来の短期スパンとなります。

「Squabble Up」および「Luther」は共にケンドリック・ラマーのアルバム『GNX』に収録。昨年12月にリリースされたアルバムから複数曲がソングチャートを制したのはアリアナ・グランデ以来となります(2024年1-3月 『Eternal Sunshine』より「Yes, And?」および「We Can't Be Friends (Wait For Your Love)」)。

 

ケンドリック・ラマー & シザ「Luther」は、ルーサー・ヴァンドロスシェリル・リン「If This World Were Mine」(マーヴィン・ゲイ & タミー・テレル版のカバーバージョン)をサンプリング。ホットR&B/ヒップホップソングチャートではマーヴィン・ゲイ & タミー・テレル版が1968年に27位(当時の呼称はホットリズム&ブルースシングルチャート)、ルーサー・ヴァンドロスシェリル・リン版が4位(当時の呼称はホットブラックシングルチャート)を記録していました。なおケンドリック・ラマー & シザ「Luther」はホットR&B/ヒップホップソングチャート、およびホットラップソングチャートにおいて9週目の首位を獲得しています。

2005年に他界したルーサー・ヴァンドロスは総合ソングチャートを制することはありませんでしたが、ルーサーの声を用いた曲が首位を獲得したことはこれまでにも。ディオンヌ・ワーウィックによる1964年作「A House Is Not A Home」のルーサーによるカバーバージョン(『Never Too Much』(1981)収録)を用いたトゥイスタ feat. カニエ・ウェストジェイミー・フォックス「Slow Jamz」は2004年2月21日付で首位に。またルーサーがコーラスを務めたシック「Le Freak」(1978-1979 6週)およびスティーヴィー・ワンダー「Part Time Lover」(1985)も首位を獲得しています。

ルーサー・ヴァンドロスは1981年から2005年にかけて総合ソングチャート100位以内に25曲を送り込み、うち5曲がトップ10入り。最高位はライオネル・リッチーダイアナ・ロス「Endless Love」(1981 9週首位)をマライア・キャリーと共にカバーしたバージョンで、1994年に2位を記録しています。またホットR&B/ヒップホップソングチャートではトップ10内に27曲がランクインし、うち7曲が首位に。またルーサーは8つのグラミー賞を受賞しており、2004年に最優秀楽曲賞を受賞したリチャード・マークスとの「Dance With My Father」が含まれます。

シェリル・リンにおいては1979年から1984年にかけて総合ソングチャート100位以内に4曲がエントリー。最高位はブレイクのきっかけとなった「Got To Be Real」(12位)ですが、ホットR&B/ヒップホップソングチャートでは5曲がトップ10入りし、「Got To Be Real」を含む2曲が首位に立っています。

 

総合ソングチャート首位の座はケンドリック・ラマーによる「Not Like Us」から「Luther」にリレー。異なる曲で連続首位を獲得したのはテイラー・スウィフト「Is It Over Now? (Taylor's Version)」(2023年11月11日付)から「Cruel Summer」に引き継がれて以来であり、その前はBTSによる「Permission To Dance」~「Butter」(2021年7月)となります。男性ソロ歌手でケンドリック・ラマーの前にこの記録を達成したのはドレイクであり、2018年7月に「Nice For What」から「In My Feelings」にバトンが渡っています。

 

最新3月1日付米ビルボードアルバムチャートで首位初登場を果たしたパーティーネクストドアとのコラボレーションアルバム『$ome $exy $ongs 4 U』より、ドレイク単独名義による「Gimme A Hug」が6位、「Nokia」が10位に初登場。ストリーミングは順に2450万、2020万を記録し、「Nokia」においてはダウンロードが16,000となり同指標を制しています。ドレイクによるダウンロード指標制覇は14曲目となり、ジャスティン・ビーバーを上回り男性ソロ歌手で最多に。なお全体ではテイラー・スウィフトの29曲が最多を記録、ニッキー・ミナージュが16曲で続き、ドレイクはリアーナと並び歴代3位タイとなっています。

総合ソングチャートでは、ドレイクのトップ10ヒットが80曲に達しています。

<米ビルボードソングチャート 最多トップ10輩出歌手>

・80曲 ドレイク

・59曲 テイラー・スウィフト

・38曲 マドンナ

・35曲 ザ・ビートルズ

・32曲 リアーナ

・30曲 マイケル・ジャクソン

・29曲 エルトン・ジョン

・28曲 マライア・キャリー

・28曲 スティーヴィー・ワンダー

・27曲 ジャネット・ジャクソン

・26曲 ジャスティン・ビーバー

・26曲 リル・ウェイン

・25曲 エルヴィス・プレスリー

(※エルヴィス・プレスリーは米ビルボードソングスチャート開始前にキャリアを開始。)

 

最新のトップ10はこちら。

1位 (前週2位) ケンドリック・ラマー & シザ「Luther」

2位 (1位) ケンドリック・ラマー「Not Like Us」

3位 (4位) レディー・ガガブルーノ・マーズ「Die With A Smile」

4位 (3位) ケンドリック・ラマー feat. レフティ・ガンプレイ「TV Off」

5位 (5位) ケンドリック・ラマー「Squabble Up」

6位 (初登場) ドレイク「Gimme A Hug」 

7位 (7位) ロゼ & ブルーノ・マーズ「APT.」

8位 (6位) ビリー・アイリッシュ「Birds Of A Feather」

9位 (8位) シャブージー「A Bar Song (Tipsy)」

10位 (初登場) ドレイク「Nokia

 

レディー・ガガブルーノ・マーズ「Die With A Smile」は前週の4位から3位に上昇。ラジオは前週比1%ダウンの6300万を記録し、同指標3週目の首位を獲得しています。

今回のソングチャートでは、5位までをインタースコープ在籍歌手の作品が独占しています(なおレディー・ガガブルーノ・マーズ「Die With A Smile」はインタースコープとアトランティスの双方からリリース)。ひとつのレコード会社による2週続けてのトップ5独占は今回が初となります。

 

8→9位に後退したシャブージー「A Bar Song (Tipsy)」は、総合チャートと集計方法を同一とするホットカントリーソングチャートで通算35週目の首位となり、サム・ハント「Body Like A Back Road」(2017)を上回り首位獲得週数が単独で歴代2位に。最長記録はビービー・レクサ & フロリダ・ジョージア・ライン「Meant To Be」の50週(2017-2018)となります。

 

 

続いてグローバルチャートを紹介。200を超える地域の主要デジタルプラットフォームによるストリーミングとデジタルダウンロードで構成され、歌手のホームページでの販売分を含まないグローバルチャート。3月1日付ではGlobal 200においてケンドリック・ラマー「Not Like Us」が、Global 200から米の分を除くGlobal Excl. U.S.ではレディー・ガガブルーノ・マーズ「Die With A Smile」が、共に2連覇を達成しています。

ケンドリック・ラマー「Not Like Us」はGlobal 200においてストリーミングが前週比1%ダウンの1億1170万、ダウンロードが同46%ダウンの21,000を記録。2月2日に開催されたグラミー賞で主要2部門(最優秀レコード賞および最優秀楽曲賞)を含む5部門を受賞したこの曲は、Global 200において通算4週目の首位を獲得しています。

またケンドリック・ラマーはGlobal 200にて、スーパーボウルのハーフタイムショーで披露したシザとの「Luther」が4→3位、同じくシザとの「All The Stars」(2018年リリース)が10→6位(2曲共に最高位更新)、およびレフティ・ガンプレイを迎えた「TV Off」は8→7位に上昇しています。一方でGlobal Excl. U.S.では「Not Like Us」が3位をキープ。またシザとの「Luther」が7→4位、同じくシザとの「All The Stars」が17→8位となり、2曲共に最高位を更新しています。「All The Stars」はケンドリックにおいて5曲目、シザにとっては4曲目のトップ10ヒットとなります。

 

レディー・ガガブルーノ・マーズ「Die With A Smile」はGlobal Excl. U.S.で通算10週目の首位に。ストリーミングは前週比4%ダウンの1億330万、ダウンロードは同17%ダウンの4,000を記録しています。Global Excl. U.S.において10週以上首位を獲得したのは「Die With A Smile」が5曲目となります。

 

 

※追記(2月25日19時48分)

 

日本時間の2月25日夜、Global 200の全容が発表されました。日本の楽曲動向については、Xにて発信しています。

当週はパーティーネクストドアとドレイクによるコラボアルバム収録曲等、31曲が初登場を果たしたことで日本の楽曲が押し出された形。次週、日本で現在ヒット中のサカナクション「怪獣」が200位以内に登場するかに注目です。