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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

(追記あり)【海外ビルボード】マライア・キャリー「恋人たちのクリスマス」が米で歴代単独3位の長期首位達成

(※追記(12月24日7時44分):マライア・キャリー「All I Want For Christmas Is You (邦題:恋人たちのクリスマス)」の米ビルボードソングチャートにおける首位獲得週数を歴代単独2位と記載していましたが、正しくは歴代単独3位でした。つきましてはタイトルおよび本文を訂正しています。心よりお詫び申し上げます。)

 

 

 

現地時間の12月23日月曜に発表された、最新12月28日付米ビルボードソングチャート(集計期間:12月13~19日)。マライア・キャリー「All I Want For Christmas Is You (邦題:恋人たちのクリスマス)」が3週連続、通算17週目の首位を獲得しています。

1994年のアルバム『Merry Christmas』に収録されたマライア・キャリー「All I Want For Christmas Is You」は、ストリーミングの興隆に合わせ、またサブスクサービスのプレイリストにてクリスマス関連曲が大きく採り上げられていくことに伴い、2017年のクリスマスシーズンに初めてトップ10入り、翌年初のトップ5入りを果たし、2019年のシーズンに初めて首位を獲得。同年3週、2020年に2週、2021年に3週、2022年に4週および2023年に2週首位を獲得しています。

(※記事とは異なりますが、マライア・キャリー「All I Want For Christmas Is You」のヒットの変遷については【ビルボードコラム】チャートの変革が社会的ヒットを可視化…マライア・キャリー「All I Want For Christmas Is You」(2021年11月22日付)にて紹介しています。)

マライア・キャリー「All I Want For Christmas Is You」はストリーミングが前週比13%アップの4800万(同指標通算21週目の首位)、ダウンロードが同80%アップの11,000(同指標通算5週目の首位)およびラジオが同12%アップの2870万(同指標16位)を記録しています。

ダウンロードの伸長は、前週の集計期間初日にあたる12月6日に、リリース30周年を記念した7インチおよび12インチのレコード、カセットテープおよびCDといったフィジカルシングルがリリースされたことに伴います。

ストリーミングは通算21週目の首位となり、この指標が2013年にスタートして以降ではリル・ナズ・X feat. ビリー・レイ・サイラス「Old Town Road」を上回り単独最長記録を達成しています。この記録については別途記事が用意されています。

<米ビルボードソングチャート ストリーミング指標首位獲得週数上位曲>

・21週 マライア・キャリー「All I Want For Christmas Is You」(2019-2022、2024)

・20週 リル・ナズ・X feat. ビリー・レイ・サイラス「Old Town Road」(2019)

・19週 モーガン・ウォレン「Last Night」(2023)

・16週 ルイス・フォンシ & ダディー・ヤンキー feat. ジャスティン・ビーバー「Despacito」(2017)

・16週 デザイナー「Panda」(2016)

・14週 ポスト・マローン feat. 21サヴェージ「Rockstar」(2017)

・13週 マイリー・サイラス「Wrecking Ball」(2013-2014)

・13週 イギー・アゼリア feat. チャーリーXCX「Fancy」(2014)

・13週 ロディ・リッチ「The Box」(2020)

・13週 カロリーナ・ガイタン、マウロ・カスティージョ、アダッサ、レンジー・フェリズ、ダイアン・ゲレロ、ステファニー・ベアトリス & エンカント・キャスト「We Don't Talk About Bruno」(2022)

 

1958年8月4日付でスタートした米ビルボードソングチャートではこれまで1,176曲の首位曲が誕生していますが、マライア・キャリー「All I Want For Christmas Is You」は歴代単独3位となる17週目の首位に。上位7曲はいずれも米ビルボードが電子モニターによるルミネイト社のデータを採用した1991年11月以降に達成しており、この採用に伴い以前よりも長く首位を獲得することが一般的となっています。

<米ビルボードソングスチャート 週間首位獲得週数上位曲>

・19週 シャブージー「A Bar Song (Tipsy)」(2024)

・19週 リル・ナズ・X feat. ビリー・レイ・サイラス「Old Town Road」(2019)

・17週 マライア・キャリー「All I Want For Christmas Is You」(2019-2024)

・16週 モーガン・ウォレン「Last Night」(2023)

・16週 ルイス・フォンシ & ダディー・ヤンキー feat. ジャスティン・ビーバー「Despacito」(2017)

・16週 マライア・キャリーボーイズIIメン「One Sweet Day」(1995-1996)

・15週 ハリー・スタイルズ「As It Was」(2022)

マライア・キャリーボーイズIIメンとの「One Sweet Day」(1995-1996 16週)を上回り、今回の「All I Want For Christmas Is You」が自己最長記録作品となりました。

 

マライア・キャリー「All I Want For Christmas Is You」は米ビルボードソングチャートにおいて首位を獲得したクリスマス関連曲では最長となる17週目の首位に。デヴィッド・セヴィル & ザ・チップマンクス「The Chipmunk Song」(1958年12月以降4週首位)、ブレンダ・リー「Rockin' Around The Christmas Tree」(2023年12月以降 3週首位)が続いています。なお「Rockin' Around The Christmas Tree」も「The Chipmunk Song」同様、1958年にリリースされています。

マライア・キャリー「All I Want For Christmas Is You」は最初の首位獲得から今回に至るまでの期間が5年と1週に(2019年12月21日付-2024年12月28日付)。楽曲単位での最長期間を更新しています。

また歌手として、マライア・キャリーは1990年8月4日付にて「Vision Of Love」がキャリア初となる首位を獲得してから今回に至るまでの期間が34年と5ヶ月に。これはブレンダ・リーに次ぐ記録となります(「I'm Sorry」(1960年7月18日付)から「Rockin' Around The Christmas Tree」(2024年1月6日付)までの63年5ヶ月と3週)。

 

マライア・キャリーは今回の首位獲得により、首位在籍記録が通算96週に。自身の持つ最長首位獲得週数記録を更新しています。

<米ビルボードソングチャート 歴代首位獲得週数記録>

96週 マライア・キャリー

60週 リアーナ

59週 ザ・ビートルズ

56週 ドレイク

50週 ボーイズIIメン

「All I Want For Christmas Is You」はマライア・キャリーにとって19曲目となる首位獲得作品であり、ソロでは最多に。歴代最高はザ・ビートルズの20曲となります。また4つのディケイドで首位を獲得した最初の歌手となります(1990-2020年代)。

 

マライア・キャリー「All I Want For Christmas Is You」は、2011年に開始したクリスマス関連曲チャートであるHoliday 100でも首位に立ち、同チャート72週のうち64週において首位に。また「All I Want For Christmas Is You」はHoliday 100のランクイン曲のみで構成されるGreatest Of All Time Holiday 100 Songsでも首位を記録しています。

 

 

当週はクリスマス関連曲がトップ10のうち9曲を占め、ブレンダ・リー「Rockin' Around The Christmas Tree」がマライア・キャリー「All I Want For Christmas Is You」に続いています。

ワム!Last Christmas」が3位に再浮上し、同曲最高位に戻ってきました。ダウンロードは前週比164%となる8,000を記録していますが、これはCDおよびレコード合計4種が集計期間初日となる12月13日にリリースされたことに伴います。加えて12月15日にはNetflixにて、アンドリュー・リッジリーへの新たなインタビューとジョージ・マイケルアーカイブ映像を通じて同曲とミュージックビデオを描いたドキュメンタリー番組『Wham!: Last Christmas Unwrapped』が配信されたことも影響しています。

 

(ケリー・クラークソン「Underneath The Tree」は公式ミュージックビデオがライブ映像仕様となっています。)

 

アリアナ・グランデによる2014年リリースの「Santa Tell Me」が14→9位、ケリー・クラークソンの2013年作「Underneath The Tree」が15→10位にそれぞれ上昇。2曲とも2023年のクリスマスシーズンに過去最高位となる11位を記録し、今回共に初のトップ10入りを果たしています。

アリアナ・グランデ「Santa Tell Me」はストリーミングが前週比17%アップの2770万、ダウンロードが同12%アップの1,000およびラジオが同3%アップの890万を、ケリー・クラークソン「Underneath The Tree」はストリーミングが前週比19%アップの2840万、ダウンロードが同1%ダウンの2,000およびラジオが同16%アップの920万を、それぞれ記録しています。「Underneath The Tree」の数値が3指標すべて高いながら「Santa Tell Me」が総合順位で上回っているのは、ストリーミング指標が有料会員の1回再生と無料会員のそれとでウエイトが異なるというチャートポリシー(集計方法)に基づきます。

アリアナ・グランデは今回が23曲目のトップ10入り、ケリー・クラークソンにとっては「Piece By Piece」が2016年3月に8位を記録して以来12曲目となるトップ10ヒットとなります。

クリスマス関連曲のトップ10ヒットとして、「Santa Tell Me」はリリース時期が最も新しい、「Underneath The Tree」が2番目に新しい作品となりました。これまでは2000年に7位を記録したケニー・G「Auld Lang Syne」(1999)が最も新しいクリスマス関連曲のトップ10ヒットとなっていました。なおケニー・G「Auld Lang Syne」は20世紀における注目すべき出来事の映像を動画に織り交ぜたことで、インストゥルメンタル作品のヒットにつなげています。

1990年代にリリースされたクリスマス関連曲のトップ10ヒットはそのケニー・G「Auld Lang Syne」、およびマライア・キャリー「All I Want For Christmas Is You」のみ。ニュー・キッズ・オン・ザ・ブロック「This One's For The Children」(1989 7位)が続きます。

なお米ビルボードでは、アリアナ・グランデ「Santa Tell Me」およびケリー・クラークソン「Underneath The Tree」を主体とする記事も用意されています。

 

最新のトップ10はこちら。

1位 (1位) マライア・キャリー「All I Want For Christmas Is You」

2位 (2位) ブレンダ・リー「Rockin' Around The Christmas Tree」

3位 (4位) ワム!Last Christmas

4位 (3位) ボビー・ヘルムズ「Jingle Bell Rock」

5位 (5位) バール・アイヴス「A Holly Jolly Christmas」

6位 (6位) レディー・ガガブルーノ・マーズ「Die With A Smile」

7位 (11位) アンディ・ウィリアムス「It's The Most Wonderful Time Of The Year」

8位 (12位) ディーン・マーティン「Let It Snow! Let It Snow! Let It Snow!」

9位 (14位) アリアナ・グランデ「Santa Tell Me」

10位 (15位) ケリー・クラークソン「Underneath The Tree」

 

 

続いてグローバルチャートを紹介。200を超える地域の主要デジタルプラットフォームによるストリーミングとデジタルダウンロードで構成され、歌手のホームページでの販売分を含まないグローバルチャート。12月28日付ではGlobal 200、およびGlobal 200から米の分を除くGlobal Excl. U.S.の双方にて、ロゼ (ROSÉ) & ブルーノ・マーズ「APT.」が初登場から9連覇を達成しています。

ロゼ & ブルーノ・マーズ「APT.」はGlobal 200においてストリーミングが前週比4%ダウンの1億4200万およびダウンロードが同4%ダウンの18,000を、Global Excl. U.S.ではストリーミングが前週比4%ダウンの1億2490万およびストリーミングが同1%アップの12,000を、それぞれ記録しています。

「APT.」はGlobal 200において、今年の週間ストリーミング再生回数10位までのうち9つを占めています。

<Global 200 2024年におけるストリーミング週間再生回数上位10曲>

・2億2450万 ロゼ & ブルーノ・マーズ「APT.」(11月2日付)

・2億750万 ロゼ & ブルーノ・マーズ「APT.」(11月9日付)

・1億7680万 テイラー・スウィフト feat. ポスト・マローン「Fortnight」(5月4日付)

・1億6220万 ロゼ & ブルーノ・マーズ「APT.」(11月16日付)

・1億6060万 ロゼ & ブルーノ・マーズ「APT.」(12月7日付)

・1億4990万 ロゼ & ブルーノ・マーズ「APT.」(12月14日付)

・1億4770万 ロゼ & ブルーノ・マーズ「APT.」(12月21日付)

・1億4640万 ロゼ & ブルーノ・マーズ「APT.」(11月23日付)

・1億4200万 ロゼ & ブルーノ・マーズ「APT.」(12月28日付)

・1億3270万 ロゼ & ブルーノ・マーズ「APT.」(11月30日付)

 

マライア・キャリー「All I Want For Christmas Is You」がGlobal 200で2位、Global Excl. U.S.では3位をキープ。Global 200においてはこれまで歴代最長となる通算18週の首位を記録しています(2020年および2021年のクリスマスシーズンに各4週、2022年および2023年は各5週)。なおGlobal Excl. U.S.においては歴代最長タイとなる通算13週の首位を獲得しています。

Global 200では「All I Want For Christmas Is You」を含む6曲のクリスマス関連曲がトップ10入り。ワム!Last Christmas」が3位、ブレンダ・リー「Rockin' Around The Christmas Tree」が5位、ボビー・ヘルムズ「Jingle Bell Rock」が6位をそれぞれキープし、アリアナ・グランデ「Santa Tell Me」が10→9位、ケリー・クラークソン「Underneath The Tree」が11→10位に上昇しています。

Global 200において、レディー・ガガブルーノ・マーズ「Die With A Smile」は4位をキープ。ストリーミングは前週比4%アップの1億2560万を記録、16週連続で1億回超えを達成し同チャートにおける最長記録を自ら更新しています。なおGlobal Excl. U.S.では2位をキープしています。

 

Global Excl. U.S.ではマライア・キャリー「All I Want For Christmas Is You」が3位、ワム「Last Christmas」が4位をキープしたほか、ブレンダ・リー「Rockin' Around The Christmas Tree」が8→7位、ボビー・ヘルムズ「Jingle Bell Rock」が9→8位、シーア「Snowman」が10→9位およびアリアナ・グランデ「Santa Tell Me」が11→10位に、それぞれ上昇しています。