イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

前週のトップ10初登場曲、当週のCHART insightから真のヒット曲に成るかを読む (2024年12月4日公開分)

3月まで記載していたこちらのエントリーを、内容を少しリニューアルした上で夏以降再開しています。先週の内容はこちら。

 

ビルボードジャパンソングチャートの動向を分析する者として、真の社会的ヒット曲とはロングヒットする、年間チャートで上位に進出する作品と位置付けています。週間単位で上位に入ることも素晴らしいですが、他方で所有指標が強い曲は加算2週目、また所有指標的な接触指標をなぞる曲(主にLINE MUSIC再生キャンペーン採用曲)はキャンペーン終了後に指標が急落し、総合でも大きくダウンすることが少なくありません。

この急落は毎週のようにみられます。ソングチャートのトップ10は5曲近くが毎週入れ替わり、ロングヒットするかそうでないかが極端に分かれる状況です。ロングヒット曲は主にライト層の支持が反映されるストリーミング指標が強い一方、急落する曲はコアファンとライト層との乖離が大きいのですが、これらを1週分のチャートから判断することは現状では難しいといえます。

ゆえにこのブログエントリーではチャートポリシー(集計方法)の改善提案をビルボードジャパンに対し行っているのですが、すぐに叶うことはないかもしれません。ならば、あくまで自分なりであると前置きしつつ、チャートの見方を提示したいと考えたのがエントリー復活の理由です。

 

 

<2024年12月4日公開分 ビルボードジャパンソングチャート

 前週初めてトップ10入りした作品の、前週および当週におけるCHART insight>

 

※CHART insightの説明

 

[色について]

黄:フィジカルセールス

紫:ダウンロード

青:ストリーミング

黄緑:ラジオ

赤:動画再生

緑:カラオケ

濃いオレンジ:UGC (ユーザー生成コンテンツ)

 (Top User Generated Songsチャートにおける獲得ポイントであり、ソングチャートには含まれません。)

ピンク:ハイブリッド指標

 (BUZZ、CONTACTおよびSALESから選択可能です。)

 

[表示範囲について]

総合順位、および構成指標等において20位まで表示

 

[チャート構成比について]

累計における指標毎のポイント構成

 

・timelesz「because」

 11月27日公開分 3位→12月4日公開分 100位未満

・米津玄師「Azalea」

 11月27日公開分 5位→12月4日公開分 10位

 

当週におけるストリーミング等動向表はこちら。

 

米津玄師さんはダウンロードの初動が高いゆえこの指標の加算2週目における総合ソングチャートの動向を注視する必要があるのですが、「Azalea」はトップ10内をキープしポイントも前週の7割超えを記録しています。他方、フィジカルセールス指標加算2週目のtimelesz「because」は総合100位未満に後退しています。

 

そのtimelesz、特にメンバーの菊池風磨さんは今年注目を集めています。

9月よりNetflixにて配信されているtimeleszの新メンバーオーディション「timelesz project -AUDITION-」の予告映像から波及した、審査中のメンバー・菊池風磨の一言。ある候補者が途中まで歌ったものの「…忘れちゃいました」と歌唱を断念したことに対して菊池が「歌詞忘れてるようじゃ無理か。歌詞はね、入れとかないと(笑)」と笑いつつも厳しく注意する姿が話題に。ファン以外にも拡散され「〇〇ないようじゃ無理か。〇〇はね、〇〇しておかないと」と別の話題の際にも用いられるようになり“構文”として親しまれた。

バラエティ番組でも採り上げられることの多い”菊池風磨構文”が登場した『timelesz project -AUDITION-』は全世界に配信。この番組のテーマ曲「Anthem」はEP『timelesz』に収録され、既にフィジカルリリースされています。

オーディションではこれまでのSTARTO ENTERTAINMENT(旧事務所時代)所属歌手作品が課題曲として用いられているのですが、気になるのは課題曲の中にデジタル配信されていない作品があるということ。そしてtimeleszにおいては「Anthem」「because」のみならず、Sexy Zone時代の曲も解禁されていません。

日本に住む方、日本のカルチャーを知っている方ならばSTARTO ENTERTAINMENT所属歌手作品のデジタル配信が十分ではないことを(納得するしないにかかわらず)理解し、またそのことに慣れているかもしれません。ゆえにこの状況を仕方ないと思えるかもしれませんが、海外からオーディションに触れ、それを機に日本のカルチャーを知りたいとして音源を探した方が、デジタル未解禁やその背景を知ったならばどう思うでしょう。

 

他方、元Sexy Zone中島健人さんがキタニタツヤさんと組んだGEMN「ファタール」はデジタル先行リリース、ストリーミングで支持を集めロングヒットしています。最新ソングチャートではTHE FIRST TAKE効果に伴い動画再生指標が20位未満から4位に、総合ソングチャートでも36→29位に上昇しています(ポイント前週比125.0%)。22週連続100位以内エントリーを果たし、2024年度年間ソングチャート100位以内登場は確実です。

デジタルリリース曲がすべてヒットするとは限らない、フィジカルが確実に売上が見込めるとして”勝てるところでだけ勝てればいい”という考えがデジタル未解禁歌手や組織に今も通底していると考えます。一方、timeleszはこれまでの組織にはない初の試みを実施。賛否両論あるようですが前例のない挑戦を行うのならば、timeleszそしてSexy Zone時代の作品のデジタルアーカイブ化は挑戦の一環という点でも必要と考えます。