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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

「APT.」「消費期限」「Whiplash」…最新ソングチャートにおけるK-POPの指標構成を考える

最新12月4日公開分(集計期間:11月25日~12月1日)のビルボードジャパンソングチャートでは、ロゼ (ROSÉ) & ブルーノ・マーズ「APT.」が3連覇を達成しています。

ロゼ & ブルーノ・マーズ「APT.」は前週から各指標の数値が増加しています。

本作は、前週と比較してストリーミング数が115%、ダウンロードが132%、動画が141%と増加。

ダウンロード(CHART insightでは紫で表示)が6→3位、動画再生(赤)が3→1位、ストリーミング(青)およびラジオ(黄緑)が首位をキープしたほか、当週はカラオケ(緑)が初めて300位以内に入り加点対象に。ストリーミングにおいては週間1200万回再生を記録しています。

チャートイン6週目となった当週も依然再生回数が伸び続けている同曲。当週は再生回数の前週比は約115.8%を達成し、再生回数は12,127,799回と、チャート全体としてもちょうど20週ぶり(7月17日公開チャートのMrs. GREEN APPLEライラック」の記録)となる週間再生数1,200万回の大台に乗った。

ラジオ指標はプランテックによるOAチャートを基に対象局の聴取可能人口等を踏まえて算出されますが、その基となるチャートでも安定していることが見て取れます。これらにおいては前週の集計期間内に開催された音楽賞でのパフォーマンスが引き続き影響していると考えられます(その点は前週のエントリーでも紹介しています→こちら)。

LINE MUSICでも首位に立った「APT.」は向かうところ敵なしの状況ですが、しかしポイントは前週から減少しているのは気になります。2025年度初週の今回、チャートポリシー(集計方法)を変更したというアナウンスはなかったゆえ尚の事なのですが、それでも2週連続で1万ポイントを突破したのはCreepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」以来であり(5月22~29日付)、その点からも「APT.」の大ヒットがよく解るのです。

 

デジタル先行でリリースしていたSEVENTEEN「消費期限」は総合2位に初登場。初週フィジカルセールスは前作「ひとりじゃない」(2021年4月28日公開分 372,913枚)、その後リリースされたスペシャルシングル「あいのちから」(2021年12月15日公開分 246,904枚)を大きく上回る514,233枚を記録しています。

他方、先述した総合チャートの記事にもあるように、「消費期限」は他指標が高くありません。ダウンロードは29位、動画再生は54位となったほか、ストリーミングやラジオは加点されているものの100位未満となっています。ストリーミングは3週連続で加点されている状態ですが、この曲では11月20~26日の期間中にLINE MUSIC再生キャンペーンが用意されていました。

再生キャンペーンの対象期間が1週間と長くはなく、且つビルボードジャパンソングチャートにおいて前週と当週にまたがっていたため、その効果はチャートに反映されにくかったといえるのですが、それでもストリーミング100位以内に入らなかったのは意外といえます。今回の結果からは、コアファンの(フィジカル売上枚数に対する)多くなさが想起できるかもしれません。

フィジカルセールスが強い曲については、この指標の加算2週目における総合チャートの推移を注視する必要があります。この点は来週金曜のブログエントリーにて紹介しますが、デジタルの動向を踏まえれば「消費期限」が次週急落する可能性は高いと考えられます。ただ、SEVENTEENはアルバムにおいてリリース後にフィジカル向け施策を実行したことがあり、「消費期限」においても行われるかが気になります。

 

ビルボードジャパンソングチャートにおいて、K-POP男性アイドル/ダンスボーカルグループの曲は女性グループよりロングヒットしにくい傾向にあります。ロゼがブルーノ・マーズと組んだ「APT.」、そして当週トップ10に返り咲いたaespa「Whiplash」はストリーミングや動画再生といった接触指標の支持に伴い上位で安定していることから、SEVENTEEN「消費期限」でもこの状況に至るか注目です。