最新11月13日公開分のビルボードジャパンソングチャートでは、Vaundy「風神」が20位に上昇しています。
(上記は最新11月13日付公開分ビルボードジャパンソングチャートにおける、Vaundy「風神」のCHART insight。)
「風神」は10月23日公開分で54位に初登場後、41→31→20位と順調に推移。54位に初登場した際の指標構成は下記のようになっており、今月に入ってミュージックビデオが公開されたことに伴い動画再生指標(CHART insightでは赤で表示)が加点されたことも今回のトップ20入りの一因といえます。
(Vaundy「風神」は10月12日土曜にリリース。10月16日公開分ビルボードジャパンソングチャートではリリースから2日分が加点され、総合では100位未満となっています。)
この「風神」におけるチャートアクションは、主題歌を務めるドラマとのリンクが大きいと捉えています。
先程のCHART insightは無料会員が確認可能な分であり、有料会員とは異なり総合および各指標において21~100位の順位は確認できませんが、後者においては100位未満300位圏内の動向(加点対象となっているか)がチェックできます。またダウンロード指標(紫で表示)はDownload Songs、ストリーミング(青)はStreaming Songsチャートが基になり、基本的に指標化時も順位は変わらず、またチャートは100位まで確認できます。
CHART insight無料会員分が確認可能な範囲でいえば、フィジカルシングル未リリースのVaundy「風神」はダウンロードが総合100位未満だった10月16日公開分にて31位に初登場した後に14→17→9→6位、ストリーミングは10月23日公開分で100位未満(300位圏内)となり初加点された後に58→42→23位と推移。またラジオ(黄緑)は10月23日公開分以降12→10→11位と推移し、当週はダウンするも加点されているものと思われます。
Vaundy「風神」のヒットは、同曲が『ライオンの隠れ家』(TBS)の主題歌になっていることが背景にありますが、Vaundyさんはこのドラマにおいてオープニング映像を手掛けています。
(上記動画は第1話ダイジェスト版。)
またこのドラマに出演する齋藤飛鳥さんが、「風神」のミュージックビデオに出演。この動画においても、Vaundyさんが監督を務めています。
ドラマ『ライオンの隠れ家』と「風神」(ミュージックビデオを含む)とのリンクの高さが、Vaundyさんのコアファンのみならずドラマのコアファンの方々も引き込んでいる(ことでヒットしている)と考えるのは自然なことです。加えてこのドラマ自体の支持が大きいことも、「風神」のヒット拡大につながっていると考えます。
視聴率も掲載されていますが、ビデオリサーチ社は現在、世帯よりも個人視聴率を重視している印象があります。
— Kei (ブログ【イマオト】/ポッドキャスト/ラジオ経験者) (@Kei_radio) 2024年11月16日
視聴率において個人的に参考にしているのは録画視聴率および総合視聴率です。後者はリアルタイムと録画を足して重複分を引くというもので、ドラマが実は結構見られていることが分かります。 https://t.co/jpsbLhGROL
noteプロデューサー/ブロガーの徳力基彦さんによる(noteに基づく)ポストに反応した内容を上記に。徳力さんはnoteにて今見るべき「2024年秋ドラマ」ランキングTOP5! 第1位は「海に眠るダイヤモンド」【2024年最新調査結果】 | エンタメ ねとらぼリサーチ(11月13日付)の結果を紹介しつつ、視聴率と少なからず乖離していると指摘されています。
(noteでは下記サイゾーウーマンの記事を用いてリアルタイム視聴率を紹介していますが、視聴率調査を実施するビデオリサーチ社は数値の転載を禁止しており、このブログでは数字の掲載を控えます。)
ただ面白いのは、『ライオンの隠れ家』がアンケート調査で2位を獲得するも初回視聴率は高くはない(【秋ドラマ視聴率ランキング】トップは12.6%『相棒』、2位『ザ・トラベルナース』でテレ朝独走|サイゾーウーマン(10月23日付)ではトップ10圏外であることが判明している)ながら、実は録画や総合視聴率で高いという点にあります。
ビデオリサーチ社はリアルタイム視聴率(最も多く用いられる指標)のみならず、録画分の視聴を算出したタイムシフト視聴率、そしてリアルタイムとタイムシフトを足して重複分を除いた総合視聴率を発表しています。タイムシフトおよび総合視聴率は遅れて発表されるため現時点で10月28日~11月3日分までの公開にとどまっていますが、その最新週にて『ライオンの隠れ家』は個人/世帯共にタイムシフト首位を記録しています。
さらに最新週において、タイムシフト個人視聴率のトップ10はすべて連続ドラマが占めています。ドラマはTVerやサブスクサービス等でも視聴可能なことから、リアルタイム視聴率と実態が最も乖離するジャンルといえるでしょう。その中で『ライオンの隠れ家』のタイムシフト個人視聴率は第4回までにおいて3→4→2→1位と推移しているのです。この点から、ドラマ人気が少しずつ高まっていると考えていいかもしれません。
人気ドラマの主題歌が必ずしもヒットするわけではないことも踏まえるに、Vaundy「風神」はドラマの着実な人気上昇、ドラマとVaundyさんの深い関わり、そしてミュージックビデオとの連動が功を奏し、チャートヒットにつながっているといえるでしょう。
サブスクに強いとされ、ロングヒット曲を複数輩出している歌手であってもすべての作品がヒットするわけではないというのが、厳しくも現在の音楽チャートからみえてくることです。その中にあってVaundy「風神」が新たなロングヒット曲の仲間入りを果たすか、注目です。