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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

FRUITS ZIPPER、CUTIE STREET…KAWAII LAB.所属歌手作品のヒットが業界の考え方を変える可能性

昨日放送の『ミュージックステーション』(テレビ朝日)で、FRUITS ZIPPERがKAWAII LAB.所属の歌手と共に「NEW KAWAII」を披露しました。

「NEW KAWAII」はFRUITS ZIPPERが9月にリリースした最新のフィジカルシングル。FRUITS ZIPPERにおいては番組内で話題に挙がった「わたしの一番かわいいところ」が最新11月13日公開分のビルボードジャパンソングチャートで48→39位に上昇しており、今回のテレビ出演を経て「NEW KAWAII」のみならず「わたしの一番かわいいところ」も上昇するかもしれません。

 

さて、KAWAII LAB.所属歌手では昨日の『ミュージックステーション』に出演したCUTIE STREETによる「かわいいだけじゃだめですか?」が最新のビルボードジャパンソングチャートで26→19位に上昇し、自身初のトップ20入りを果たしています。

CHART insightから解るように、「かわいいだけじゃだめですか?」は動画再生(赤で表示)やストリーミング(青)が牽引。またソングチャートの構成指標ではないものの、”踊ってみた”や”歌ってみた”に代表されるUGC(ユーザー生成コンテンツ)の人気を示すTop User Generated Songsチャート(茶色)が接触指標群より早く上位に進出していることが解ります。この動きはTikTokの人気を示すTikTok Weekly Top 20チャートも同様です。

CUTIE STREETの「かわいいだけじゃだめですか?」は連続首位記録が5でストップしたものの、公式アカウントから倍速チャレンジや「誰が歌っているでしょうか!?」チャレンジに挑戦する投稿が続いており、高いポイント数を維持している。

CUTIE STREETは今週、「かわいいだけじゃだめですか?」のフィジカルシングルをリリース。次週11月20日公開分のビルボードジャパンソングチャートでフィジカルセールス指標が初加算されることから、CUTIE STREETはキャリア初のトップ10入りを狙える位置にいるといえます。直近ではこのような動きもあったゆえ、尚の事です。

 

 

KAWAII LAB.所属歌手作品については以前このブログで紹介しましたが(→こちら)、ヒット規模はその頃から拡大しています。所属歌手がコンセプトにしていると思しき”かわいい”が若年層に浸透し歌手自体の認知度も高まっているということは、発表済の分(下記参照)を含め今後様々なメディアから発信される2024年のトレンド総括記事にFRUITS ZIPPERやリリース曲がランクインすることで証明されていくでしょう。

それらを踏まえるに、『第75回NHK紅白歌合戦』(NHK総合ほか)においてKAWAII LAB.の中でいち早くヒット曲を輩出したFRUITS ZIPPERが出場するのではと捉えています(今年2回目以降の紅白出場歌手予想(最終予想はこちら)にてFRUITS ZIPPERを挙げています)。その際、今回の『ミュージックステーション』のようにKAWAII LAB.所属歌手もパフォーマンスに参加するかもしれません。

自分も参加させていただいた音楽ナタリーの紅白予想コラムでは、音楽ジャーナリストの柴那典さんがFRUITS ZIPPERの初出場を予想した上で、『女性アイドルグループの世代交代を印象付けることになるのでは』と記しています。柴さんの指摘に同意するとともに、ともすればチャートヒットに対する歌手側(運営側)の考え方や意識が変わるきっかけにも成るのではと感じています。

 

実際、女性アイドルやダンスボーカルグループにおいてはILLIT「Magnetic」に代表されるようなストリーミングを主軸としたロングヒット曲がK-POPに存在する一方、日本の女性アイドルによる作品はフィジカルセールス指標初加算に伴い上位に進出しても直後に急落することが大半です。またAKBグループのようにフィジカルセールスが断続的に加算される形でロングヒットする曲もありますが、接触指標群が伴っていません。

その中でFRUITS ZIPPERやCUTIE STREETはストリーミングを主軸にヒットし、後者による「かわいいだけじゃだめですか?」は最良といえるタイミングでフィジカルセールス指標が加点されることとなります。またUGCTikTokでもヒットし、若年層への浸透度も高い状況です。KAWAII LAB.所属歌手の紅白出場が叶えばアイドル業界がデジタルへ注力するようになるかもしれない…その意味でも紅白の動向に注目しています。