3月まで記載していたこちらのエントリーを、内容を少しリニューアルした上で夏以降再開しています。先週の内容はこちら。
ビルボードジャパンソングチャートの動向を分析する者として、真の社会的ヒット曲とはロングヒットする、年間チャートで上位に進出する作品と位置付けています。週間単位で上位に入ることも素晴らしいですが、他方で所有指標が強い曲は加算2週目、また所有指標的な接触指標をなぞる曲(主にLINE MUSIC再生キャンペーン採用曲)はキャンペーン終了後に指標が急落し、総合でも大きくダウンすることが少なくありません。
急落傾向はここ最近、特に目立っています。ソングチャートのトップ10は5曲近くが毎週入れ替わり、ロングヒットする(その可能性を持ち合わせている)かそうでないかが極端に分かれる状況です。ロングヒット曲は主にライト層の支持が反映されるストリーミング指標が強い一方、急落する曲はコアファンとライト層との乖離が大きいのですが、これらを1週分のチャートから判断することは現状では難しいといえます。
ゆえにこのブログエントリーでは上記提案をビルボードジャパンに対して行っていますが、すぐに叶うことはないかもしれません。ならば、あくまで自分なりであると前置きしつつ、チャートの見方を提示したいと考えたのがエントリー復活の理由です。
ビルボードジャパンは9月下旬、CHART insightが完全な形でリニューアルを果たしています。3月のリニューアル時には円グラフを累計ポイントの構成比(ソングチャートの構成指標にはないTop User Generated Songsチャートも含む)に切り替えるとしていましたが、実際は当週(最新週)における構成比が表示され続けていました。それが累計ポイントに切り替った形です。ゆえに、当週(最新週)の指標構成は見えにくくなっています。
<2024年10月2日公開分 ビルボードジャパンソングチャート
前週初めてトップ10入りした作品の、前週および当週におけるCHART insight>
※CHART insightの説明
[色について]
黄:フィジカルセールス
紫:ダウンロード
青:ストリーミング
黄緑:ラジオ
赤:動画再生
緑:カラオケ
濃いオレンジ:UGC (ユーザー生成コンテンツ)
(Top User Generated Songsチャートにおける獲得ポイントであり、ソングチャートには含まれません。)
ピンク:ハイブリッド指標
(BUZZ、CONTACTおよびSALESから選択可能です。)
[表示範囲について]
総合順位、および構成指標等において20位まで表示
[チャート構成比について]
累計における指標毎のポイント構成
・日向坂46「絶対的第六感」
9月25日公開分 1位→10月2日公開分 70位
・パンダドラゴン「ないとびふぉーあだんす」
9月25日公開分 5位→10月2日公開分 100位未満
・FRUITS ZIPPER「NEW KAWAII」
9月25日公開分 10位→10月2日公開分 100位未満
当週におけるストリーミング等動向表はこちら。
さて、今回紹介した3曲は前週木曜、このように紹介しています。
結果的には日向坂46「絶対的第六感」のみが100位以内に残った形ですが、それでも70位となり大きく後退しています。むしろFRUITS ZIPPERによる別曲、「わたしの一番かわいいところ」が62→65位と順位を落としながらも100位以内ランクインを6週連続へと伸ばしており、歌手としての勢いを着実に高めていることを実感しています。
さて当週は、前週再浮上したAKB48「恋 詰んじゃった」が29→27位に上昇、そしてTOMORROW X TOGETHER「ひとつの誓い (We'll Never Change)」が100位圏外→29位に再浮上。2曲共にフィジカルセールス指標で、「恋 詰んじゃった」は前週以降、「ひとつの誓い (We'll Never Change)」は当週再浮上したことが影響していますが、一方でフィジカルセールス以外の指標は300位未達によりポイント未加算となっています。
2位には、今年7月発売のAKB48『恋 詰んじゃった』がチャートイン。同じく7月にリリースされたTOMORROW X TOGETHERの日本4thシングル『誓い (CHIKAI)』が3位に続く。それぞれの累計売上推定枚数は601,366枚、642,894枚だ。
【ビルボード】Hey! Say! JUMP『UMP』22万枚でシングル1位、AKB48/TXTが続く https://t.co/BfhYLvRp3f
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2024年9月30日
AKB48がレコード会社移籍後行っている、フィジカルセールスに特化した長期施策が他の歌手でもみられるようになってきました。しかしながらこの施策が途絶えた時に他指標がカバーできず総合100位圏内から脱落することもデフォルトという状況です。フィジカルセールスに特化した施策がコアファンの熱量は高めるものの、ライト層との乖離が埋められないのならば、社会的ヒット曲に成ったとみなすのは難しいと考えます。
昨日Hey! Say! JUMP「UMP」の首位獲得をお伝えした際、ロングヒットに至るかを判断する基準として紹介した"ヒットの7段階"表を再掲します。AKB48は近年の施策に伴い第2段階に達してはいるものの、第3段階とは大きな隔たりがあります。それをどう埋めるか、いやデジタルをそもそも重視しているのかが、とても気になります。