(※追記(8月14日13時44分):エントリー内にて掲載していたストリーミング表に誤りがありました。Vaundy「タイムパラドックス」のLINE MUSICにおける当週順位を26位と記載していましたが、正しくは22位でした。つきましては訂正の上、正しい表を掲載しております。心よりお詫び申し上げます。)
3月まで記載していたこちらのエントリーを、内容を少しリニューアルした上で先月復活しています。先週の内容はこちら。
ビルボードジャパンソングチャートの動向を分析する者として、真の社会的ヒット曲とはロングヒットする曲、年間チャートで上位に進出する曲と位置づけています。週間単位で上位に入ることも素晴らしいですが、他方で所有指標が強い曲は加算2週目、また所有指標的な接触指標をなぞる曲(主にLINE MUSIC再生キャンペーン採用曲)はキャンペーン終了後に指標が急落し、総合でも大きくダウンすることが少なくありません。
急落傾向はここ最近、特に目立っています。ソングチャートのトップ10は週平均5曲程が毎週入れ替わり、ロングヒットする(その可能性を持ち合わせている)かそうでないかが極端に分かれる状況です。ロングヒット曲は主にライト層の支持が反映されるストリーミング指標が強い一方、急落する曲はコアファンとライト層との乖離が大きいのですが、これらを1週分のチャートから判断することは現状では難しいといえます。
ゆえにこのブログエントリーでは上記提案をビルボードジャパンに対して行っていますが、すぐに叶うことはないかもしれません。ならば、あくまで自分なりであると前置きしつつ、チャートの見方を提示したいと考えたのがエントリー復活の理由です。
<2024年8月7日公開分 ビルボードジャパンソングチャート
前週初めてトップ10入りした作品の、前週および当週におけるCHART insight>
※CHART insightの説明
[色について]
黄:フィジカルセールス
紫:ダウンロード
青:ストリーミング
黄緑:ラジオ
赤:動画再生
緑:カラオケ
濃いオレンジ:UGC (ユーザー生成コンテンツ)
(Top User Generated Songsチャートにおける獲得ポイントであり、ソングチャートには含まれません。)
ピンク:ハイブリッド指標
(BUZZ、CONTACTおよびSALESから選択可能です。)
[表示範囲について]
総合順位、および構成指標等において20位まで表示
[チャート構成比について]
最新週における指標毎のポイント構成
(CHART insight改定以降は累計ポイントにおける構成比に変更した、とビルボードジャパンは説明しています。)
・THE RAMPAGE from EXILE TRIBE「24karats GOLD GENESIS」
7月31日公開分 1位→8月7日公開分 18位
・STARTO for you「WE ARE」
7月31日公開分 4位→8月7日公開分 100位未満 (300位圏内)
・こっちのけんと「はいよろこんで」
7月31日公開分 8位→8月7日公開分 9位
当週におけるストリーミング等動向を記した表はこちら。
THE RAMPAGE from EXILE TRIBE「24karats GOLD GENESIS」については別途エントリーで紹介しています。
今回紹介した3曲は当週、大きな差が生じています。こっちのけんと「はいよろこんで」はストリーミング再生回数が前週からダウンしていますが、ストリーミング指標上位10曲のほぼすべてが再生回数を下げている(おそらくは音楽聴取がオリンピック視聴に移行している)ことを踏まえれば、同曲は安定しているといえるでしょう。そのストリーミングやダウンロード指標では順位を上げ、総合ポイントも上昇しています。
一方で、STARTO for you「WE ARE」は4位から100位圏外に急落。この曲は4月10日21時にリリースされ、4月17日公開分のビルボードジャパンソングチャートで初登場を果たしていました。初週のCHART insightおよびエントリーは以下に。
一方で同曲はストリーミング指標が一度も加点されず、動画再生指標20位以内は一度のみの状況です。デジタルリリース前にリリックビデオのショートバージョンが登場していますが、そのフルバージョンが5月中旬、そしてミュージックビデオが6月初めに公開。デジタルやフィジカルのリリースに沿わせる形ではない動画公開スケジュールは、デジタル/フィジカルのチャート上昇に寄与したとは言い難いのではと考えます。
STARTO for youにはSnow Manも参加していますが、「BREAKOUT」が当週初動ミリオンセールスを達成したのに対し「WE ARE」は初週20万枚強となっており、歌手のファンがチャリティソングを購入するわけではないといえます。それでも、こちらもチャリティソングであり前事務所名義時リリースとなるTwenty★Twenty「smile」の売上(2020年8月19日公開分で初週430,038枚を記録)を踏まえれば、今作での半減は気になります。
STARTO for you「WE ARE」リリースの意義は上記で触れられていますが、収益が大きくなるほど能登半島地震被災者への寄付金が増えると考えれば、デジタルの接触や所有、フィジカルの所有を促す施策のより有効な形でのアプローチは必須だったはずです。またデジタルには廃盤の概念がなく、わずかでも利益が出続ける以上、今年いっぱいでデジタルを終了する必要はないと考えます。
「WE ARE」においてはチャリティソングという性質を踏まえて施策の実施を躊躇ったのかもしれません。しかしながら施策の上手くなさが気になったと共に、ともすればSTARTO ENTERTAINMENTにおいてはデジタルの、もしくはデジタルとフィジカルを組み合わせた形での、有効な施策が身についてはいないのではと感じています。であるならば、今からでもデジタルにオープンになり、研鑽を積むことが最善です。