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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

連続トップ20入りのTHE RAMPAGE from EXILE TRIBE「24karats GOLD GENESIS」、指標構成からみえるものとは

最新8月7日公開分のビルボードジャパンソングチャートでSnow Man「BREAKOUT」が首位を獲得したことについては、昨日のエントリーで紹介しています。

一方、前週首位に立ったTHE RAMPAGE from EXILE TRIBE24karats GOLD GENESIS」は18位に後退。フィジカルセールス指標初加算に伴い首位を獲得したこの曲ですが、トップ10内をキープすることはできませんでした。

THE RAMPAGE from EXILE TRIBEは、前作「CyberHelix」がフィジカルセールス初加算週以降6→49位と推移。ゆえに今作「24karats GOLD GENESIS」は大きく飛躍していると捉えることも可能ですが、一方で指標構成からみえてくるものがあります。

 

 

THE RAMPAGE from EXILE TRIBE24karats GOLD GENESIS」は前週および当週共に、構成6指標のうち3指標で100位以内に。フィジカルセールスは1→7位(指標の基となる売上枚数は326,342枚→13,776枚)、ストリーミングは68→49位(指標の基となる再生回数は2週共に不明)、ラジオは1→3位と推移しています。一方、ダウンロード、動画再生およびカラオケは2週続けて300位以内に入らず、加点されていません。

 

ストリーミングは好調にみえますが、LINE MUSICで再生キャンペーン第2弾を開催したことが功を奏した形です。上記表(完全版は別エントリーにて掲載)から解るように、Apple MusicやSpotifyでは圏外となっていることから、「24karats GOLD GENESIS」は(LINE MUSIC再生キャンペーン特有の)コアファンによる再生、そしてコアファンとライト層との乖離が想起されます。

 

前週のエントリーでは二度目のLINE MUSIC再生キャンペーンのほか、ラジオ指標の基となるプランテック調べのOAチャートについても紹介しています。局地的な大量OAをキープしてきたこと、フィジカルセールス初加算週に複数の番組でゲストやコメントでの出演があったことをお伝えしましたが、当週もOAチャートで8位、指標化の際には3位に達しています(当週のOAチャートはこちら)。

ソングチャートにおいて最もランクダウンが激しい指標のひとつであるラジオ指標において、THE RAMPAGE from EXILE TRIBE24karats GOLD GENESIS」は8週連続で20位以内に登場。今年を代表するヒットとなったCreepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」のラジオ指標20位以内連続エントリーが12週、Mrs. GREEN APPLEライラック」においては連続5週であり、「24karats GOLD GENESIS」のこの指標での強さが解ります。

一方で前週のエントリーでも言及しましたが、THE RAMPAGE from EXILE TRIBE24karats GOLD GENESIS」のラジオOAにおいて、リクエストに因るものがどれだけあるかは今回もみえていません。ライト層の支持が反映されやすいストリーミングや動画再生指標がこの2週間300位以内に入っていないことを踏まえれば、ラジオにおいては歌手側の施策が大きく作用していると捉えていいでしょう。

 

 

チャートを毎週分析する者として、真の社会的ヒットとはロングヒットし年間チャートで上位に進出する作品であると断言できます。その位置に至るには、ライト層の支持拡大および安定が欠かせません。ロングヒット曲においては獲得ポイントの過半数がストリーミング指標で占められており、ライト層支持がはっきり可視化されています。

しかしながらTHE RAMPAGE from EXILE TRIBE24karats GOLD GENESIS」では、コアファンの支持を継続させることでロングヒットに繋げようとする姿勢が見て取れます。ラジオにおいてはコアファンというよりも運営側の施策ですが、似た部分があるといえるかもしれません。

最近ではAKB48をはじめとするAKBグループがフィジカルシングルリリース後の施策を幾度となく開催し、フィジカルセールスを復活させ総合チャートでもランクインする(100位以内への返り咲きを含む)という状況が目立っています。上記2曲はその典型です。一見してヒットが継続しているように見えますが、しかし指標構成を踏まえればライト層獲得とは程遠いと断言可能です。

 

 

コアファンの熱量継続に伴うヒット曲は、次のシングル登場のタイミングで急激なランクダウンを招きかねません。また時間や金銭といった物理的、そして精神的な疲労によりコアファンを辞める方も出てくる可能性があります。難しいことは承知で記しますが、コアファンを過熱させすぎず、同時にライト層の支持獲得に動くほうが健全だと考えます。