イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

Adoのアルバムチャートにおける強さ、そして『残夢』での長期的プロモーションが興味深い

最新7月17日公開分のビルボードジャパンアルバムチャートでは、Ado『残夢』が首位初登場を果たしています。

Ado『残夢』はフィジカルセールスおよびデジタルの構成2指標で共に首位、いわば完全制覇を成し遂げています。

 

2024年度のビルボードジャパン週間アルバムチャートで完全制覇を達成したのは6作品。そのうちAdo『残夢』はフィジカルセールス10万超え、ダウンロード6千強、および2指標の合算ユニット数に対するダウンロード数の割合が5%突破という好成績を収めています。

 

Adoさんによるアルバム4枚の初週動向をみると、『狂言』が2022年2月2日公開分で首位(フィジカルセールス1位(142,724枚)/ダウンロード1位(13,987DL))、『ウタの歌 ONE PIECE FILM RED』が同年8月17日付で首位(2位(108,416枚)/1位(30,528DL))、『Adoの歌ってみたアルバム』が2023年12月20日公開分で2位(2位(70,067枚)/1位(10,398DL))を記録。『Adoの歌ってみたアルバム』は4週目に総合チャートを制しており、Adoさんは全作品で首位を獲得したのみならず、『残夢』は『狂言』以来の完全制覇を果たしています。

一方で『残夢』の初週動向(フィジカルセールス112,441枚/ダウンロード6,667DL)からはダウンロードの大きくなさが目立つともいえるのですが、その『残夢』ではプロモーションが長期に渡り行われることから、Adoさん側はロングタームでの売上増加を狙っているのではと捉えています。

 

Adoさんは明日放送の『徹子の部屋』(テレビ朝日)、そして7月31日放送の『あちこちオードリー』(テレビ東京)に、いずれもリモートにて出演。これらは『残夢』のリリースに伴うプロモーションの一環といえるでしょう。しかしながらこのようなプロモーションが、後者においてはリリースの3週間後に行われることを興味深く感じます。

 

そしてユニバーサル・スタジオ・ジャパンによるハロウィン(ハロウィーン)イベントでは、昨年大ヒットした「唱」が再び使用されます。このイベントでは2018年から5年連続で三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE「Rat-tat-tat」(YouTubeこちら)が使われていたこともあり、「唱」の複数年起用も既定路線なのかもしれません。

定期イベントの関連では新たなバズを生み出すべく、毎年様々な歌手に新曲制作を依頼することが多いイメージがあるのですが、複数年での起用はイベントが毎年恒例の祭りであることを前面に訴求したい狙いもあるかもしれません。また近年の音楽チャートではハロウィンやクリスマスに定番曲(前者はマイケル・ジャクソン「Thriller」、後者はマライア・キャリー等)が毎年上昇することも、複数年起用につながったものと考えます。

 

そして今回の「唱」再登板は、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン側の狙いもさることながらAdoさん側においても、同曲を収録したアルバム『残夢』の注目度を高めるためのプロモーションに成り得ると判断して了承したのではと推測します。

アルバム収録曲を先行シングルの形でリリースし続け、アルバムを出したところでリリースに関する動きはひとまず区切るという従来の流れから、アルバムリリース後も施策を打つ(複数曲でミュージックビデオを用意する等)という傾向に切り替わってきた印象がありますが、大ヒットした先行曲/アルバム収録曲を再度用いてアルバムの注目度を高めようとする動きは珍しいといえ、Adoさん側の巧さを感じた次第です。