3月まで記載していたこちらのエントリーを、内容を少しリニューアルした上で先週復活しました。CHART insightの仕様が変わり以前と同様に作ることはできないものの、しかし作成する必要があると考えた次第です。先週の内容はこちら。
ビルボードジャパンソングチャートの動向を分析する者として、真の社会的ヒット曲とはロングヒットする曲、年間チャートで上位に進出する曲と位置づけています。週間単位で上位に入ることも素晴らしいですが、他方で所有指標が強い曲は加算2週目、また所有指標的な接触指標をなぞる曲(主にLINE MUSIC再生キャンペーン採用曲)はキャンペーン終了後に指標が急落し、総合でも大きくダウンすることが少なくありません。
急落傾向は特にこの2ヶ月で目立っています。ソングチャートのトップ10は週平均5曲前後が毎週入れ替わり、ロングヒットする(その可能性を持ち合わせている)かそうでないかが極端に分かれる状況です。ロングヒット曲は主にライト層の支持が反映されるストリーミング指標が強い一方、急落する曲はコアファンとライト層との乖離が大きいのですが、これらを1週分のチャートから判断することは現状では難しいといえます。
ゆえにこのブログエントリーでは上記提案をビルボードジャパンに対して行っていますが、すぐに叶うことはないかもしれません。ならば、あくまで自分なりであると前置きしつつ、チャートの見方を提示したいと考えたのがエントリー復活の理由です。
<2024年7月3日公開分 ビルボードジャパンソングチャート
前週初めてトップ10入りした作品の、前週および当週におけるCHART insight>
※CHART insightの説明
[色について]
黄:フィジカルセールス
紫:ダウンロード
青:ストリーミング
黄緑:ラジオ
赤:動画再生
緑:カラオケ
濃いオレンジ:UGC (ユーザー生成コンテンツ)
(Top User Generated Songsチャートにおける獲得ポイントであり、ソングチャートには含まれません。)
ピンク:ハイブリッド指標
(BUZZ、CONTACTおよびSALESから選択可能です。)
[表示範囲について]
総合順位、および構成指標等において20位まで表示
[チャート構成比について]
最新週における指標毎のポイント構成
(CHART insight改定以降は累計ポイントにおける構成比に変更した、とビルボードジャパンは説明しています。)
・IS:SUE「CONNECT」
6月26日公開分 2位→7月3日公開分 100位未満(300位圏内)
・JxW (SEVENTEEN) Guitar by Park Juwon「Last Night」
6月26日公開分 3位→7月3日公開分 100位未満(300位圏内)
・NewJeans「Supernatural」
6月26日公開分 8位→7月3日公開分 7位
・カラフルダイヤモンド「まるごとJELLY BE∀NS」
6月26日公開分 10位→7月3日公開分 100位未満(300位圏内)
前週トップ10内に初登場を果たした4曲のうち、当週初の1週間フル加算となったNewJeans「Supernatural」は順位をひとつ上げた一方、3曲は100位未満(300位圏内)へ後退しました。IS:SUE「CONNECT」およびカラフルダイヤモンド「まるごとJELLY BE∀NS」は2週続けてストリーミング指標を獲得できなかったことが大きいといえます。
またSEVENTEENのJEONGHAN & WONWOOによる「Last Night (Guitar by Park Juwon)」は前週の集計期間初日にあたる6月17日18時から当週の集計期間2日目となる6月25日まで、LINE MUSIC再生キャンペーンを実施しています。当週もストリーミング指標を獲得しているものの順位を落とし、他指標で補填できなかったことが総合100位以内にとどまることができなかった要因といえます。詳細は下記表をご参照ください。
(前週の表は(追記あり) 前週のトップ10初登場曲、当週のCHART insightから真のヒット曲に成るかを読む (2024年6月26日公開分)(6月28日付)に掲載しています。)
実はNewJeans「Supernatural」においても、LINE MUSIC再生キャンペーンが実施されていました。
終了日時は先述した「Last Night」と同日であり、その6月25日までの1週間においてはLINE MUSIC週間ランキングで「Supernatural」が5位、「Last Night」が10位に入っていたものの、7月2日までの1週間においては前者が25位に対し後者は100位未満に。また前週の段階では「Last Night」において、Apple MusicやSpotifyとLINE MUSICとで順位に乖離が生まれていました。
冒頭で『真の社会的ヒット曲とはロングヒットする曲、年間チャートで上位に進出する曲』と定義した者として、その中長期によるチャートやストリーミング比較表を踏まえた上でサブスクサービス間の順位の乖離を小さくすることが重要だと提案してきましら。それに対し、主に10代等から支持を得ている歌手ならば若年層の利用が多いLINE MUSICに人気が偏るのは自然ではという声も耳にしています。
LINE MUSICは毎月ランキングを発表、また今週は上半期ランキングを公開しています。記事には各ランキングの上位100曲を収めたプレイリストのリンクも貼付されていますが、総合ランキングと10代編においてラインナップに大きな違いはなく、短期的にはLINE MUSIC再生キャンペーンを採用する曲が強くとも中長期にはそうではないことが解ります。企画採用曲であれ、その終了後も強い作品が中長期的ヒットにつながります。
若年層は流行のいち早い把握に長けているだろうことがMrs. GREEN APPLE「ライラック」やILLIT「Magnetic」の動向からみえてきますが、人気曲は年代によってそこまで大きな差はないといえます。それを踏まえれば、真の社会的ヒット曲やその可能性を持ち合わせた作品はどのサブスクサービスでも強いわけで、作品が社会的ヒットに成るためにはサブスクサービス間での順位の乖離が解消されることが必要ではと考えます。