イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

Mrs. GREEN APPLE「コロンブス」が登場2週目にラジオで急上昇、その背景にあるものを考える

ビルボードジャパンソングチャートにおいて前週トップ10内に初エントリーを果たした曲の翌週動向から真の社会的ヒットに成るかを考えるという、3月まで行っていたエントリーを復活しました。

真の社会的ヒットに成り得る曲の可視化のみならず、現状のチャートポリシーの見直しの必要性や現行ポリシー下でのチャートの見方を伝えるべく再開しています。またビルボードジャパンに対し、ポッドキャストの復活も願っています。

 

上記エントリーでは最新6月26日公開分について採り上げていますが、紹介した5曲のうち唯一トップ10内をキープしたMrs. GREEN APPLEコロンブス」において気になる動きがあり、今回紹介します。

 

Mrs. GREEN APPLEコロンブス」は最新6月26日公開分ビルボードジャパンソングチャートで総合4→5位となり、ダウンロード2→4位、ストリーミング5→4位と推移しています。動画再生についてはミュージックビデオ問題に伴い引き上げがありながらも公式オーディオ公開効果もあり加算対象となっているのがポイントです。そして特筆すべきと考えるのが、ラジオ指標の20位圏外→2位という急上昇です。

 

ラジオ指標は、プランテックによる全国主要ラジオ局(31局)のOA回数に、各放送局の聴取可能人口等を踏まえて算出したもの。プランテックの記事はミュージックマンにて掲載されていますが、最新OAチャート記事からは「コロンブス」のラジオ指標における前週順位が低かったことが解ります。

2位はMrs.GREEN APPLEコロンブス」が前週64位から急浮上した。6月12日の配信リリースとともにオンエアが開始された同曲は、引き続きFMでの帯番組/コーナーといった定期枠を中心にオンエアを獲得。前週から632%のオンエア増と、リリースの翌週に大きく伸長したかっこうだ。

 

ビルボードジャパンのCHART insightをみると、「コロンブス」の登場2週目におけるラジオ指標の上昇幅はMrs. GREEN APPLEが今年リリースした曲の中では大きいといえます。初週および2週目の同指標は「ナハトムジーク」が14→1位、「ライラック」が20位圏外→8位、「Dear」が13→2位と推移していますが、それぞれのリリース日は順に水曜、金曜、月曜、そして「コロンブス」が水曜となっています。

ラジオ指標は集計対象が31局と少なく、総放送時間も限られるゆえ初の1週間フル加算時となる2週目(「Dear」を除く)が有利になるといえます。その中にあって「ライラック」が伸びたのは同曲が金曜リリースであり、初週は集計対象が3日のみだったためといえるでしょう。ゆえに水曜リリースの「コロンブス」における急浮上を特筆すべきと感じています。

ミュージックビデオの問題はあってはならないことですが、公開直後の6月14日金曜に取り下げを行ったことでMrs. GREEN APPLEコロンブス」をはじめとする作品全体のチャートアクションが好調をキープしていることについては以前お伝えしました(上記エントリー参照)。一方で「コロンブス」のラジオ局におけるスタンスは、聴き手の心理と異なるものと捉えています。

 

ビルボードジャパンによる前週6月19日公開分ソングチャートは6月10日からの1週間が集計期間ですが、この週は東名阪のラジオ局にて聴取率調査が行われ、数字を伸ばすべく大半のラジオ局が豪華ゲストやプレゼントを用意するスペシャルウイークが開催されていました。この週は新曲よりも直近の社会的ヒット曲が多くOAされる傾向ですが、言い換えればその期間はOA曲によりこだわりがみられ、また慎重さが表れたと考えます。

Mrs. GREEN APPLEコロンブス」は日本コカ・コーラ看板商品のCMソングですが、同社はミュージックビデオを非難する姿勢を採っています。その姿勢は疑問視されながら(後述するコラム等参照)、ラジオ局側は同社がスポンサー(に成り得る)ということを考慮し問題が収束するまでOAを見送った、且つ聴取率への影響も考慮しOAを控えたことが、「コロンブス」のラジオにおける初動の低さに表れたと感じています。

実際、プランテックの記事では『引き続きFMでの帯番組/コーナーといった定期枠を中心にオンエアを獲得』とあります。"引き続き"であるならば前週も比較的高い位置に登場しておかしくないはずであり、収束までOA見送りという措置が採られたと捉えるのは自然なことでしょう。

 

 

Mrs. GREEN APPLEコロンブス」のラジオ指標の急上昇からラジオ局の対応がみえてきたという考えは、ともすれば邪推だと指摘されかねません。しかしこの違和感が間違いではないだろうことを、下記コラムにて実感しています。また、ラジオ局とテレビ局の情報番組(ミュージックビデオの問題点に触れず公開を訴求しながらも引き上げ後は自身の対応の問題についてほぼスルー)の根底にあるものは似ているとも感じています。

●表現上の問題に気づかず、炎上に加担するメディア

 

――今回の問題をめぐって当事者の企業のみならず、メディアの態度への失望も招きました。

 

民放各局の情報番組は『コロンブス』MVを好意的に取り上げていました。そのような取り上げ方をしていたネットメディアも、ただYoutubeのコメント欄やSNS上で批判の声が高まると、手の平を返したような対応に転じました。コロッと態度を一変させる姿勢にSNS上には諦めにも似た声が相次いで投稿されました。

広告料収入減に直面するメディア各社にとって、日本コカ・コーラは「大切なお客様」となっています。お客様目線に立つ柔軟な対応は合理的な選択なのかもしれませんが、スポンサーシップ・バイアスの影響下に置かれると、正しい選択よりも、自分たちの選択を正しくすることに注意が向くともいわれます。

ラジオ局やテレビ局の情報番組は自身のスタンスをきちんと伝えるべきだったでしょう。ここにも悪い意味での日本らしさを感じてしまったと思うのは、はたして考えすぎでしょうか。