(※追記(7時51分):アンジュルム「美々たる一撃」は、アンジュルム自身がサブスク未解禁であることからストリーミング指標はYouTubeのオーディオストリーミングのみが加算対象となります。それを踏まえ追記、ならびに表の訂正を行いました。)
3月まで記載していたこちらのエントリーを、内容を少しリニューアルした上で復活することとしました。CHART insightの仕様が変わりこのエントリーを以前と同様に作ることはできないものの、しかし作る必要があると考えた次第です。
ビルボードジャパンソングチャートの動向を分析した者として、真の社会的ヒット曲とはロングヒットする曲、年間チャートで上位に進出する曲と位置づけています。週間単位で上位に入ることも勿論素晴らしいですが、他方で所有指標が強い曲は加算2週目、また所有指標的な接触指標をなぞる曲(主にLINE MUSIC再生キャンペーン採用曲)はキャンペーン終了後に指標が急落し、総合でも大きくダウンすることが少なくありません。
急落傾向は特にこの2ヶ月で目立っています。ソングチャートのトップ10は週平均5曲前後が毎週入れ替わり、ロングヒットする(その可能性を持ち合わせている)かそうでないかが極端に分かれる状況です。ロングヒット曲は主にライト層の支持が反映されるストリーミング指標が強い一方、急落する曲はコアファンとライト層との乖離が大きいのですが、これらを1週分のチャートから判断することは現状では難しい状況です。
ゆえにこのブログエントリーでは上記提案をビルボードジャパンに対して行っていますが、すぐに叶うことはないでしょう。ならば、あくまで自分なりであると前置きしつつ、チャートの見方を提示したいと考えたのがエントリー復活の理由です。
<2024年6月26日公開分 ビルボードジャパンソングチャート
前週初めてトップ10入りした作品の、前週および当週におけるCHART insight>
※CHART insightの説明
[色について]
黄:フィジカルセールス
紫:ダウンロード
青:ストリーミング
黄緑:ラジオ
赤:動画再生
緑:カラオケ
濃いオレンジ:UGC (ユーザー生成コンテンツ)
(Top User Generated Songsチャートにおける獲得ポイントであり、ソングチャートには含まれません。)
ピンク:ハイブリッド指標
(BUZZ、CONTACTおよびSALESから選択可能です。)
[表示範囲について]
総合順位、および構成指標等において20位まで表示
[チャート構成比について]
最新週における指標毎のポイント構成
(CHART insight改定以降は累計ポイントにおける構成比に変更した、とビルボードジャパンは説明しています。)
・Travis Japan「Sweetest Tune」
6月19日公開分 2位→6月26日公開分 42位
6月19日公開分 4位→6月26日公開分 5位
・≒JOY「体育館ディスコ」
6月19日公開分 6位→6月26日公開分 100位未満(300位圏内)
・アンジュルム「美々たる一撃」
6月19日公開分 7位→6月26日公開分 100位未満(300位圏内)
・OWV「LOVE BANDITZ」
6月19日公開分 8位 →6月26日公開分 100位未満(300位圏内)
前週初めてトップ10入りした5曲のうち当週もトップ10内をキープしたのはMrs. GREEN APPLE「コロンブス」のみでした。この曲の興味深い動向については後日紹介する予定ですが、その「コロンブス」を除き当週トップ10圏外となった4曲は、Travis Japan「Sweetest Tune」以外はすべて100位圏外へと大きく後退しています。
以下はこの春以降掲載しているストリーミングヒットの一覧表。前週および当週に総合ソングチャートでトップ10入りした曲すべてを載せる形にリニューアルしています。
上記表やCHART insightをみると、総合100位圏外に急落した3曲はストリーミング指標300位未満につきポイントは加算されず、また前週は所有指標(主にフィジカルセールス)が際立っていることから、フィジカルセールス指標加算2週目にそのダウン分をデジタルで補完できなかったことが見て取れます。
(アンジュルム「美々たる一撃」は、アンジュルム自身がサブスク未解禁であることからストリーミング指標はYouTubeのオーディオストリーミングのみが加算対象となります。)
一方、Travis Japan「Sweetest Tune」はフィジカル未リリースであり、前週は高いダウンロード数に伴い総合2位に登場しています。ただ、前週29位を獲得したストリーミング指標は当週71位に急落。これは同曲がLINE MUSIC再生キャンペーンを採用したことが大きく、LINE MUSICと他のサブスクサービスとで順位の乖離が際立っています。
LINE MUSIC再生キャンペーンは主にライト層の人気が可視化される接触指標のストリーミングにおいて、希少性の高いプレゼントを用意することでコアファンの過熱を呼び込みます。キャンペーン終了後は大半の曲が急落する傾向にあり(ゆえに"所有指標的動向をたどる"と形容しています)、「Sweetest Tune」もキャンペーン期間中(6月18日まで)と終了直後のそれぞれ1週間では前者が2位、後者が71位と大きく異なります。よって、ライト層の人気を獲得できない限りは総合チャートにおける次週の急落も考えられます。
CHART insightの推移、またストリーミング指標における主要サブスクサービスの動向からは、曲の人気がコアファンにとどまりがちか、それともライト層にも波及しているかがみえてきます。後者のほうがロングヒットすることはほぼ間違いないのですが、後者の動きをなぞる曲が生まれたならばそのヒット曲を経てライト層をコアファンへと昇華させることが歌手側の次なる課題だと考えます。
そして前者において、コアファンの数の多さ、熱量の高さそのものは素晴らしいことです。それをライト層へも波及させていくことが大事であり、歌手側そしてコアファンが共に考え実行することが必要ではないでしょうか。