イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

新曲ミュージックビデオの問題、Mrs. GREEN APPLEのチャート動向にどう影響したかを読む

本日1本目のブログエントリーでは、最新6月19日公開分ビルボードジャパンソングチャート(集計期間:6月10~16日)におけるCreepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」の首位獲得、および同曲のストリーミング指標逆転についてお伝えしました。

さて今回、ストリーミング指標(およびその基となるStreaming Songsチャート)で「Bling-Bang-Bang-Born」に逆転を許したMrs. GREEN APPLEライラック」の動向を分析します。

 

ビルボードジャパン総合ソングチャートで3位をキープしたMrs. GREEN APPLEライラック」は実際、ストリーミング再生回数、および総合ポイントを伸ばしています。

加えて、総合ソングチャートではMrs. GREEN APPLEの多くの曲がポイントを伸ばしています。ポイントが可視化される50位以内に前週および当週入った作品では、「Dear」(11→12位)がポイント前週比99.8%と微減しながら、「ケセラセラ」(14→13位)が同103.6%、「青と夏」(22→18位)が同108.4%、「ダンスホール」(30→26位)が同101.1%、「Soranji」(34→30位)が同101.0%、「Magic」(37→35位)が同103.6%となっています。

 

ストリーミングに強い歌手においては、新曲リリースが過去曲を押し上げるという動きがみられます。Mrs. GREEN APPLEは当週、新曲「コロンブス」が4位に初登場を果たしていますが、その新曲の登場のみならずミュージックビデオ問題(による動画の引き下げ)がMrs. GREEN APPLEへの注目度をより高めたことも影響しているといえるでしょう。

(なお、新曲の曲名についても(もっといえば"コロンブスの卵"という言葉自体にも)違和感を抱いていますが、この点については音楽ジャーナリストの柴那典さんによるVoicyでの提案に賛同します。Voicyのリンクはこちら。)

この点については一昨日付のブログエントリー(このエントリーの終わりにリンクを掲載)にて、日本のSpotifyデイリーチャートの推移と合わせて紹介していますが、Spotify以外のサブスクサービスでも注目度が高まっているだろうことが当週におけるビルボードジャパンソングチャートの動向から推測されます。

 

コロンブス」において注目すべきは、動画再生指標の3位到達。ミュージックビデオの公開は1日にも満たなかったのですが、同日公開された公式オーディオ(YouTubeこちら)の存在も、この指標の上位進出に影響しているものと捉えています。加えて最新ソングチャートで50位以内に入った9曲(53→46位に上昇した「インフェルノ」を含む)のうち、新曲はストリーミング指標における初動での最高位を記録しています。

 

ミュージックビデオ引き下げから間もなく放送された『ミュージックステーション』(テレビ朝日)では当初予定した歌唱曲が「コロンブス」から「青と夏」に変わったことで、「青と夏」の総合ソングチャートにおける(他曲と比べてもより大きな)ポイント増加につながっています。また「Dear」はリリースから1ヶ月が経ち、人気曲になるかどうか分岐点のタイミングだったと考えれば、微減にとどめたのは立派といえるでしょう。

 

 

一昨日のブログエントリーは、このような文章で締めくくっています。

Mrs. GREEN APPLEの過去曲の上昇は、今回の問題も小さくないのではというのが自分の見方です。それが一時的なものか今後も続いていくかは、彼らの省みる姿勢にかかっていると感じています。

無論問題はあってはならないことですが、過ちは誰もが起こす可能性があります。それを真摯に受け止めるかどうかが、その後のチャートアクションにもつながるだろうというのが私見です。ミュージックビデオの早期取り下げおよび謝罪を行ったMrs. GREEN APPLEに対し(その後の姿勢を注視する必要はありますが)支持する方が少なくないだろうということが、今回の動向から見て取れます。