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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

【ビルボードジャパン最新動向】King & Prince「halfmoon」、ソングチャート首位初登場の要因とは

最新5月29日公開分(集計期間:5月20~26日)のビルボードジャパンソングチャートは通算16週首位を獲得したCreepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」が2位に後退、King & Prince「halfmoon」が初登場で首位に立ちました。

今回は、「halfmoon」首位獲得の背景を分析します。

 

 

King & PrinceはCDデビュー6周年を記念し、本作およびベスト盤楽曲の配信(ダウンロードおよびストリーミング)をスタート。ダウンロード、CDセールスで首位を獲得したほか、ラジオは前作比2,000倍となる過去最高のポイントを獲得し、ラジオも含め3指標で首位を獲得した。なお前作と比較すると初週のCD売上枚数は約1割減の315,400枚、動画再生数は半減。ただダウンロードとラジオでのポイント獲得によって、総合ポイントは前作比168%で、5人体制としてのラストシングル「Life goes on」以来の1万ポイント越えを果たした。

ビルボードジャパンは、King & Prince「halfmoon」の首位獲得についてこのように記載。前作のフィジカルシングル「愛し生きること」は昨年11月15日公開分で3位に初登場(フィジカルセールス353,077枚を記録、7,189ポイントを獲得)、そして今作「halfmoon」ではフィジカルセールス315,400枚を記録し、12,086ポイントを獲得しています。

(CHART insightはこの春に仕様が変更されていますが、上記は変更前の昨年11月15日にキャプチャしたものです。)

(CHART insightの各指標は、フィジカルセールスが黄、ダウンロードが紫、ストリーミングが青、ラジオが黄緑、動画再生が赤およびカラオケが緑で表示されます。)

フィジカルセールス加算初週においては「愛し生きること」が動画再生21位、ラジオ100位未満(300位圏内)を記録していましたが、「halfmoon」はダウンロードおよびラジオを制し、ストリーミングおよび動画再生も20位未満ながら加点対象に。ストリーミング指標の基となるStreaming Songsチャートでは100位以内に入っていないため、(加点対象となる)300位圏内であることが解ります。

「halfmoon」は5月23日のフィジカルリリース前、5月20日に「moooove!!」共々デジタルを解禁。「halfmoon」はダウンロードおよびストリーミングで獲得ポイント全体の4分の1強を占めており、仮にデジタルが未解禁だったならば10,152ポイントを獲得したCreepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」を下回ったと考えられます。つまり、ビルボードジャパンの記事タイトルにあるように、”配信解禁”が今回大きく影響した形です。

 

また、ラジオの動向にも注目です。前作より大きく伸びた「halfmoon」について、指標の基となるプランテックのOAチャートではこのように記載されています。

5月23日リリースのニューシングルより表題曲のひとつとなる同曲。20日の先行配信と同時に広い範囲でオンエアが開始され、そのまま伸長していった結果、調査対象の71%となるステーションでオンエアを獲得し初登場首位を飾った。

帯の番組/コーナーなど定期枠でのまとまったオンエアを中心に積み上げたかっこうだが、FMの72.7%、AMの66.7%とバランス良く広範囲にわたりオンエアを獲得している点は特筆すべきだろう。AMでは今週最も多くのステーションでオンエアされた楽曲となった。効率よく広く訴求したことと推測される。

『帯の番組/コーナーなど定期枠でのまとまったオンエア』というのは歌手側(主にレコード会社側と推測できます)からの働きかけに因るものといえます。ダブルAサイドシングルはOAが割れる傾向ながら、ダブルAサイドの(そしてフィジカルセールス指標が加点されない)「moooove!!」がラジオ指標未加点(300位未満)の状況を踏まえれば、「halfmoon」にOAが集中していることが解ります。

 

(上記はKing & Prince|15th single 「halfmoon / moooove!!」よりキャプチャした画像であり、King & Princeがデジタル解禁…今後のビルボードジャパンソングチャートにおける注目ポイントとは(5月25日付)でも紹介。問題があれば削除いたします。)

「halfmoon」のミュージックビデオを「moooove!!」に先駆けて公開したことからも、フィジカルセールス指標が加点される同曲に歌手側がポイントを集中させんとする姿勢が見て取れます。King & Prince側はビルボードジャパンソングチャートでの首位獲得を目標に掲げていましたが、そのための施策の策定、およびその反映がチャート制覇に結実したといえるのです。

 

 

King & Princeにおいては他にも興味深い動きが。フィジカルデビュー日にデジタル解禁した『Mr.5』(2023)は当週のビルボードジャパンアルバムチャートで16位に。1,199DLを獲得しダウンロード指標で2位に入ったことが、再浮上につながっています。

アルバムチャートはフィジカルセールスとダウンロードの所有2指標で構成されていますが、仮に米ビルボードのようにストリーミングのアルバム換算分(SEA)や単曲ダウンロードのアルバム換算分(TEA)が指標に組み込まれていたならば『Mr.5』は総合チャートでもう少し伸びたかもしれません。ソングチャートのダウンロード指標でベストアルバム収録曲が100位以内に4曲入っていることも、そう考える理由です。

 

 

デジタルはフィジカルと違い、基本的に廃盤の概念がありません。またデジタルを解禁することで、いつ何時でも過去曲がフックアップされる環境を醸成できます。今回のデジタル解禁に伴う再浮上はデジタルニーズの可視化のみならず、「シンデレラガール」(ダウンロード指標20位)や「ツキヨミ」(同27位)の動向からはフィジカルシングルリリース時にデジタルも解禁していれば当時もっとヒットしただろうことも推測できます。

(そのことも踏まえ、自分が以前したこちらのポストを再掲します。)

2024年度ビルボードジャパンソングチャートでは、King & Prince「halfmoon」がSTARTO ENTERTAINMENT所属歌手による初の首位獲得曲となりました(King & Princeはグループとして同社とエージェント契約を締結)。今回の結果が、同社所属歌手や彼らのコアファンがビルボードジャパンソングチャートの重要性を認知し、デジタル解禁に舵を切りやすく/違和感を抱きにくくすることにつながることを希望します。

 

無論、週間ソングチャートの上位進出も素晴らしいながら、より大事なことは上位進出の翌週以降の動向、ロングヒットそして年間チャートへのランクインであることを、このブログ等でお伝えしています。「halfmoon」が次週どの位置にいるか、そしてその動向も踏まえて所属事務所のデジタル姿勢がどう変化するかを注視する必要があります。