ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)が日本で国民的行事となったという印象があります。
地上波テレビ局の放送においてはリアルタイム視聴率のみならず録画視聴率および総合視聴率をチェックすることも真の人気を知る上で必要と考えますが、スポーツ中継はニュース番組同様リアルタイム視聴が重視される傾向にあり、日本戦の7試合すべて40%強というリアルタイム視聴率はとても重みがあるものと感じています。無論、1次ラウンドがすべてナイトゲームだったことも功を奏したことでしょう。
(なお、この1次ラウンドがすべてナイトゲームだったという今回の日程については個人的に思うところがあり、ツイートにて記しています→こちら)。
WBCの開催は、様々な娯楽の可処分時間を割いた(奪った)ものと考えます。実際、それを証明したのがSpotifyの再生回数です。ここでは準決勝以降の動向をメインに記載します。
以下はこの2ヶ月近くにおける日本のSpotifyデイリーチャートの動向を示したグラフ。最新3月23日付にてトップ10にランクインした曲の推移となります。
注目はWBCの決勝が行われた(日本時間の)3月22日における再生回数が大きく下がっていること。同日付で首位を獲得したOfficial髭男dism「Subtitle」の再生回数は、昨年10月13日付以来となる低い水準となっています。
日本における3月22日付Spotifyデイリーチャート。
— Kei (ブログ【イマオト】/ラジオ/ポッドキャスター) (@Kei_radio) 2023年3月23日
50位以内の再生回数は前日より1割近くダウン。#WBC2023 に可処分時間が割かれたゆえと思われます。
首位は #Official髭男dism「#Subtitle」がキープ。再生回数前日比91.8%、271,507回再生を記録しています。 https://t.co/G85RxCGhkt
またその前日、3月21日は本来再生回数が伸びる祝日でしたが、平日である3月20日月曜と大きく変わっていません。これも日本時間でこの日の午前中に行われたWBCの準決勝(日本戦)が影響していると言えるでしょう。
WBCが再生回数にもたらす影響は、定点観測している50位や200位の再生回数からも解ります。下記グラフは上記グラフより集計期間を長く設定していますが、サブスク利用者が増えたと言われる中にあって3月22日付における200位の再生回数は2月10日付以来となる3万3千回台となっています。
日本のSpotifyにおける再生回数は、平日(その中でも金曜が低くなる傾向)より土日が高く、また祝日も高くなる傾向にあります。さらに大晦日から三が日にかけても元日を中心に下がる傾向にあるのですが、定点観測した順位の3月22日付における再生回数は年末年始に近い水準まで下がったと捉えています。
WBC開催期間中のSpotify再生回数の変動は、一昨年の東京オリンピックや昨年のサッカーワールドカップ開催時でもみられていました(下記ブログエントリー等参照)。日本代表が登場し長期間実施されるスポーツ行事の日本における熱狂を、客観的な数字の推移からまたも感じることができました。
Spotifyは日本でおよそ2割のシェアを占めると言われており、Apple MusicやLINE MUSIC等でも似た動向を示すものと思われます。これらサブスクサービスの再生回数を含むビルボードジャパンソングチャートのストリーミング指標、そしてソングチャート自体がどうなるかも気になるところです。