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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

ビルボードジャパンのアルバムチャート訂正問題から考えた、オリコンの存在意義について

ビルボードジャパンは昨日、3月22日公開分のビルボードジャパンアルバムチャートについて訂正を実施しました。この経緯を踏まえ、感じたことを記載します。

 

今回の訂正内容に関するビルボードジャパンの説明はこちら。

ビルボードジャパンは当初のチャートにて米良美一『うぐいす~米良美一 日本を歌う』がフィジカルセールス、そして総合でも2位としていました。当初の総合アルバムチャートは下記画像をご参照ください。

しかし個人的に当初のチャート結果への違和感は拭えず、自分はビルボードジャパンが訂正に至る数時間前にツイートを発信していました。

3月24日午前4時の段階で、総合アルバムチャートおよびフィジカルセールスチャートは訂正されています(総合チャートについては下記画像を参照)。トップアーティストチャート(Artist 100)は現段階で米良美一さんが14位に入ったままですが、いずれ訂正されるものと思われます。

 

ビルボードジャパンはこの1年間で、自分が感じる限り大きな訂正を少なくとも二度実施しています(ビルボードジャパンのTwitterアカウントによる、”訂正”を含むツイート(→こちら)から確認できます)。その訂正規模は小さくないことから、自分はその度に厳しくもブログエントリーにて指摘を実施しています。

一方で、ビルボードジャパンが今回の訂正アナウンスで用いた”社内統制”という文言は、これまでのツイートにはみられなかったものです(ビルボードジャパンのTwitterアカウントによる、”社内統制”を含むツイートはこちら)。加えてビルボードジャパンは今回の訂正に関するお知らせをトップツイートとして固定しています。社内統制を明言したこと共々、考え方の変化を感じています。

 

 

さて、自分が今回の一連の過程から感じたことは、オリコンがあってよかったということです。

 

先程ツイートしたように、フィジカルセールスに違和感を抱いた際はビルボードジャパン(フィジカルセールスについてはサウンドスキャンが担当)の比較対象としてオリコンを用いることができるというのが、オリコンの存在意義を感じた理由のひとつです。

さらにオリコンの”訂正”を含むツイート(→こちら)を見ると、記事の訂正はあってもチャートについてはみられません。オリコンはチャート更新時間も固定化しており、CHART insightの更新が週によって多少変動するビルボードジャパンとは異なります。

そしてオリコンの存在意義を感じたもうひとつの理由は、自分がビルボードジャパンに対して提案している(米ビルボードに倣う形での)アルバムチャートへのストリーミング指標の導入を、オリコンが合算ランキングにて行っているということ。オリコン合算ランキングのチャートポリシー(集計方法)はこちらで確認できます。

フィジカルセールスに強い作品の上位進出はビルボードジャパンもオリコンも同様ながら、Ado『ウタの歌 ONE PIECE FILM RED』がビルボードジャパン14位/オリコン8位、結束バンド『結束バンド』が11位/9位、back number『ユーモア』が20位/11位等、大きく異なります。中でもVaundy『strobo』の49位/13位という差は大きく、「怪獣の花唄」のヒットに伴う収録アルバムのヒットの可視化はオリコンが勝っていると考えます。

 

自分は以前、上記ブログエントリーを掲載しました。合算シングルなどデジタルを含むランキングへの扱い等に対するオリコンへの違和感は根強いままゆえこのエントリーではかなり強くオリコンを批判しましたが、ただアルバム部門においてはストリーミングの合算は真の社会的ヒット作品の可視化のために必要と考えます。ビルボードジャパンの訂正事案から、アルバムチャートの合算の重要性に今一度気付くことができました。

そして、ビルボードジャパンの訂正問題に伴いオリコンを取り上げたのは、下記の理由にも基づきます。

訂正の少なくなさは信頼度に関わります。ビルボードジャパンがオリコンを上回る認知度、そして信頼を得るには情報管理の徹底が間違いなく重要です。個人的には社内統制のみならず、データ管理については社外のプロフェッショナルに助言を仰ぐことも必要と考えており、その徹底がなされた上で打ち出し方の工夫もすべきと考えます。

 

今回の訂正事案発生は残念ですが、お詫びツイートの固定化には良い印象を抱いています。ビルボードジャパンが変わることを願います。