ビルボードジャパンは昨日、3月22日公開分のビルボードジャパンアルバムチャートについて訂正を実施しました。この経緯を踏まえ、感じたことを記載します。
【今週の総合アルバム・チャート“HOT ALBUMS”<3/23訂正>】
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2023年3月23日
1位 NEWS
2位 刀剣男士 formation of 江水散花雪
3位 Liella!
4位 holo*27
5位 HoneyWorks
6位 holo*27
7位 幾田りら
8位 BMK
9位 Stray Kids
10位 銀魂https://t.co/TYZ2Hua4oV pic.twitter.com/wUggXCfAZq
今回の訂正内容に関するビルボードジャパンの説明はこちら。
【チャートに関するお知らせ】
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2023年3月23日
2023年3月22日公開の総合アルバム・チャート“Hot Albums”、アルバム・セールス・チャート“Top Albums Sales”、アーティスト・チャート“Artist 100”にて誤りがございました。以下の通り訂正するとともに、深くお詫びいたします。
・総合2位以下の順位を1つずつ繰り上げ
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2023年3月23日
・セールス2位以下の順位を1つずつ繰り上げ
・アーティスト14位以下の順位を1つずつ繰り上げ
ビルボードジャパンは当初のチャートにて米良美一『うぐいす~米良美一 日本を歌う』がフィジカルセールス、そして総合でも2位としていました。当初の総合アルバムチャートは下記画像をご参照ください。
しかし個人的に当初のチャート結果への違和感は拭えず、自分はビルボードジャパンが訂正に至る数時間前にツイートを発信していました。
最新の @Billboard_JAPAN アルバムチャートで総合2位に登場した #米良美一『うぐいす~米良美一 日本を歌う』は1997年作品の再発に伴いフィジカルセールス53,362枚を記録しているのですが、他方 @oricon では同一期間を集計期間とするアルバムランキングで50位以内に入っておらず、気になっています。
— Kei (ブログ【イマオト】/ラジオ/ポッドキャスター) (@Kei_radio) 2023年3月23日
3月24日午前4時の段階で、総合アルバムチャートおよびフィジカルセールスチャートは訂正されています(総合チャートについては下記画像を参照)。トップアーティストチャート(Artist 100)は現段階で米良美一さんが14位に入ったままですが、いずれ訂正されるものと思われます。
ビルボードジャパンはこの1年間で、自分が感じる限り大きな訂正を少なくとも二度実施しています(ビルボードジャパンのTwitterアカウントによる、”訂正”を含むツイート(→こちら)から確認できます)。その訂正規模は小さくないことから、自分はその度に厳しくもブログエントリーにて指摘を実施しています。
【ビルボード】Official髭男dism「ミックスナッツ」7度目のストリーミング首位 NAYEONソロデビュー曲「POP!」急上昇して5位<7/13訂正> https://t.co/EmxdWVdB5t
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2022年7月13日
【ビルボード】Adoの勢い止まらず 2週連続首位獲得、トップ10に6曲チャートイン(8/24訂正) https://t.co/elBKBKEjDc pic.twitter.com/d3B5glZvHk
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2022年8月24日
一方で、ビルボードジャパンが今回の訂正アナウンスで用いた”社内統制”という文言は、これまでのツイートにはみられなかったものです(ビルボードジャパンのTwitterアカウントによる、”社内統制”を含むツイートはこちら)。加えてビルボードジャパンは今回の訂正に関するお知らせをトップツイートとして固定しています。社内統制を明言したこと共々、考え方の変化を感じています。
本日公開したPodcastにつきましても、当該箇所を削除して再アップロード致しました。お聞き頂いている皆様にご不便をお掛け致しましたことを深くお詫び致します。このようなことが起こらぬよう、社内統制を進めて参ります。変わらぬご愛顧を頂きますよう宜しくお願い致します。
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2023年3月23日
さて、自分が今回の一連の過程から感じたことは、オリコンがあってよかったということです。
先程ツイートしたように、フィジカルセールスに違和感を抱いた際はビルボードジャパン(フィジカルセールスについてはサウンドスキャンが担当)の比較対象としてオリコンを用いることができるというのが、オリコンの存在意義を感じた理由のひとつです。
さらにオリコンの”訂正”を含むツイート(→こちら)を見ると、記事の訂正はあってもチャートについてはみられません。オリコンはチャート更新時間も固定化しており、CHART insightの更新が週によって多少変動するビルボードジャパンとは異なります。
そしてオリコンの存在意義を感じたもうひとつの理由は、自分がビルボードジャパンに対して提案している(米ビルボードに倣う形での)アルバムチャートへのストリーミング指標の導入を、オリコンが合算ランキングにて行っているということ。オリコン合算ランキングのチャートポリシー(集計方法)はこちらで確認できます。
本日の #イマオト ブログエントリーの参照データとして、同一期間における @Billboard_JAPAN 3月15日公開分アルバムチャート、そして @oricon 3月20日付合算アルバムランキングを紹介。非常に興味深いと感じます。
— Kei (ブログ【イマオト】/ラジオ/ポッドキャスター) (@Kei_radio) 2023年3月23日
ビルボードジャパン:https://t.co/WjxGxdEFI4
オリコン: https://t.co/Q2RnqXIOjC
フィジカルセールスに強い作品の上位進出はビルボードジャパンもオリコンも同様ながら、Ado『ウタの歌 ONE PIECE FILM RED』がビルボードジャパン14位/オリコン8位、結束バンド『結束バンド』が11位/9位、back number『ユーモア』が20位/11位等、大きく異なります。中でもVaundy『strobo』の49位/13位という差は大きく、「怪獣の花唄」のヒットに伴う収録アルバムのヒットの可視化はオリコンが勝っていると考えます。
自分は以前、上記ブログエントリーを掲載しました。合算シングルなどデジタルを含むランキングへの扱い等に対するオリコンへの違和感は根強いままゆえこのエントリーではかなり強くオリコンを批判しましたが、ただアルバム部門においてはストリーミングの合算は真の社会的ヒット作品の可視化のために必要と考えます。ビルボードジャパンの訂正事案から、アルバムチャートの合算の重要性に今一度気付くことができました。
そして、ビルボードジャパンの訂正問題に伴いオリコンを取り上げたのは、下記の理由にも基づきます。
訂正は誰にでも、どの組織でもあるものとして、しかし世間の認知度がより高いであろうオリコンがチャート更新日時も含めて情報管理を徹底していることを踏まえれば、後発であり認知度がオリコンほど高くはないビルボードジャパンは失敗があってはならないだろうと厳しくも強く思っています。
— Kei (ブログ【イマオト】/ラジオ/ポッドキャスター) (@Kei_radio) 2023年3月23日
訂正の少なくなさは信頼度に関わります。ビルボードジャパンがオリコンを上回る認知度、そして信頼を得るには情報管理の徹底が間違いなく重要です。個人的には社内統制のみならず、データ管理については社外のプロフェッショナルに助言を仰ぐことも必要と考えており、その徹底がなされた上で打ち出し方の工夫もすべきと考えます。
今回の訂正事案発生は残念ですが、お詫びツイートの固定化には良い印象を抱いています。ビルボードジャパンが変わることを願います。