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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

【海外ビルボード】マイリー・サイラス「Flowers」5連覇、ピンクパンサレス & アイス・スパイスが急上昇

現地時間の2月20日月曜が祝日のため翌21日に発表された最新2月25日付米ビルボードソングチャート(集計期間:2月10~16日)。マイリー・サイラス「Flowers」が初登場から5連覇を達成しました。

マイリー・サイラス「Flowers」はストリーミングが前週比13%ダウンの3370万(同指標2位)、ダウンロードが同18%ダウンの22,000(同指標通算4週目の首位)、ラジオが同15%アップの8580万(同指標首位)を記録。ラジオは3週連続でトップエアプレイゲイナーを獲得しています。

そのラジオにおいては前週の4位から首位に到達。マイリー・サイラスは初めてこの指標を制覇しました。また5週目での首位獲得はジャスティン・ティンバーレイク「Can't Stop The Feeling!」(2016年6月 5週)以来のスピード記録となります。ラジオが1998年12月に全フォーマットでの調査となって以降、5週以下で首位に到達したのは先述した2曲に加えてTLC「No Scrubs」(1999 5週)、デスティニーズ・チャイルド「Survivor」(2001 5週)、アデル「Hello」(2015 4週)の5曲のみとなります。

ポップエアプレイチャートにおいてもマイリー・サイラス「Flowers」が制覇。こちらでは「Party In The U.S.A.」(2009)、「Wrecking Ball」(2013)に続く3曲目の首位獲得となり、ジャスティン・ティンバーレイク「Can't Stop The Feeling!」(2016)以来のスピード記録となりました。マイリーは2000年代、2010年代および2020年代を制しており、これはマルーン5テイラー・スウィフトに続く3組目となります。

 

シザ「Kill Bill」は6週目となる2位に。ストリーミング指標ではトップに返り咲いています(通算4週目、ただし記事にて数値は未記載)。

 

ピンクパンサレス & アイス・スパイス「Boy's A Liar Pt.2」が14→4位に上昇。ストリーミングは前週比54%アップの3110万、ダウンロードは同58%アップの1,000、ラジオは同258%アップの210万を記録し、トップストリーミングゲイナーを獲得しています。オリジナルは昨年11月にリリースされたピンクパンサレスの単独バージョン(「Boy's A Liar」)ですが、2月3日にアイス・スパイスが追加されたリミックスがリリースされ人気に。なおすべてのバージョンが合算対象となります。

前週初登場した「Boy's A Liar Pt.2」は登場2週目でトップ10入りを果たし、ピンクパンサレス、アイス・スパイス双方にとって100位以内初エントリーにして初のトップ10入り作品となりました。2者共演作品で双方共に初のトップ10入りとなったのはニッキー・ユーア & デイジー「Sunroof」(2022年9月 4位)以来となります。その「Sunroof」はトップ10入りに10週を要しましたが「Boy's A Liar Pt.2」はわずか2週であり、初のトップ10入りを果たした歌手による曲としてはリル・ティージェイ feat. 6LACK「Calling My Phone」(2021年2月 初登場3位(最高位も同じ))以来の短さとなります。

「Boy's A Liar Pt.2」はピンクパンサレスがムラ・マサと共同でソングチャートおよびプロデュースを手掛けた2分15秒の作品で、ムラ・マサによる作品がソングチャート100位以内にランクインしたのは今作が初となります。チャート構成上の特徴を分析するヒット・ソングス・デコンストラクテッドは、今回のヒットの要因について以下のように分析しています。

“In addition to the strategic pairing of PinkPantheress and Ice Spice, one of the song’s core strengths is how it pushes the boundaries of the Hot 100’s top 10 while at the same time staying in line with current trends. On one hand, it features a unique lo-fi ‘bedroom’ production, classic 8-bit video game-sounding synths and a Jersey club beat, which separate it from many of its mainstream contemporaries and immediately captures the listener’s ear. On the other hand, its super-catchy and repetitive hook structure and troubled-love lyrics impart a sense of familiarity and relatability, along with its under 3-minute runtime, vibrant tempo, omission of a pre-chorus and synth-heavy production, all of which are in line with rising top 10 trends.”

(ピンクパンサレスとアイス・スパイスの戦略的な組み合わせに加えて、この曲の核となる強みは、Hot 100のトップ10の境界を押し広げながら同時に現在のトレンドに沿ったものになっている点です。この曲は、ローファイなベッドルーム・プロダクション、8ビット・ビデオゲーム風のシンセサイザー、ジャージー・クラブのビートなど、他の多くのメインストリームとは一線を画し、聴く者の耳をすぐに惹きつけます。一方、超キャッチーで反復的なフック構成と悩める愛の歌詞は、親しみやすさと親近感を与え、3分弱の収録時間、活気に満ちたテンポ、プリコーラスの省略、シンセを多用した制作など、いずれもトップ10の上昇トレンドに沿ったものです。)

Miley Cyrus’ ‘Flowers’ Is Number 1 on Hot 100 for Fifth Week – Billboard(2月21日付)より。和訳はDeepLを使用し、表現を一部あらためています。

 

最新のトップ10はこちら。

[今週 (前週) 歌手名・曲名]

1位 (1位) マイリー・サイラス「Flowers」

2位 (2位) シザ「Kill Bill

3位 (5位) メトロ・ブーミン、ザ・ウィークエンド & 21サヴェージ「Creepin'」

4位 (14位) ピンクパンサレス & アイス・スパイス「Boy's A Liar Pt.2」

5位 (3位) モーガン・ウォレン「Last Night」

6位 (4位) サム・スミス & キム・ペトラス「Unholy」

7位 (8位) ザ・ウィークエンド「Die For You」

8位 (7位) テイラー・スウィフトAnti-Hero

9位 (6位) ビヨンセ「Cuff It」

10位 (9位) デヴィッド・ゲッタ & ビービー・レクサ「I'm Good (Blue)」

 

 

ビルボードが一昨年新設したグローバルチャートもチェック。200を超える地域の主要デジタルプラットフォームによるストリーミングとデジタルダウンロードで構成され、歌手のホームページでの販売分を含まないグローバルチャート、2月25日付ではGlobal 200、Global Excl. U.S.共にマイリー・サイラス「Flowers」が5連覇を達成しています。

マイリー・サイラス「Flowers」はGlobal 200においてストリーミングが前週比12%ダウンの1億2880万、ダウンロードが同15%ダウンの45,000を、Global 200から米の分を除いたGlobal Excl. U.S.ではストリーミングが前週比12%ダウンの9950万、ダウンロードが同13%ダウンの23,000を、それぞれ記録しています。

Global 200においてはマイリー・サイラス「Flowers」が初登場から5週連続でストリーミング1億回を突破。初登場からの連続1億回超え記録においてハリー・スタイルズ「As It Was」の4週(2022年4-5月)を抜き、「Flowers」が最長を更新しています。なお全体ではザ・キッド・ラロイ & ジャスティン・ビーバー「Stay」が2021年8-10月、通算9週にわたって1億回を突破しています。

ピンクパンサレス & アイス・スパイス「Boy's A Liar Pt.2」がGlobal 200にて15→4位に上昇し、双方にとって同チャート初のトップ10入りを果たしています。ストリーミングは前週比67%アップの6010万、ダウンロードは同59%アップの1,000を記録。グローバルチャートは米ビルボード同様、オリジナル版とリミックス版が合算されます。