イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

(追記あり) LE SSERAFIM、三代目J SOUL BROTHERSによるビルボードジャパン首位獲得リアクションを歓迎する

(※追記(3月18日9時15分):このブログエントリーの掲載以降、BE:FIRSTが「Boom Boom Back」首位獲得時(2月22日公開分)、またNiziUが「Paradise」首位獲得時(3月15日公開分)に、それぞれコメントを発信しています。その内容を追記しました。)

 

 

 

ビルボードジャパンソングチャートで首位を獲得した歌手による興味深い行動が続いています。

これまでは首位獲得歌手がビルボードジャパンのツイートを引用する形で喜びの声を語ることが多かったため、ビルボードジャパン宛にコメントを発信する行動は極めて珍しいと言えます。そしてこれが2週続くとなると、コメント発信は新たな定番となるかもしれません。

 

LE SSERAFIMのアクションについては、ビルボードジャパンソングチャートの予想や分析を行う紅蓮・疾風さんも注目しています。

個人的には歌手側、もしくはレコード会社側によるアクションだと感じています。たとえば三代目J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE側は「STARS」のビルボードジャパンソングチャート制覇直後にこのようなツイートを発信しています。

ツイートに添付された画像の色合い等はビルボードジャパンの使用するものを意識したと言えるでしょう。

加えて首位獲得がアナウンスされた日にはこのような記事も登場しています。

コメントの内容がビルボードジャパン掲載分と共通していることを踏まえれば、歌手側やレコード会社側によるプレスリリース的な意味合いが強いというのが私見。これはソニーミュージックが得意とするもので、ソニー側の戦略については以前ブログにてまとめています(ただし下記ブログエントリーではプレスリリースの重要性と共に、迅速にすべきという改善提案も記しています)。

 

個人的に、今回のLE SSERAFIMや三代目J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBEによる積極的なアナウンスを歓迎しています。そう考える理由のひとつは、ビルボードジャパンの認知上昇につながるため。紅蓮・疾風さんもこのように記しています。

ビルボードジャパンのソングチャートやビルボードジャパン自体の認知度上昇の必要性についてはこのブログでも提案したばかりでした(音楽業界・エンタテインメント業界への改善提案 (2023年版)(1月9日付)参照)。加えて、複合指標から成るチャートの認知度を高めることは、複数の視野を持つことの重要性を宿す点でも有効です。これは自分がImpress Watchのコラムにて記載した内容と合致します。

Impress Watchのコラムではさらに、『好成績を記録した歌手はSNSで拡散することでコアファンとの結びつきを高め、また曲は気になるものの歌手のファンというわけではないライト層の方々も刺激します』と記しました。今回LE SSERAFIMや三代目J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE側がビルボードジャパンへ直接もしくはプレスリリース(的なもの)を介して一歩進んだ形の反応を示したことで、コアファンと喜びを分かち合うのみならず、コアファンに対しチャートの重要性を十分に示せたのではないでしょうか。エンゲージメントを深める行動につながることも、発信を歓迎する理由です。

 

積極的なアナウンスを歓迎する理由としては他にも、シングルのリリーススケジュールの追加的意味合いに成り得ることが挙げられます。たとえばK-POPアクトは新作リリース前に関連スケジュールを公開しており、自分は以前TOKIONへ寄稿したコラムにてITZYを例に紹介しています。

一方で作品がリリースされた後、スケジュールが極度に減ることは否めません。アルバムならば収録曲のシングルカットやミュージックビデオ公開という手段を講じることはできるものの、シングルには限りがあります。そこで音楽チャートの好成績をアナウンスすれば、それがリリース後スケジュールの一環に成り得るのではと考えた次第です。

無論好成績を残すことが大前提かもしれませんが、たとえばYOASOBIは直近のシングル「祝福」においてビルボードジャパンソングチャート100位以内9週目、トップ10在籍8週目でもこのようなツイートを実施しています。

Impress Watchでも紹介しましたが、YOASOBIはコアファンとのエンゲージメントを深めることに非常に長け、またこのような発信はリリースから時間が経っていたとしても、ライト層が曲への興味を高めるきっかけになります。ゆえにチャート成績の紹介は重要ななのです。

 

ビルボードジャパンの認知度上昇、エンゲージメントを深められること、そしてリリーススケジュールの追加的意味合いとしての活用という点において、チャート好成績の訴求は重要と考えます。

 

 

さて、前週特筆すべきリアクションを行ったLE SSERAFIMが、(レコード会社も含め)今週チャート成績を発信しなかったことを個人的には非常に勿体なく感じています。

(2023年度の表については日付の部分を省いています。またルックアップおよびTwitter指標は廃止されています。)

2022年度以降のビルボードジャパンソングチャートにおいて、初週10万枚を超えるフィジカルセールスに伴い総合首位を獲得した作品は多いのですが、その大半が翌週ポイントを大きく落としています。初週フィジカルセールス10万枚以上を記録し総合首位を獲得した曲の中で、LE SSERAFIM「FEARLESS」は2022年11月30日公開分における米津玄師「KICK BACK」以来となるポイント前週比5割超えを達成しました。フィジカルセールスが引き続き強いことも要因ですが、立派な記録であることには間違いありません。

それを踏まえれば、LE SSERAFIMは「FEARLESS」が引き続き好調をキープしていることについて訴求することが必要だと感じています。週間チャート制覇は素晴らしいことですが、ロングヒットそして年間チャートにおける上位進出はそれと同等かそれ以上に重要であり、「FEARLESS」はその可能性を秘めていると考えるゆえ尚の事です。

歌手側は週間チャート制覇時にとどまらず、その後も好調を続けるならばチャート成績の好リアクションを発信し続けることを勧めます。コアファンとの結びつきを強化し続け、またライト層をコアファンに昇華させる意味でも有効だからです。その発信は同時に、ビルボードジャパンの認知度上昇や複合指標で見ることの浸透にもつながるはずです。

 

 

※追記(3月18日9時15分):このブログエントリーの掲載以降、BE:FIRSTが「Boom Boom Back」首位獲得時(2月22日公開分)、またNiziUが「Paradise」首位獲得時(3月15日公開分)に、それぞれコメントを発信しています。その内容を紹介します。