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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

Official髭男dism「Subtitle」は首位を何週まで伸ばすか、ライバルと成り得るフィジカルリリース曲の動向を予測する

最新1月25日公開分ビルボードジャパンソングチャートにて、Official髭男dism「Subtitle」が同チャート単独での最長首位記録を達成したことについてはこのブログでも紹介しました。

ゆえに、今後の注目点は「Subtitle」が何週まで首位記録を伸ばすかとなります。今回は週間チャートでのライバルに成り得るであろうフィジカルセールスに強い曲のリリース予定を紹介し、占ってみます。

 

まずはOfficial髭男dism「Subtitle」のこれまでの動向をチェックします。

「Subtitle」が週間チャートを制したのは100位以内に登場した15週のうち12週。敗れた3週において首位を獲得したのは米津玄師「KICK BACK」(2週)、そしてKing & Prince「ツキヨミ」(1週)のみ。ビルボードジャパンがチャートポリシー(集計方法)を時代に即して変更したことで、デジタル、特に接触指標に強い曲が週間チャートも制しやすくなりました。

フィジカルセールスに強い曲はフィジカルセールス指標のポイントを主体に、週間単位では上位に進出することが可能です。仮にOfficial髭男dism「Subtitle」や米津玄師「KICK BACK」が出ていなかったならば、フィジカルセールスに強い作品が週間チャートを制した可能性が十分考えられます。

 

一方でOfficial髭男dism「Subtitle」は、直近4週連続でポイントを下げています。この4週の動向を踏まえ、今後ポイントが前週比92%で推移すると仮定すれば、「Subtitle」の動向は下記のようになります。なお1月11日公開分の下げ幅は突出していると考えるゆえ、前週比92%という仮定を設定しています。

2023年度に入って以降はソングチャート10位のポイントが常時4千ポイント台後半以上であることを踏まえれば、Official髭男dism「Subtitle」は春にはトップ10落ちに至るかもしれません。

 

次にフィジカルセールスに強い曲の動向を追いかけます。上記は今年度のビルボードジャパンソングチャートにおいて週間10万枚を超えるフィジカルセールスを記録した作品一覧。今後のチャートにおける掲載分は前作が10万枚超えを果たした(売上枚数には前作の数字を記載)、もしくはその可能性が見込まれる作品であり、たとえばLE SSERAFIMの日本ファーストシングル「FEARLESS」は速報値で20万枚近くを売り上げています。

(なお、LE SSERAFIMのファーストシングルにおいて1曲目に収録されているのは「FEARLESS -Japanese ver.-」(日本語バージョン)ですが、ビルボードジャパンのチャートポリシーでは言語のみ異なる場合はオリジナル版と合算されます。ゆえに2月1日公開分のビルボードジャパンソングチャートでは「FEARLESS」名義で100位以内に再浮上するものと思われます。)

 

そのLE SSERAFIM「FEARLESS」およびNCT DREAM「Best Friend Ever」といったフィジカルシングル初リリース作品を除いて、前作においてフィジカルセールス初加算時に記録した総合ソングチャートの獲得ポイントを先程の表に記載し、先述したOfficial髭男dism「Subtitle」のポイント推移も併記します。

今後の10週において「Subtitle」は少なくとも6週で総合首位を明け渡す計算となります。ただ今回予測した曲の大半は前作が2022年度に初登場を果たしたものであり、2023年度にはルックアップおよびTwitter指標が廃止されたため、ポイントは予測よりダウンする可能性が高いでしょう。

そしてこれは何度となく申し上げていることですが、週間チャートでの上位進出も重要ながらロングヒットすること(そしてその結果として年間チャートにランクインすること)がそれ以上に重要となります。そのためにはデジタルでのヒットが欠かせず、ロングヒット曲において獲得ポイントの過半数を占めるストリーミング指標をどう伸ばすかが重要です。この点は2022年度年間ソングチャートの傾向からはっきり解ります。

ストリーミングや動画再生といった接触指標群が強いOfficial髭男dism「Subtitle」が、フィジカルセールスに強い曲が大挙押し寄せたとしても総合ソングチャートで首位を奪還する可能性は十分考えられるのです。

 

 

最後に。デジタルに強い曲の登場がフィジカルセールスに強い曲以上に「Subtitle」におけるライバルに成り得ると考えます。

デジタルリリースは直前まで予告がない状態で行われる場合もありますが、たとえばBE:FIRSTは先週の段階で「Boom Boom Back」のデジタルリリースを告知しティザー(ティーザー)を解禁、またTikTokでは既に展開を始めていることで、初登場週の上位進出が考えられます。TikTokの事前告知に伴うバズについてはマイリー・サイラス「Flowers」について記した昨日付ブログエントリーで触れたばかりです(下記リンク先参照)。

デジタルリリース作品においてもロングヒットが要となります。動向を注視していきましょう。