イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

IVE、LE SSERAFIMそしてNewJeans…K-POP新鋭ガールズグループがK-POPのチャートアクションを変える

一昨日のブログエントリーでは最新1月18日公開分のビルボードジャパンのトップアーティストチャート(Artist 100)を用いて注目歌手を紹介。そのうちの一組がK-POPアクトのNewJeansでした。

上記ブログエントリーでは米ビルボードによる最新1月21日付グローバルチャートも簡単に紹介しましたが、このチャートから現在そして今後のK-POPが占えるものと考え、NewJeansを軸にあらためて紹介します。

 

最新1月21日付グローバルチャートでは、NewJeansが2曲をトップ10内に送り込んでいます。

NewJeans「OMG」がGlobal 200で30→10位、Global Excl. U.S.では19→7位に上昇し、共にトップ10入り。ストリーミングは前者において前週比40%アップの4080万、後者では同37%アップの3570万を記録しています。なお前週双方のチャートでトップ10入りした「Ditto」はGlobal 200で9位、Global Excl. U.S.では5位に今週エントリーしています。

グローバルチャートは米ビルボードが2020年秋に開始した、世界の主要デジタルプラットフォームにおけるストリーミング(動画再生含む)およびダウンロードから成るチャート。Global 200は世界200を超える国や地域の、Global Excl. U.S.はGlobal 200から米の分を除いたものです。

ダウンロードは瞬発力、ストリーミングは持続力の源となります。K-POPはダウンロードが強く、さらには(グローバルチャートでは加算対象外の)フィジカルセールスにも長けています(それによりフィジカルセールスも含む米ビルボードアルバムチャートではK-POPの躍進が目立ちますが、一方でストリーミングが強くないため急落も目立ちます)。ゆえに「Ditto」が2週連続でトップ10入りをキープしているのは凄いことなのです。

 

一昨日のブログエントリーではNewJeansのビルボードジャパントップアーティストチャートにおける動向が、IVEやLE SSERAFIMの流れに続くものであると記しました。グローバルチャートにおいても、この流れが見て取れるかもしれません。

<最新1月21日付Global 200におけるK-POP曲の動向>

・9位 NewJeans「Ditto」 (最高位8位 登場4週目)

・10位 NewJeans「OMG」 (最高10位 登場2週目)

・55位 LE SSERAFIM「ANTIFAGILE」 (最高38位 登場13週目)

・56位 NewJeans「Hype Boy」 (最高52位 登場23週目)

・93位 BLACKPINK「Shut Down」 (最高1位 登場17週目)

・95位 ピンクフォン「Baby Shark」 (最高38位 登場122週目)

・112位 BLACKPINK「Pink Venom」 (最高1位 登場21週目)

・135位 NewJeans「Attention」 (最高54位 登場12週目)

・155位 ジョングク「Dreamers」 (最高9位 登場8週目)

・175位 チャーリー・プース feat. ジョングク「Left And Right」 (最高5位 登場26週目)

・178位 IVE「After LIKE」 (最高20位 登場17週目)

 

・1月21日付Global 200のリンクはこちら

NewJeansの新曲リリースによって再注目されている「Hype Boy」や「Attention」、またIVE「After LIKE」やLE SSERAFIM「ANTIFAGILE」のロングヒットは注目すべき点と言えます。

K-POPガールズグループではBLACKPINKが世界で最も認知されていると思われますが、「Shut Down」や「Pink Venom」はGlobal 200で首位を獲得しながらもその後好位置を保っているとは言い難いかもしれません。首位獲得週のストリーミング1億回超えは素晴らしいことですが、複合指標から成るチャートにおいては接触指標の安定によるロングヒットがより重要になります。これは昨年度の年間チャートからも言えることです。

(中略)

さらにはBLACKPINKのみならず女性ダンスボーカルグループが複数ランクイン。TWICEといった中堅からIVEやLE SSERAFIM、NewJeansといった若手までが登場しています。K-POPはこれまで所有指標が強いながらも接触指標が強くないためにロングヒットしにくく年間チャート上位進出が難しいという印象がありましたが、その点が打破されつつあると思われます。

(※ 表においてはピンクフォングと記載していますが、実際はピンクフォンが正しい名称の模様ゆえ、先程”ピンクフォン”として記載しました。)

K-POPはこれまで所有指標が強いながらも接触指標が強くないためにロングヒットしにくく年間チャート上位進出が難しいという印象』は、先述した米ビルボードアルバムチャートの動向等から感じられたことでした。BTSの英語詞曲が前年度以前のリリース作品でも強い一方で韓国語曲の「Yet To Come (The Most Beautiful Moment)」がそこまで強くなかったこと、BLACKPINKが初週に凄まじい数字を記録しながらその後ダウン傾向となったことも、その印象の元となっていました。

その中でIVEやLE SSERAFIMが、週間単位で上位に至れなかったとしても安定した成績によってグローバルチャート年間200位以内ランクインを果たし、また今月NewJeansがトップ10入りを果たしたことは、K-POP接触指標で聴かれ続けるようになったこと、ロングヒットの可能性が高まっていること、さらには2023年度も年間チャートランクインが期待できるかもしれないという点においても、重要な変化と捉えていいでしょう。

 

(上記記事は現在会員限定となっており、Yahoo! JAPANにて全文が確認できます→こちら。)

こちらの記事では『BTSを経験したその先のK-POPシーン』をテーマに記載されていますが(『』内は上記記事より)、音楽チャートにおいてもBTS以降のK-POPシーンが変わりつつあるとして今回エントリーを用意した次第です。

個人的には、米ビルボードソングチャートにおいてK-POPアクトが真の成功を収められるかを注目しています。BTSが既に複数曲を首位の座に送り込んでいますが、首位獲得曲は所有指標が高い一方で接触指標が強くない状況でした。複数週首位を獲得している曲もありますが、それらは所有指標が圧倒的に高い状況ゆえのものであり、悲願のグラミー賞受賞のためには接触指標に強くなることが必要と考えています。

その米ビルボードソングチャート、最新1月21日付においてNewJeans「Ditto」が96位に初登場を果たしました。

『2016年9月以降にデビューしたK-POPグループの中で、該当チャートに名を上げた初のアーティスト』『デビューから6ヶ月で「HOT100」にチャートインし、K-POPアーティストの中で最短期間で同チャートにチャート入りする新記録を打ち立てた』(『』内は上記記事より)というのは注目すべき動きであり、また記事で解るように「Ditto」が3週連続で上昇していることからは、同曲が所有指標に頼っていない状況もみえてきます。

 

 

IVE、LE SSERAFIMそしてNewJeansといった新鋭K-POPガールズグループが、BTSやBLACKPINKが先頭を走ってきたK-POPアクトの最前線に踊り出て、K-POPを新たなフェーズに突入させようとしています。2023年はこれまで以上にK-POPの世界での浸透が進むだろうと考えるのは、決して不自然なことではないはずです。