イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

2022年の紅白でVaundyが広く世間に”見つかった”…Spotifyデイリーチャートから読む

昨年大晦日に放送された『NHK紅白歌合戦』(NHK総合ほか 以下、紅白と記載)。番組についての私見、問題点の記載と改善提案については元日付のブログエントリーにて記しています。

紅白は高視聴率ながらリアルタイム視聴率が40%を割ったこと、NHKが受信料収入で成り立つゆえに言いやすいこと等を理由に必要以上に叩かれる印象です。Yahoo! JAPANの個人コラムでも悪意がはっきり見えるものが少なくなく、強い悲しみと憤り(なぜこの方々がコラムを書くのかという思い)を抱きます。このような姿勢が”#紅白見ない”と堂々と言えることにお墨付きを与えると感じており、文句より進言をと強く願います。

 

昨年の紅白における個人的なベストパフォーマンスはVaundyさんと藤井風さんでした。Vaundyさんのライブ的煽りは、ライブの空気感を知る方には痛快ながら知らない方にはどう映ったかが気になりますが、ともすればその煽りも含めて強烈な印象を残しただろうことが、Spotifyデイリーチャートの動向からみえてきます。

 

 

まず前提として、元日には再生回数が下がる傾向にあることを押さえます。

200位の水準が元日に下がる傾向はありますが、この1年で再生回数の水準は大きく上昇しています。200位が2万7千回を下回ったのは昨年8月13日付(26,607回)以来でしたが、人々の往来が多い時期を除けば昨年7月8日付における25,859回以来となります。たとえばOfficial髭男dism「Subtitle」や、米津玄師「KICK BACK」をはじめとする『チェンソーマン』(テレビ東京)関連曲効果もあり、サブスクユーザーの増加が如実に解るのです。

晦日から元日にかけては紅白効果が反映される傾向にありながらも全体の再生回数は前日の8割程度に下がりますが、その中にあってVaundy「怪獣の花唄」の勢いがグラフにてはっきり示されています。元日に日本のSpotifyデイリーチャートでトップ10入りした曲の再生回数前日比は「怪獣の花唄」を除く9曲が77.3~82.7%の範囲に収まっていますが、「怪獣の花唄」は同113.0%を記録し前日超えを達成しているのです。

紅白披露曲で元日における再生回数が前日超えを達成した曲は他にもありますが、とりわけVaundyさんがプロデュースしmiletさん、Aimerさんおよび幾田りらさんが歌う「おもかげ」は前日比130.5%と高水準に達しました。

さらにVaundyさんは元日付における日本のSpotifyデイリートップアーティストチャートを初制覇。これも踏まえれば、Vaundyさんの紅白初出場が広く世間に”見つかった”きっかけとなったと断言していいでしょう。

Vaundyさんの作品はプロデュース作の「おもかげ」を含め、昨年晦日は10曲、大晦日は12曲、そして元日には19曲が日本のSpotifyデイリーチャート200位以内に登場しています。このブログでは2021年の紅白で藤井風さんが”見つかった”と紹介しましたが(下記リンク先参照)、その藤井風さんの日本のSpotifyデイリーチャート200位以内における登場曲数は一昨年晦日が1曲、一昨年大晦日が4曲そして昨年元日が7曲となっていました。

 

日本のSpotifyデイリーチャートには50位の壁という特性が存在します(この特性についてはSpotifyにおける"50位の壁"、ビルボードジャパンソングスチャートへの反映具合を確認する(2021年8月27日付)をご参照ください)。ただクリスマス終了以降しばらくはこの特性が反映しにくい状況です。お正月休みが終わりチャートが安定したタイミングで50位以内に残る作品はどれかを確認する必要があります。

2020年5月11日にデジタルリリースされたVaundy「怪獣の花唄」が、日本のSpotifyデイリーチャートで50位以内にはじめて入ったのは昨年11月7日付でのこと。紅白以前に50位以内に入っていたことも今回のデイリー4位到達に大きく影響した(その足場を作った)と言えますし、ずっと50位未満を滞在していたということはいつ何時大ブレイクしてもおかしくない状況だったわけで、紅白がその最良の場に成ったと捉えていいでしょう。

 

 

紅白効果は複合指標から成るビルボードジャパンソングチャートにも影響を及ぼします。2021年の紅白は翌年1月2日までを集計期間とする2022年1月5日公開分ソングチャートに反映されています。2021年の紅白で特に印象的だった藤井風さんはアルバムチャートにも勢いが波及しており、これらについては下記ブログエントリーにて紹介しています。

2022年の紅白による影響は、2023年元日までを集計期間とする1月4日公開分、および1月2~8日を集計期間とする1月11日公開分にも表れるはずです。1月4日公開分は年末年始進行の関係上、1月10日火曜に発表されます(このブログでは1月11日に紹介します)。Vaundyさんの作品群、楽曲単位のみならず「怪獣の花唄」を収録したアルバム『strobo』の動向も、注目しないわけにはいきません。