昨年大晦日に放送された『NHK紅白歌合戦』(NHK総合ほか 以下、紅白と記載)。番組についての私見、問題点の記載と改善提案については元日付のブログエントリーにて記しています。
紅白は高視聴率ながらリアルタイム視聴率が40%を割ったこと、NHKが受信料収入で成り立つゆえに言いやすいこと等を理由に必要以上に叩かれる印象です。Yahoo! JAPANの個人コラムでも悪意がはっきり見えるものが少なくなく、強い悲しみと憤り(なぜこの方々がコラムを書くのかという思い)を抱きます。このような姿勢が”#紅白見ない”と堂々と言えることにお墨付きを与えると感じており、文句より進言をと強く願います。
昨年の紅白における個人的なベストパフォーマンスはVaundyさんと藤井風さんでした。Vaundyさんのライブ的煽りは、ライブの空気感を知る方には痛快ながら知らない方にはどう映ったかが気になりますが、ともすればその煽りも含めて強烈な印象を残しただろうことが、Spotifyデイリーチャートの動向からみえてきます。
まず前提として、元日には再生回数が下がる傾向にあることを押さえます。
ここ1年2ヶ月における、@SpotifyJP の50位および200位における再生回数の推移をグラフ化。
— Kei (@Kei_radio) 2023年1月2日
2021年末と2022年末とで200位の再生回数は大きく異なります。晦日→大晦日→(翌年)元日の推移を以下に。
2021年末:27,551→23,545→18,902回
2022年末:37,026→32,356→26,447回 pic.twitter.com/GguXK5fr6N
200位の水準が元日に下がる傾向はありますが、この1年で再生回数の水準は大きく上昇しています。200位が2万7千回を下回ったのは昨年8月13日付(26,607回)以来でしたが、人々の往来が多い時期を除けば昨年7月8日付における25,859回以来となります。たとえばOfficial髭男dism「Subtitle」や、米津玄師「KICK BACK」をはじめとする『チェンソーマン』(テレビ東京)関連曲効果もあり、サブスクユーザーの増加が如実に解るのです。
【Spotifyデイリーチャート上位曲推移】
— Kei (@Kei_radio) 2023年1月2日
2022年11月7日から2023年元日まで、主要曲の @SpotifyJP デイリー再生回数をグラフ化。最新日におけるトップ10を表示。#NHK紅白 披露曲が半数を占拠。元日は再生回数が前日の8割前後となる中、#Vaundy「#怪獣の花唄」の上昇度合いが際立ちます。 pic.twitter.com/JVdBDsouNL
大晦日から元日にかけては紅白効果が反映される傾向にありながらも全体の再生回数は前日の8割程度に下がりますが、その中にあってVaundy「怪獣の花唄」の勢いがグラフにてはっきり示されています。元日に日本のSpotifyデイリーチャートでトップ10入りした曲の再生回数前日比は「怪獣の花唄」を除く9曲が77.3~82.7%の範囲に収まっていますが、「怪獣の花唄」は同113.0%を記録し前日超えを達成しているのです。
日本における1月1日付Spotifyデイリーチャート、100位以内にランクインした #NHK紅白 披露曲の動向。
— Kei (@Kei_radio) 2023年1月2日
1→1位 #Official髭男dism「#Subtitle」 再生回数前日比81.3%
4→3位 #Ado「#新時代 (#ウタ from #ONEPIECEFILMRED)」 同81.6%
12→4位 #Vaundy「#怪獣の花唄」 同113.0%
(続く)
日本における1月1日付Spotifyデイリーチャート、100位以内にランクインした #NHK紅白 披露曲の動向。(続き)
— Kei (@Kei_radio) 2023年1月2日
7→7位 #SaucyDog「#シンデレラボーイ」 再生回数前日比82.2%
10→9位 #SEKAINOOWARI「#Habit」 再生回数前日比82.7%
24→18位 #backnumber「#アイラブユー」 同85.3%
(続く)
日本における1月1日付Spotifyデイリーチャート、100位以内にランクインした #NHK紅白 披露曲の動向。(続き)
— Kei (@Kei_radio) 2023年1月2日
93→50位 #milet、#Aimer、#幾田りら「#おもかげ (produced by #Vaundy)」 再生回数前日比130.5%
59→63位 #KingGnu「#Stardom」 再生回数前日比82.4%
(続く)
日本における1月1日付Spotifyデイリーチャート、100位以内ランクインの #NHK紅白 披露曲の動向。(続き)
— Kei (@Kei_radio) 2023年1月2日
77→65位 #あいみょん「#君はロックを聴かない」 同93.1%
94→73位 #星野源「#喜劇」 同92.0%
133→94位 #TWICE「#Celebrate」 同101.6%
142→95位 #backnumber「#高嶺の花子さん」 同106.2%
紅白披露曲で元日における再生回数が前日超えを達成した曲は他にもありますが、とりわけVaundyさんがプロデュースしmiletさん、Aimerさんおよび幾田りらさんが歌う「おもかげ」は前日比130.5%と高水準に達しました。
さらにVaundyさんは元日付における日本のSpotifyデイリートップアーティストチャートを初制覇。これも踏まえれば、Vaundyさんの紅白初出場が広く世間に”見つかった”きっかけとなったと断言していいでしょう。
今回の #NHK紅白 で #Vaundy さんはいわば”見つかった”と言えるでしょう。
— Kei (@Kei_radio) 2023年1月2日
日本の1月1日付Spotifyデイリーチャートにおける各曲の順位動向は以下の通り。
12→4位 #怪獣の花唄
44→35位 #CHAINSAWBLOOD
93→50位 #おもかげ (#milet さん、#Aimer さん、#幾田りら さん名義)
63→51位 #踊り子
(続く)
日本の1月1日付Spotifyデイリーチャートにおける #Vaundy さん作品の順位動向。(続き)
— Kei (@Kei_radio) 2023年1月2日
64→53位 #napori
67→56位 #恋風邪にのせて
84→57位 #不可幸力
91→67位 #花占い
134→87位 #置き手紙
171→111位 #東京フラッシュ
164→115位 #Tokimeki
(続く)
日本の1月1日付Spotifyデイリーチャートにおける #Vaundy さん作品の順位動向。(続き)
— Kei (@Kei_radio) 2023年1月2日
123位 (初登場) #おもかげ -self cover-
163→124位 #裸の勇者
145位 (再登場) #世界の秘密
152位 (再登場) #瞳惚れ
159位 (再登場) #mabataki
177位 (再登場) #忘れ物
190位 (再登場) #しわあわせ
(続く)
日本の1月1日付Spotifyデイリーチャートにおける #Vaundy さん作品の順位動向。(続き)
— Kei (@Kei_radio) 2023年1月2日
192位 (再登場) #lifehack
Vaundyさんの作品はデイリー200位以内に19曲ランクイン。1月1日付デイリートップアーティストチャートでは自身初の頂点に輝いています。
Vaundyさんの作品はプロデュース作の「おもかげ」を含め、昨年晦日は10曲、大晦日は12曲、そして元日には19曲が日本のSpotifyデイリーチャート200位以内に登場しています。このブログでは2021年の紅白で藤井風さんが”見つかった”と紹介しましたが(下記リンク先参照)、その藤井風さんの日本のSpotifyデイリーチャート200位以内における登場曲数は一昨年晦日が1曲、一昨年大晦日が4曲そして昨年元日が7曲となっていました。
日本のSpotifyデイリーチャートには50位の壁という特性が存在します(この特性についてはSpotifyにおける"50位の壁"、ビルボードジャパンソングスチャートへの反映具合を確認する(2021年8月27日付)をご参照ください)。ただクリスマス終了以降しばらくはこの特性が反映しにくい状況です。お正月休みが終わりチャートが安定したタイミングで50位以内に残る作品はどれかを確認する必要があります。
2020年5月11日にデジタルリリースされたVaundy「怪獣の花唄」が、日本のSpotifyデイリーチャートで50位以内にはじめて入ったのは昨年11月7日付でのこと。紅白以前に50位以内に入っていたことも今回のデイリー4位到達に大きく影響した(その足場を作った)と言えますし、ずっと50位未満を滞在していたということはいつ何時大ブレイクしてもおかしくない状況だったわけで、紅白がその最良の場に成ったと捉えていいでしょう。
紅白効果は複合指標から成るビルボードジャパンソングチャートにも影響を及ぼします。2021年の紅白は翌年1月2日までを集計期間とする2022年1月5日公開分ソングチャートに反映されています。2021年の紅白で特に印象的だった藤井風さんはアルバムチャートにも勢いが波及しており、これらについては下記ブログエントリーにて紹介しています。
2022年の紅白による影響は、2023年元日までを集計期間とする1月4日公開分、および1月2~8日を集計期間とする1月11日公開分にも表れるはずです。1月4日公開分は年末年始進行の関係上、1月10日火曜に発表されます(このブログでは1月11日に紹介します)。Vaundyさんの作品群、楽曲単位のみならず「怪獣の花唄」を収録したアルバム『strobo』の動向も、注目しないわけにはいきません。