松任谷由実さんのベストアルバム『ユーミン万歳!~松任谷由実50周年記念ベストアルバム~』が、明後日発表される10月12日公開分(10月17日付)ビルボードジャパンアルバムチャートを制することが確実となりました。
10月3~9日を集計期間とする10月12日公開分(10月17日付)ビルボードジャパンアルバムチャートにおいて、その前半3日分ではフィジカルセールス137,859枚、ダウンロード3,113DLを記録。各指標とも2位との差は大きく、ベストアルバムの勢いを強く感じます。
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松任谷由実さんは『日本の恋と、ユーミンと。 The Best Of Yumi Matsutoya 40th Anniversary』(2012)が3年前の秋に累計売上100万枚を突破していますが、新たなベストアルバムも人気です。週報は明後日登場しますが、『ユーミン万歳!~松任谷由実50周年記念ベストアルバム~』の売上の大きさは今年度の総合アルバムチャートおよび各指標制覇作品と比較してもよく解るはずです。
松任谷由実さんのベストアルバム『ユーミン万歳!~松任谷由実50周年記念ベストアルバム~』発売前後におけるテレビ番組露出(『関ジャム 完全燃SHOW』や『タモリ倶楽部』スペシャル(共にテレビ朝日)、『SONGS』(NHK総合)等)が所有/接触の大きなきっかけになった可能性もありますが、今作に唯一収められた新曲がラジオで長くOAされてきたことでベストアルバムの登場を知ったという方も少なくないのではないでしょうか。
「Call me back」は『“50年の時を超えて”をテーマに、現在の松任谷由実と最新のAIで再現された荒井由実のボーカルとの初デュエットとなる一曲』。デジタルリリースは9月21日ですが、『7月22日(金)午前9時から随時、民放ラジオ99局にて“ラジオ独占オンエア”』がスタートしており、ビルボードジャパンソングスチャートのラジオ指標でも結果を残しています(『』内は下記リンク先より)。
松任谷由実 with 荒井由実「Call me back」のダウンロードやストリーミング指標は上記CHART insightの10週目以降、動画再生指標は10月1日のミュージックビデオ公開に基づき11週目以降に加算されるのですが、実際ラジオ以外で加算されたデジタル関連指標は10週目のダウンロードのみ(100位未満ながら300位圏内に登場)。Twitter指標も加算されていますが10週目以降且つ100位未満(300位圏内)であり、ラジオの強さが際立ちます。
ストリーミングや動画再生といった接触指標群の未加算も踏まえるに、ラジオ聴取で「Call me back」を知った方は中高年層が主体であること、彼らの行動が接触や単曲購入を経るよりもベストアルバム購入に直結したと捉えてもいいのではないでしょうか。
さて、ラジオ指標自体についても変化が起きていると感じています。このラジオ指標はプランテックが調査した全国31のFMおよびAM局におけるOA回数に基づき、ビルボードジャパンが聴取可能人口等を加味して独自に算出しているものですが、プランテックも別途OA回数チャートを発表しています。9月26日~10月2日を集計期間とするプランテックのOA回数チャートの記事に、気になる文言を見つけました。
2位はBUMP OF CHICKEN「SOUVENIR」が初登場した。TVアニメ「SPY×FAMILY」第2クールオープニング主題歌となる同曲。9月29日の配信リリースと同時にオンエアが開始すると、リリース週およびアニメの放送スタート週が重なったことで一気に注目が集まったかっこうだ。今週最高値となる83.9%のステーションでオンエアを獲得しつつ、リクエスト数も最多と、文句なしで今週最も注目された一曲となった。
3位は松任谷 由実 with 荒井 由実「Call me back」が前週109位から急浮上した。10月4日リリースのアルバム「ユーミン万歳!~松任谷由実50周年記念ベストアルバム~」に収録される同新曲は、民放ラジオ99局“スピーカーでラジオを聴こう”キャンペーンソングとなっており、7月22日にラジオ独占でオンエアを開始。7/18~7/24チャートで12位に初登場、8/22~8/28チャートでは3位まで浮上しつつ今週で11週目のチャートインだが、9月21日に先行配信を迎えたこと、そして次週に控えたアルバムリリースに向けてオンエアが再伸長し、TOP3返り咲きとなった。次週どこまで伸びるか期待したい。
民放ラジオ99局“スピーカーでラジオを聴こう”キャンペーンソング、且つ10月3日以降に特別番組『WE LOVE RADIO 松任谷由実 50th ANNIVERSARY』がOAされるにもかかわらず、松任谷由実 with 荒井由実「Call me back」をOAした放送局はBUMP OF CHICKEN「SOUVENIR」より少ないことが判明。ベストアルバム収録の代表曲を優先OAしたことも考えられますが、ラジオ局の足並みが揃っていないだろうとも感じた次第です。
それでも、ラジオ特別番組の放送開始日が明後日発表の10月12日公開分(10月17日付)ビルボードジャパンアルバムチャートの集計開始日と合致すること、且つベストアルバム『ユーミン万歳!~松任谷由実50周年記念ベストアルバム~』のリリース週であることを考えるに、ラジオやテレビが揃って松任谷由実さんを盛り上げるべく動いている印象です。ならば10年ぶりにリリースされたベストアルバムの高い人気も頷けます。
なお松任谷由実さんは2018年秋にサブスクをほぼ全曲解禁済。今作は中高年層の購入が多いと推測しましたが、デジタル環境の整備は若年層にもリーチしやすく、ファン層拡大にもつながるはずです。サブスク解禁しながら初週フィジカルセールス20万枚を見込めることは、以前のベストアルバムがミリオンを突破したこと(収録曲重複の可能性等)を踏まえれば尚の事、デジタルがフィジカルを侵食しないと結論付けていいでしょう。
最後に。今回のベストアルバムでも小田和正さん、財津和夫さんとの「今だから」(1985)が収録されなかったことは残念に思います。デジタルのみならずCD化もされていないならば、いずれ出るベストアルバムに向けて用意していると信じたいものです。