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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングスチャートなどを紹介します。

ベテランのアルバムが最新チャートで特筆すべき動き…その内容とは、そしてデジタルについて思うこと

9月7日公開分(9月12日付)ビルボードジャパンアルバムチャートでは、ベテランの作品に特筆すべき動きが。吉田拓郎さんのラストアルバム、そして山下達郎さんのオリジナルアルバムについて、その動向をみていきます。

 

 

まずは吉田拓郎『ah-面白かった』。アルバムチャートでは74→17位に急浮上していますが、このきっかけはアナログ盤の発送に因るものでした。CDでは6月29日に発売されたこの作品は、アナログ盤が8月10日にリリース。下記タワーレコードの記事には、8月4日10時以降の注文分が9月2日金曜以降順次発送されるとあり、この追加発送分が9月4日までを集計期間とする最新チャートに反映されたと考えられます。

吉田拓郎『ah-面白かった』のCHART insightを上記に。アルバムチャートはフィジカルセールス(黄色で表示)、ダウンロード(紫)およびルックアップ(オレンジ)の3指標で構成。ルックアップはCDをパソコン等に取り込んだ際にインターネットデータベースのGracenoteにアクセスされる数を示しますが、最新週でこの指標がダウンしているのはフィジカルセールス指標の大半がアナログ販売だったことの結果と言えるでしょう。

 

 

一方、山下達郎『SOFTLY』は総合順位こそ1ランク後退していますが、今回新たな指標が加わっています。

『SOFTLY』は最新チャートでダウンロード指標が初加算。下記リンク先のビルボードジャパンによるダウンロードアルバムチャートの記事では『11年ぶりのオリジナル・アルバムとして話題となった山下達郎『SOFTLY』のダウンロード配信がスタートし、7位に。また、あわせて最新リマスター版がリリースされた竹内まりや『Quiet Life』(1992年リリース)も、16位にチャートインしている』とあります。

サブスクでは発信しないと語る山下達郎さんですが、ダウンロードは前作『Ray Of Hope』(2011)に続けての解禁となりました。ただ『SOFTLY』のダウンロード解禁について、公式ホームページにてその案内はみられません(下記リンク先参照)。

『SOFTLY』が仮にフィジカルセールスと同時にダウンロードを解禁していたならばビルボードジャパンアルバムチャートで首位初登場を果たせたのではと以前書きました(→こちら)、ともすれば以前話題になったYahoo! JAPANのインタビューがデジタル全般に懐疑的な姿勢と映ったことで、ダウンロード解禁を訴求しなかった可能性も考えられます。

ただ、ビルボードジャパンの記事にもあるように、『SOFTLY』は妻の竹内まりやさんによる『Quiet Life』(1992)の30周年記念盤が8月31日にリリースされたタイミングでダウンロードを解禁。『Quiet Life』は最新のビルボードジャパン総合アルバムチャートで3位に登場したほか、サブスクでも確認できます。

最新9月7日公開分(9月12日付)ビルボードジャパン各種チャートの集計期間は、首都圏ラジオ局の聴取率調査週間と同一。最新週におけるソングスチャートのラジオ指標では山下達郎「さよなら夏の日」が12位に入ったほか、同指標の基となるプランテックのOAチャートでは竹内まりや「September」も27位に登場しています。

山下達郎さんは『SOFTLY』のリード曲「LOVE'S ON FIRE」で圧倒的なラジオ支持を受けており、またラジオは聴取率調査週間になると多くの方の支持を集める曲がよりOAされる傾向があるため、竹内まりや『Quiet Life』30周年記念盤と自身の『SOFTLY』ダウンロードのリリースをこの週に合わせたという可能性も考えられるでしょう。だとすれば、そのスケジュール策定が何気に戦略的ではないかと感じる自分がいます。

 

 

アナログも配信も、今の時流に沿った動きと言えます。しかし吉田拓郎さんは公式YouTubeチャンネルがないためにキャリア全般を公式動画経由で辿ることができません。山下達郎さんもレコード会社の公式アカウント発で数本ミュージックビデオがアップされているものの、そのキャリアは公式動画にてほぼ確認できない状況です。

お二方ともKinKi Kidsと縁があり、ジャニーズを経由して若年層へもリーチできる環境にあるだけに、仮にデジタル環境を少しでも充実したならば、最新アルバムがより大きくヒットしたものと考えます。