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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

原由子の新曲がビルボードジャパンでトップ50入り…ラジオの強さはベテラン共通の特徴である

最新8月24日公開分(8月29日付)ビルボードジャパンソングスチャートでは40位に原由子「ヤバいね愛てえ奴は」が初登場。ドラマ『プリズム』(NHK総合)主題歌として1,916ポイントを獲得したこの曲は、ポイントの実に9割以上がラジオ指標で占められているのです。

(CHART insightにおいて、ラジオ指標は黄緑で表示。)

ビルボードジャパンソングスチャートのラジオ指標は、プランテックが調査した全国31のFMおよびAM局におけるOA回数を基に、聴取可能人口等を加味してビルボードジャパンが独自に算出。プランテックは別途OA回数チャートを発表していますが、原由子「ヤバいね愛てえ奴は」はこちらでも首位に立ちました。

31年ぶりのオリジナルアルバム「婦人の肖像(Portrait of a Lady)」より、ドラマ10「プリズム」主題歌で8月17日に先行配信された同曲。作詞作曲を手掛ける桑田佳祐の番組「桑田佳祐やさしい夜遊び」(JFN系列)では、6月25日放送回で早くも初解禁されると、前週を除きこれまで計8週にわたりオンエア。番組サイトへは、50代女性を中心としつつも10代の男性まで、幅広い層のファンから同曲の感想が寄せられてきた。

一方、7月25日から全面解禁されると他番組でも多数のオンエアを獲得し、7月25日〜7/31チャートで17位に初登場。その後、19位、53位と順位を落とすも、リリース週を迎えた今週いっきにオンエアが波及し首位へと急浮上した。

トピックが多いだけに広く注目されたことは言うに及ばず、今週は調査対象となる全国のFM全局がオンエア。リクエストも多数確認された。アルバムリリースを迎える10月19日に向け、さらなる長期オンエアと新たな新曲公開にと期待も高まる。以降のチャートアクションにも注目だ。

デジタル解禁されながらもストリーミング指標は300位未満で未加算となり、ラジオの強さが際立ちます。この指標だけで1,700ポイント以上を獲得しているのですから驚異的です。なおダウンロード指標は100位未満ながら300位圏内となり、加点されています。

 

 

このラジオ指標では時折、ベテランの強さが際立ちます。今年度はベテラン歌手の首位獲得自体少ないものの、同指標首位獲得時における獲得ポイントは特筆すべきものがあります。

 

桑田佳祐 feat.佐野元春世良公則、Char、野口五郎「時代遅れのRock'n'Roll Band」

 (6月1日公開分(6月6日付)にてラジオ指標首位/総合9位(4,627ポイント獲得))

山下達郎「LOVE'S ON FIRE」

 (6月29日公開分(7月4日付)にてラジオ指標首位/総合14位(3,356ポイント獲得))

2曲のラジオ指標における特筆すべき動向は、CHART insightの下にあるリンク先にて紹介していますが、「時代遅れのRock'n'Roll Band」は1,900ポイント前後を、「LOVE'S ON FIRE」に至っては3,300ポイント以上をラジオ指標だけで獲得したことになるのです。この1指標だけでトップ50入りを果たせるほどのポイントとなり、ラジオが如何にベテラン歌手の作品をOAしたかがよく解ります。

一方で今回取り上げた3曲は接触指標が十分加点されていません。山下達郎さんはストリーミングのみならずダウンロードも解禁していませんが、桑田佳祐さんは解禁するもストリーミング指標300位以内に入ることができませんでした。今回の原由子さんも同様であり、ベテラン作品の強さとそうでない部分とがはっきり分かれています。

 

 

取り上げた3曲における接触指標の強くなさ/所有指標の強さを踏まえれば、ラジオはベテランに優しいと言えるでしょう。なお山下達郎さんはダウンロード未解禁ながらアルバム『SOFTLY』は15万枚近い初週セールスを記録しており、所有指標の強さが目立ちます。

この3組以外にもJ-Popベテラン歌手におけるラジオの強さが目立ちますが、そのラジオでは洋楽のOAが減り、またラジオ特有の新人や実力者のフックアップが弱くなっている傾向があります。ベテランの突出のみならずそれらの点にも注力できるかを、ラジオ側が時折自問自答することも必要かもしれません。