イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

(追記あり) 米ビルボードがTwitterに関連したチャート、Hot Trending Songsを新設…内容およびビルボードへの希望を記す

(※追記(11月22日18時49分):米ビルボードビルボードジャパンはHot Trending Songsチャートについてチャートポリシーを公開していませんが、現段階で判明した(と思しき)内容を追記しました。)

(※追記(11月22日19時18分):Hot Trending Songsチャートについて、ご指摘をいただきました。その内容を掲載した上で、あらためて米ビルボードビルボードジャパンに説明をし尽くすことを求めます。)

 

 

 

ビルボードが、Twitterにおけるトレンドを可視化した新たなチャート、Hot Trending Songsチャートをローンチ。米国東部時間の10月22日正午、米ビルボードが初公開したチャートでは2つの時間軸双方で、BTS「Permission To Dance」が首位を獲得しました。

Hot Trending Songsチャートにおいて上が1週間、下が24時間を時間軸とするチャートとなります。

 

(※追記(11月22日18時49分):下記画像で示されるリアルタイムチャートはこちらから見ることができます。”Last 7 Days”と”Last 24 Hours”の2種類が用意され、それぞれ直近の1週間分/24時間分が確認可能です。)

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BTS「Permission To Dance」は7月に米ビルボードソングスチャートおよびふたつのグローバルチャート(Global 200およびGlobal Excl. U.S.)を制していますが、Twitter社が情報提供し、レミーマルタンがスポンサーとなったHot Trending Songsチャートでも首位に至っています。

このHot Trending SongsチャートはTwitterにおける音楽の世界的なトレンド、またやり取りをリアルタイムで追跡し、金曜から木曜までの1週間および1日単位のふたつの時間軸に基づくチャートが用意されます。新作や音楽賞、ライブやフェス、懐かしい作品等、話題になった曲が上位に登場する傾向があるとされ、1週間を単位とするチャートは他の週間チャート共々、日本時間の毎週火曜に掲載される模様です。

 

(※追記(11月22日18時49分):先述したように、リアルタイムで表示されるチャートは直近の1週間分/24時間分となります。そして金曜から木曜までの1週間分についてはこちらから確認可能です。)

 

Hot Trending Songsがローンチされた日、1週間および1日の双方の時間軸に基づくチャートで首位を獲得したBTS「Permission To Dance」は、前者で110万回、後者で23万1千回言及されています。また最新10月23日付におけるふたつのグローバルチャートでトップ10入りを果たした*1LISA「Money」が双方の時間軸で2位につけています。

 

 

さて、米ビルボードによる記事を読む限り、Hot Trending Songsチャートの集計対象となるツイートがアメリカ在住のユーザーに限って集計されるのかそれとも世界中のユーザーの流行を抑えるのかについて、明確な言及がない模様です*2。一方でトップ20表示箇所の下部にはこのような記載があります。

Billboard Hot Trending Songs Powered by Twitter provides a real-time ranking of the most discussed songs on Twitter globally, viewable over either the last 24 hours or past seven days. A weekly version of the chart – covering activity from Friday to Thursday of each week – will be part of Billboard’s weekly chart menu.

(※太字はブログ筆者が強調した箇所となります。)

『全世界のTwitter上で最も話題になった楽曲をリアルタイムにランキングした』ならば、日本のTwitterユーザーによって盛り上がった曲もHot Trending Songsチャートに登場する可能性があるものと考えます。このチャートが公開された日に1週間、1日の双方の時間軸でトップ20入りしたのが、登坂広臣さんがØMI名義で発表した「You」。BTSのSUGAさんがプロデュースに参加したことが世界的に話題となったと推測されます。

このチャートの発表を受けて、レコード会社側が喜びの声を発しています。こういう姿勢、どんどん行ってほしいですね。

 

ビルボードがHot Trending Songsチャートを開始した背景には、今年1月に休止したSocial 50チャートの代替という側面があると断言していいでしょう。新設されたチャートは今年5月、その発足がアナウンスされていました。

元来Social 50チャートはアイドル的側面を持ち合わせた歌手が上位を占め、ジャスティン・ビーバーBTSが首位に長く君臨していました。そして今回登場したHot Trending SongsチャートではBTSをはじめとするK-Popがトップ20の7割以上を占めており、ファンダムの強さを感じずにはいられません。

次回のソングスチャートではアデル「Easy On Me」が米ビルボード、そしてふたつのグローバルチャートで首位に登場するものと予想されています。Spotify等で記録的大ヒットに至ったゆえ話題性は十分なのですが、仮に今週火曜に発表される1週間単位でのHot Trending Songsチャートで「Easy On Me」よりもK-Popが大挙上回るならば、このチャートの特徴がはっきり可視化されると言えるでしょう。

一方、米ビルボードソングスチャートはその指標構成にTwitterを含まず、8指標のひとつにTwitterを含むビルボードジャパンソングスチャートと異なります。

Twitter指標の特徴は上記にまとめています。個人的に、この指標が総合チャートと乖離すること、ファンダムの熱意を理解する一方でそれが乖離を生み出している要因であることを踏まえれば、米ビルボードのHot Trending Songsチャートが成功した場合は日本でも同種のチャートを発足させ、Twitter指標をビルボードジャパンソングスチャートから切り離すことも必要ではないかと考えます。

(この切り離しについては、Hot Trending Songsチャートの発足がアナウンスされたタイミングで私見を記しています。)

 

ビルボードジャパンはソングスチャートにおけるTwitter指標について、2021年度第4四半期にウエイト減少させる措置を採った(チャートポリシーを変更した)ため、この指標を切り離す必要が薄れたかもしれませんが、検討の必要はあると考えます。

そしてビルボードジャパンや米ビルボードは、先述したようにHot Trending Songsチャートの対象ツイートが世界なのか米に限ってのものなのかをクリアにしてほしいと考えます*3。仮に世界のユーザーのツイートを対象としたものならば、推す歌手がいるファンの方々はHot Trending Songsチャートへのランクインを目指すことを目標を掲げるのもいいかもしれません。

 

 

 

※追記(11月22日19時18分):Hot Trending Songsチャートについて、ご指摘をいただきました。自分のこちらのツイートに関してのものです。

ITZY NiziU🌈 K-POPfanさんのTwitterアカウントではHot Trending Songsチャートの新設後、特定の歌手を紹介する形で定点観測を行っており、ご指摘の内容は間違いないと思われます(定点観測のツイートはこちらから確認可能です)。つまりは更新時間がパソコンとモバイルとで異なります。

本来はこのような事態はあってはならないと思いますし、技術的にやむを得ないのならばその件も含め、本来は米ビルボードがきちんとチャートポリシーを発表してアナウンスすべきではないでしょうか。また日本人歌手のランクインが現に複数曲誕生している以上、ビルボードジャパンも説明を尽くしてほしいというのが率直な意見です。

ファンの方々の尽力に感謝する一方で公式側が説明をし尽くすことを、心から願います。

*1:最新10月23日付グローバルチャートについては【グローバルチャート】「Stay」が首位キープしLISAがトップ10入り、アデル待望の新曲が過去作を押し上げる - イマオト - 今の音楽を追うブログ -(10月20日付)をご参照ください。

*2:元の記事(→こちら)では『Billboard’s Hot Trending Songs charts, powered by Twitter, track global music-related trends and conversations in real-time across Twitter, viewable over either the last 24 hours or past seven days.』とありますが、"世界的なトレンドや会話"がどこまでのユーザーを追跡対象とするか、明確化されていないと捉えています。

*3:その際は合わせて、ひとつのツイートに一組の歌手とたくさんの曲とを一緒に載せてもすべての曲が集計対象となるのかや言語の違いは含むのか等、ルールを明確にしてほしいと願います。