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【米ビルボード】「Stay」が首位返り咲き、その一方で「My Universe」がトップ10から脱落

毎週火曜は最新米ビルボードの速報をお伝えします。

現地時間の10月11日月曜に発表された最新10月16日付米ビルボードソングスチャート(Hot 100)。ザ・キッド・ラロイ with ジャスティン・ビーバー「Stay」が中1週で首位に返り咲きました。

ザ・キッド・ラロイ with ジャスティン・ビーバー「Stay」はストリーミングが前週比6%ダウンの2320万(同指標3位)、ダウンロードが同14%ダウンの7400(同指標10位)、ラジオが同4%アップの8640万(同指標1位)を記録。ラジオにおいては4週目の首位を記録しています。

「Stay」は通算7週目の首位獲得となり、ソロ男性歌手のコラボ曲(両者主演名義)でポール・マッカートニースティーヴィー・ワンダー「Evony & Ivory」(1982)に並ぶ史上2位タイとなりました。なお最長記録はルイス・フォンシ & ダディー・ヤンキー feat. ジャスティン・ビーバー「Despacito」(2017)の16週となります。

 

前週から1ランクアップしリル・ナズ・X & ジャック・ハーロウ「Industry Baby」が2位に。ストリーミングは前週比7%ダウンの2340万(同指標2位)、ダウンロードは同3%ダウンの5200(同指標12位)、ラジオは同15%アップの5810万(同指標5位)を記録しています。

 

ウォーカー・ヘイズ「Fancy Like」が2ランクアップし、自己最高となる3位に到達。ホットカントリーソングスチャートでは13週目の首位を記録したこの曲は、同チャートが総合ソングスチャートと同種の計算方法を採用した2012年10月以降において、ホットカントリーソングスを制し且つ総合ソングスチャートでトップ3を獲得した5曲目の作品となりました。

最初にこの記録を達成したのはテイラー・スウィフト「We Are Never Ever Getting Back Together」(2012 総合1位)。以下ビービー・レクサ & フロリダ・ジョージア・ライン「Meant To Be」(2017 総合2位)、ルーク・コムズ「Forever After All」(2020 総合2位)、ギャビー・バレット feat. チャーリー・プース「I Hope」(2020 総合3位)、そして今回の「Fancy Like」と続きます。

 

ストリーミング指標を制したのは今週もドレイク feat. フューチャー & ヤング・サグ「Way 2 Sexy」(総合4位)ですが、前週比15%ダウン(2340万を記録)。またデュア・リパ「Levitating」は今週2ランクアップし8位に。これにより通算38週目のトップ10入りとなり、ザ・ウィークエンド「Blinding Lights」の57週(在籍期間 2020-2021)、ポスト・マローン「Circles」の39週(同 2019-2020)に次ぐ歴代3位の在籍記録となりました。

 

ウィズキッド feat. ジャスティン・ビーバー & テムズ「Essence」が1ランクアップし同曲初のトップ10入り。ストリーミングは前週比1%ダウンの1120万(同指標21位)、ダウンロードは同8%ダウンの3200(同指標24位)、ラジオは同5%アップの4890万(同指標9位)を記録しています。

ウィズキッドにとってのトップ10入りは、ドレイクにカイラ共々客演参加した「One Dance」が2016年に10週首位を記録して以来2曲目。ウィズキッドと同じくナイジェリア出身のテムズは、初のソングスチャート100位以内エントリーでもあるこの曲で最初のトップ10入り。なおテムズはドレイクに客演参加した「Fountains」で2曲目のソングスチャートランクインを果たしています(9月の初登場時における26位がピーク)。

そしてジャスティン・ビーバーにとっては「Essence」が25曲目となるトップ10作品となりました。元来ウィズキッドとテムズによる曲にジャスティンが参加したバージョンが8月13日にリリースされたことがトップ10入りに大きく貢献。これによりトップ10獲得曲数においてジャスティンはエルヴィス・プレスリーリル・ウェインと並ぶ歴代11位となりました。

なおトップ10獲得曲数の最高記録はドレイクの54曲。以下マドンナ(38曲)、ザ・ビートルズ(34曲)、リアーナ(31曲)、マイケル・ジャクソン(30曲)、テイラー・スウィフト(29曲)、マライア・キャリーおよびスティーヴィー・ワンダー(共に28曲)、ジャネット・ジャクソンおよびエルトン・ジョン(共に27曲)となっています。

 

最新のトップ10はこちら。

[今週 (前週) 歌手名・曲名]

1位 (2位) ザ・キッド・ラロイ with ジャスティン・ビーバー「Stay」

2位 (3位) リル・ナズ・X & ジャック・ハーロウ「Industry Baby」

3位 (5位) ウォーカー・ヘイズ「Fancy Like」

4位 (4位) ドレイク feat. フューチャー & ヤング・サグ「Way 2 Sexy」

5位 (6位) エド・シーラン「Bad Habits」

6位 (7位) オリヴィア・ロドリゴ「Good 4 U」

7位 (8位) ドージャ・キャット feat. シザ「Kiss Me More」 

8位 (10位) デュア・リパ「Levitating」

9位 (9位) ドレイク feat. 21サヴェージ & プロジェクト・パット「Knife Talk

10位 (11位) ウィズキッド feat. ジャスティン・ビーバー & テムズ「Essence」

 

 

さて、ここまでは米ビルボードの記事を翻訳する形で記載しました。ここからは私見も折り込みます。

 

前週初登場で首位を獲得したコールドプレイ & BTS「My Universe」は12位へ後退。トップ10から姿を消しました。

「My Universe」はダウンロードが前週比54%ダウンとなりながら42600を記録し同指標2週目の首位を獲得した一方、ストリーミングは同23%ダウンの880万(同指標32位)、ラジオは同41%アップの790万(同指標50位未満)となっています。

気掛かりなのはストリーミングが下降したことにあります。

今回「My Universe」のミュージックビデオ公開日は9月30日木曜、つまりは最新チャートの集計期間最終日であったことからストリーミング指標は次週キープもしくは上昇する可能性を十分持ち合わせています。今回のミュージックビデオ解禁を木曜にした理由は不明ですが、ともすれば米ビルボードソングスチャートでの安定を狙ったものかもしれません。

上記ミュージックビデオの再生回数は前週が公開日分のみストリーミング指標に加算され、今週は1週間フル加算されることから同指標が上昇する可能性もあると考えていました。しかし2割以上もの下落はこちらの予想を大きく超えています。

前週の構成3指標の動向は、コールドプレイの曲でもありながらBTSのそれをなぞるものと捉えていました。そのBTSは「Butter」が10万以上のダウンロードをキープし続けたことで通算10週首位を獲得した一方、その後リリースされた「Permission To Dance」はわずか1週の首位にとどまっています。「My Universe」も後者に倣う形でダウンする可能性が十分考えられます。

『仮に「My Universe」も同様の動向を辿るならば、BTSは今後もダウンロード指標を武器に総合での首位を量産するだろうとして、米社会への曲の浸透はその称号と乖離しているものと危惧します』と前週のブログエントリーで記載し、最後に米ビルボードへチャートポリシー変更の議論を希望すると記しました。今後再浮上する可能性もありますが、しかしダウンが続くならば議論の上で変更に至らせる必要があると考えます。