イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

(追記あり) ロングヒット中のDa-iCE「CITRUS」、さらなる押し上げに必要なのはレンタル需要喚起である

(※追記(21時14分):ブログ執筆段階で『音楽の日』(TBS)の出演者はまだ発表されておりませんでした。一部文言を訂正し、お詫び申し上げます。)

 

 

 

地上波テレビ番組における長時間音楽特番が花盛りとなりました。今後はフジテレビ『FNS歌謡祭 夏』が14日水曜、TBS『音楽の日』が17日土曜に放送されます。しかし その中に 放送された夏の長時間音楽特番も含め、現段階で「CITRUS」がロングヒット中のDa-iCEの名はありません。

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ドラマ『極主夫道』(読売テレビ日本テレビ)主題歌の「CITRUS」はフィジカルを1万枚限定でリリースし、ビルボードジャパンソングスチャートでトップ50に登場したものの100位圏外へダウン。しかしオーディション企画『THE FIRST』で課題曲に起用され、また一発録りYouTubeチャンネルのTHE FIRST TAKEで同曲を披露したことで注目を集め、この春再浮上を果たしています。

CITRUS」がトップ40内にはじめて登場したタイミングで上記ブログエントリーを記載しましたが、その後5月26日公開(5月31日付)ビルボードジャパンソングスチャートで最高位となる26位を記録。また最新6月30日公開(7月7日付)では3000ポイントを初めて突破しました。

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最新チャートにおいてはダウンロードが19位に急上昇していますが、テレビ番組でのパフォーマンスが大きく影響していることは間違いありません。

メディア展開が特にダウンロードに直結する傾向は、SixTONESによる動画投入策の影響は、そしてチャートアクション増幅のために必要なこととは(6月11日付)においてクイーンを例に提示しています。

 

 

Da-iCEについては、昨年春の『CDTVライブ!ライブ!』(TBS)に出演しながら半ばEXITの客演扱いとなりきちんと注目されない件を踏まえ、以下の内容を記しました。

ならば歌手側やレコード会社、そしてファンは明日の番組出演を機に、Da-iCEを気になったライト層予備軍をどう惹き込むかを考えて実行し、彼らをメディアが無視出来ない存在にまで高めていく必要があるでしょう。

当該ブログエントリーは未だアクセスが多く、ゴールデンタイムの地上波音楽番組に出ていないことへの疑問を抱く方は少なくないものと思われます。

アイドルとしての人気も持ち合わせているならば、フィジカルセールスを武器にトップ10入りを果たすことが必要だったかもしれず、その点ではレコード会社移籍後のフィジカル連投企画において「CITRUS」を枚数限定にしたのは勿体なかったと思うところはあります。しかし「CITRUS」の直近10週におけるポイントは25552となり、フィジカルセールスを武器にするアイドルと遜色ない数字を獲得しているのです。

また「CITRUS」がビルボードジャパンソングスチャートで50位以内に再登場して間もなく、読売テレビの音楽特番『カミオト - 上方音楽祭 -』にDa-iCEが出演。番組ではジャニーズ事務所所属のなにわ男子がスペシャルサポーターを務めており、両者の絡みがあったかは不明ながら以前から懸念していた内容は在阪メディアではおそらくないだろうことが見て取れます。ならばキー局でも出演して好いと思うのです。

以前Twitterで取り上げられたブログエントリーを再掲しますが、民放キー局のレギュラー音楽番組および長時間特番に未だDa-iCEが登場しないことについて、違和感を拭えないのが正直な私見準キー局ではそこまで問題がないにせよ、キー局ではまだまだと言えるかもしれません。

 

 

Da-iCEは「CITRUS」という名刺代わりの曲が誕生したと言えます。この曲のロングヒットを続け、同時にアイドル的なチャートアクションでトップ10入りする曲を用意し、その二本柱でキー局が無視できない状況を作ることが最善かもしれません。しかし、そのために克服しないといけない課題があると考えます。

CITRUS」は、後にリリースされたアルバム『SiX』にも収録されていますが、そのアルバムはロングヒットに至れていません。最新チャートでは『スッキリ』効果でフィジカルセールスおよびダウンロードが300位以内に入り、総合でも300位以内復帰を果たしたもののルックアップが未加算なのが気になります。

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オレンジの折れ線で表示されるルックアップはパソコン等に取り込んだ際にインターネットデータベースのGracenoteにアクセスされる数を示しています。実際の購入者数(ユニークユーザー数)、そしてレンタル枚数を推測可能とするのがこのルックアップですが、「CITRUS」においても当該指標があまりに低いのは気掛かりです。

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(上記は「CITRUS」および『SiX』におけるCHART insightにて、総合順位(黒の折れ線で表示)とルックアップのみを抜き出したもの。)

Da-iCEが所属するエイベックスには、上半期に「勿忘」がヒットしたAwesome City Clubも在籍していますが、彼らのアルバム『Grower』はレンタル解禁タイミングで自分の住む街の店舗に在庫がなく、レンタル需要が活きないのではないかと指摘したことがあります。

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『Grower』のCHART insightについて、総合・全指標および総合・ルックアップのみの2パターンを掲載。3週目の週末からレンタル分のルックアップが加算されるものの、『Grower』の3週目においてルックアップが300位にも満たないことは驚きでした。その後、「勿忘」のロングヒットに伴いレンタル需要が高まったことはCHART insightから明らかであり、実際近隣店舗でも『Grower』が複数枚レンタル在庫を用意しています。

 

Awesome City Club『Grower』のレンタル在庫が当初なかったことについては、「勿忘」の需要を見越していなかったレンタル店舗側に問題があると以前指摘しました。しかし『SiX』ともなると(また「CITRUS」もフィジカルリリースされており、且つDa-iCEのレンタル在庫のほうがより少ないだろう現状を踏まえると)、エイベックス側のレンタルチェーンへの働きかけこそ奮起する必要があると考えざるを得ません。

Awesome City Club『Grower』について指摘したブログエントリーでは、レンタル需要喚起の最高の例としてYOASOBIによる上記ツイートを取り上げました。実際、彼らのEP『THE BOOK』は上半期アルバムチャートで2位となり、フィジカルで3倍ものセールスを獲得したMr.Children『SOUNDTRACKS』に勝っています。また収録曲がロングヒットしているのは承知のとおりです。

 

Da-iCEの名は、テレビ番組に十分出られていない状況(ように個人的には映っています)の中にあって、認知度は少しずつ上昇しているものと思われます。ただし彼らに興味を持ったすべての方がデジタルプラットフォームを利用しているわけではありません。接触指標においてサブスクや動画再生は好調ですがレンタル需要にどう応えていくかを、歌手側もですがレコード会社側には今一度強く考えてほしいと切に願います。