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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

【ビルボード最新動向】King & Prince「Beating Hearts」、デジタル解禁ならば100位以内に入れた?

最新5月26日公開(5月31日付)ビルボードジャパンソングスチャート、昨日はBTS「Butter」の凄まじい勢いを紹介しました。

今日はチャートを制したKing & Prince「Magic Touch」を軸に取り上げますが、その前に先週木曜のブログエントリーについて振り返ります。

5月19日公開(5月24日付)ビルボードジャパンソングスチャートは4位までが初のトップ10入り、うち3曲が100位以内初登場。その4曲の過去作品および関連曲の動向等を踏まえて今週のチャート動向を予想しましたが、正解したと言っていいでしょう。

そう考えれば、最新チャートを制したKing & Prince「Magic Touch」についても、次週は自身の過去作や同じジャニーズ事務所所属のHey! Say! JUMP「ネガティブファイター」の動向を辿ると考えるのは自然なこと。フィジカルセールス加算2週目の売上減少を、デジタル未解禁につきダウンロードやストリーミングが補完できないためです。

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近年のシングルはフィジカルセールス加算2週目におけるポイント前週比が11~17%で推移。仮に最大値(17%)となれば次週はおよそ6600ポイントとなりますが、トップ10をキープできると断言することはできません。前作「I promise」は首位獲得の翌週に12位にダウンしていることから予断を許さない状況と言えます。少なくとも、フィジカル未リリースで2位に初登場を遂げたBTS「Butter」との逆転は必至です。

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尤もKing & Princeは連日過去のミュージックビデオをアップし、その都度SNSでトレンド入りを果たしています。しかしながらダウンロードやストリーミングが未解禁のままであり、ミュージックビデオは解禁しても結局ショートバージョンであることを踏まえれば、過去曲の解禁が新作の勢いにつながったとして前週比20%を超えることは厳しいと考えます。

 

そして気になるのは、フィジカルのダブルAサイドのもう1曲、「Beating Hearts」。

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フィジカルセールスおよびルックアップ(パソコン等にCDをインポートする際にインターネットデータベース(Gracenote)にアクセスされる数)はフィジカルの表題曲に、ダブル以上のAサイド曲の場合は1曲のみに加算されるため、「Beating Hearts」はこれら2指標が未加算。「Magic Touch」が首位獲得した最新週において、100位以内ランクインを逃しています。

実はカップリング曲やダブルAサイドの他曲はデジタル解禁すれば100位以内に登場する可能性が高いことを、KAT-TUN「Flashback」が示しています。「Flashback」は「Roar」がフィジカルリリースと同時にデジタル解禁されたタイミングで登場し、「Roar」が首位を獲得した3月17日公開(3月22日付)で91位に登場したのです。下記はその日付におけるチャート推移(CHART insight)および同日付のダウンロードソングスチャートの記事となります。

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尤もKAT-TUN「Flashback」はデジタル限定のカップリングであるためダウンロードが特段多かったと考えられますが、一方でKing & Prince「Beating Hearts」がラジオ、Twitter、動画再生の各指標でポイントを獲得していることを踏まえれば、「Beating Hearts」はデジタル解禁していたならばダウンロード等の加算に伴い総合100位以内にランクインしたはずです。

 

 

近年はYOASOBI(「怪物」「優しい彗星」)、あいみょんさん(「愛を知るまでは」「桜が降る夜は」)、またこの先には星野源さん(「不思議」「創造」)等、ダブルAサイドシングルとしてフィジカルリリースする歌手が増えています。これらの曲はフィジカルリリース前にデジタルを用意していることから、フィジカル発売後も好調なチャートアクションを維持できるという傾向がみられます(もしくは想像できます)。

その意味でKing & Princeの最新シングルは、「Magic Touch」の次週のポイント8割以上減少が予想される点、さらには「Beating Hearts」が今週100位以内ランクインを逃した点において、デジタル未解禁はあまりに勿体ないと感じずにはいられないのです。