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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

【ヒットの予感】CMソング起用の幾田りら「Answer」が再浮上…好調を支える4つの要因

テレビで流れるこの歌声、惹かれませんか?

東京海上日動あんしん生命のCMシリーズに起用されているのは、YOASOBIのikuraとしても活動する幾田りらさんの「Answer」。この曲が少しずつチャートを上昇しています。

20位には、YOASOBIのikuraとしても活動している幾田りらの「Answer」が初のトップ20入り。同曲は3月9日より配信がスタートし、2021年3月17日公開(集計期間:2021年3月8日~3月14日)のダウンロード・ソング・チャートでは、初登場25位を獲得した。その後、一度は全指標300位圏外となったものの、4月末からストリーミング・ソング・チャートで300位圏内に再浮上し、現在はダウンロード、ストリーミング、動画再生の3指標が300位圏内を走っている。

ビルボードジャパンによる最新5月19日付(5月24日公開)Heatseekers Songsチャートで「Answer」は20位に登場(このチャートの抽出ルールは記事に掲載されています)。Spotifyでは4月17日に日本のデイリーチャートで200位以内に再登場して以降連日ランクインを果たしているのですが、5月9日以降は「Answer」のデイリー再生回数が常時3万を超え、今週4万台に突入。直近の3日間は再生回数を連日更新しているのです。

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「Answer」の再生回数アップは、CMによる認知度上昇が考えられます。大量OAがヒットにつながっている例としては、藤井風「きらり」が挙げられます。

VEZELのブランド力がヒットを一層加速させている「きらり」。一方で「Answer」は大手保険会社の安心を提供したいという思いに応えるかのような優しさに溢れた曲で、例えるならば(保険会社は異なりますが)小田和正「たしかなこと」(2005)のような安心感があります。

とはいえ、「Answer」のリリースは3月。それがなぜ今になって、"ゆっくりと"から"着実に"駆け上がっているのでしょう。

 

ポイントは4つ。まずは200位以内に返り咲いた後はじめて3万の大台に乗った4月19日月曜に注目。この日、幾田りらさんがSpotifyのプレイリストでカバー(表紙)を飾っています。日曜から月曜にかけては再生回数がダウンするのが一般的であるため、このカバーの影響は絶大です。

Spotifyといえば、こどもの日限定のカバーも話題に。

幾田りらさんがリツイートしていることから、本人だと判明。このこどもの日限定カバーは藤井風「きらり」にも影響を与えています(上記ブログエントリー参照)。これらSpotifyプレイリストのカバー就任は、同サービスの再生回数増加にダイレクトにつながるのです。

 

上昇のポイント、2つ目は幾田りらさんがボーカルを務めるYOASOBIの好調。特に新曲「もう少しだけ」はフィジカル未リリースながら最新5月19日公開(5月24日付)ビルボードジャパンソングスチャートで1万ポイントを上回るスタートを切りました。

YOASOBIのツイートにおける、コアなファンやライト層への呼びかけが自然で素敵ですが、YOASOBIの新曲リリース(厳密には発売アナウンスの時点から)に呼応する形で、「Answer」も着実にステップアップしたと言えるでしょう。

 

さらには、YOASOBIのikuraとしてではない、幾田りらさんとしての注目度上昇も挙げられます。

とりわけ、細田守監督による3年ぶりの映画『竜とそばかすの姫』への抜擢には、上記ツイートへの2600近いリツイート(ブログ執筆時点)等からも高い注目度が伺えます。発表された5月7日は平日の中でも再生回数の低い金曜だったこともあり「Answer」は一時的にダウンしますが、翌々日以降常時3万再生を続けています。

 

直近3日間においては、ユーザー生成コンテンツ(UGC)が影響していると言えるでしょう。

ドライフラワー」でビルボードジャパン上半期ソングスチャート首位の座を確実にした優里さん。連日カバー曲を公開することでエンゲージメントの確立につながっていますが、カバーした曲が優里さんファン中心に届きその曲も伸びる傾向にあることが、動画アップ日に「Answer」がSpotifyで初の4万台に突入したことから見て取れます。

 

 

他のデジタルプラットフォームの動向は再生回数未表示につき不明ですが、Spotifyの動向のみを追いかけても、(Spotifyの)プレイリストカバーへの起用、YOASOBI新曲とのリンク、幾田りらさんの注目度上昇、そしてUGCの登場…これらにより4月下旬以降「Answer」が再浮上し、好調に推移していることが解ります。「Answer」はミュージックビデオが未だ公開されていませんが、その動向次第ではさらなるステップアップが十分考えられます。