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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

【ヒットの予感】YOASOBI「もう少しだけ」はリリース前から過去曲に波及…エンゲージメントの重要性を知る

次回、5月19日公開(5月24日付)ビルボードジャパンソングスチャートも初週フィジカルセールスに強い作品が最上位に登場することが予想されますが、注目はYOASOBI「もう少しだけ」の動向。月曜に解禁され、集計期間フル加算で上位を狙います。

次回チャートの集計期間前半3日間における速報段階(先ヨミ記事)で、ダウンロードは既に3万近くを売り上げています。

そしてストリーミング指標の基となるサブスク再生回数も強く、6位に登場しているのです。

「もう少しだけ」はフィジカル未リリースながら、初週1万ポイント超えを果たすのは確実かもしれません。

 

 

YOASOBIの施策の巧さについてはエンゲージメントの確立という表現を用いて紹介してきました(次週の首位候補?「夜に駆ける」でブレイクしたYOASOBIのTwitter姿勢は多くの歌手の鑑となる(2020年5月22日付)等)。Twitterにおいてはライト層をコアなファンへと昇華させる、そしてコアなファンがさらに応援したくなるような、決していやらしくなく自然ながらも確実に背中を押す言葉(のチョイス)が素晴らしいのです。今回においても、ランキング上位進出を紹介しながらまた再生してほしいと暗に願うこちらのツイートには唸らされます。

無論、リリース後のみならず解禁前の紹介も丁寧なのですが、それが功を奏しているが最新5月12日公開(5月17日付)ソングスチャート。ストリーミング指標におけるビルボードジャパンの指摘がまさにそれを物語っています。

続く2位はBTSの「Dynamite」、3位はYOASOBIの「怪物」となっており、当週は上位7曲までが前週と同じ並びとなった。YOASOBIはさらに4位「夜に駆ける」、7位「群青」、14位「アンコール」、16位「ハルカ」、17位「ハルジオン」、36位「たぶん」、47位「優しい彗星」、55位「あの夢をなぞって」と計9曲がチャートインしており、いずれも再生回数の増減率はほとんど横ばいで、ストリーミングにおいても特定のヒットソングだけが訴求するのではなく、アーティスト単位で根強いエンゲージメントを維持していることが窺える。

最新週は大型連休後半が集計期間であり、平日が2日のみのためストリーミング再生回数は伸びる傾向にあるとはいえ、YOASOBIの各曲は必要以上に再生回数を落としていません。「もう少しだけ」のリリース直前、YOASOBIをあらためて聴こうとする動きが生まれていることが考えられます。そしてこの動きは他指標にも波及し、最新ビルボードジャパンソングスチャートにおけるYOASOBIの各曲がポイント上昇に至っています。

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最上位の「怪物」(総合4位)がポイント前週比100.1%、以下「夜に駆ける」(7位 106.6%)、「群青」(16位 101.5%)、「アンコール」(27位 102.5%)、「ハルジオン」(28位 108.6%)、「ハルカ」(29位 110.9%)と、最新週で50位以内に入った(イコールポイントが可視化されている)6曲がすべて上昇。YOASOBIにおける新曲アナウンスの過去曲への波及は特定の曲にだけ有効ではなく全体に行き渡っていると言えるのです。

 

そして「もう少しだけ」はヒットの潮流に早くも乗りつつあります。

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(5月16日までのデータ公開後、Twitterにて公開予定です。)

たとえばLINE MUSICに比べてチャートアクションが保守的であるSpotifyにおいても、「もう少しだけ」は5月13日のデイリーチャートで9位に入り、同曲初のトップ10入り。そして過去曲にも影響が波及し、5月10日以降実に3曲が最高位をを更新、もしくは並んでいるのです(「怪物」4位、「群青」5位および「アンコール」10位)。好調をキープする「夜に駆ける」も加えると、ともすれば5月16日までの期間中にSpotifyデイリーチャートでYOASOBIが5曲同時トップ10入りすることも考えられます。

 

 

新曲との相乗効果で過去曲がどこまで勢いを示すのか、そして「もう少しだけ」がどの位置に登場するのかに注目すると共に、やはりYOASOBIのエンゲージメントの巧さは見事としか言いようがないのです。