(※13時22分 追記:歌手名の日本語表記を訂正しました。ご指摘くださった末崎裕之さんに感謝申し上げます。)
このブログでも幾度となく紹介した、R&Bやヒップホップを紹介するネットメディアであるbmrが、この春頃からでしょう、閲覧できなくなっています。
【bmrからのお知らせ】
— bmr (@bmr_jp) 2019年3月14日
4月1日よりbmrの運営者が変わりますhttps://t.co/AMApHIOH6t
無論上記ツイートのリンク先も確認できません(し、いずれこのTwitterアカウント自体なくなるかもしれません)。丸屋九兵衛さん個人に運営者が以降したことが大きく影響していると推測されますが、ネットメディアが半ば消失してしまうという自体はあまりにも残念であり、これまで送り出された情報や、その情報提供に勤しんできた方すべてが報われない行為だよなあと思ってしまうのです。
そんな中で、このbmrに所属したり、連載を持っていた方のSNSアカウントからは有意義な情報が提示されており、R&B好きな身には嬉しく思います。その中でも、以前所属し、現在は音楽ライターとして活躍されている末崎裕之さんが作成したR&Bプレイリストが非常に興味深いのです。
ジョイス・ライスやガラントの新作が最高だったので、90s後半〜00s前半のR&Bの空気が色濃い最近の曲を集めたプレイリストを作りました。この5年(2016年以降)にリリースされた曲限定という縛り。https://t.co/J0B8rb4oYH
— 👼 (@hsuezaki) 2021年4月12日
(勝手ながら紹介させていただきました。問題があれば削除いたします。)
1990年代後半から2000年代前半の音が今の流行になっているとざっくり感じていましたがこれだけあるのですね。しかもジョイス・ライス「Losing」を手掛けたDマイルは、H.E.R.の曲で今年のグラミー賞およびアカデミー賞を獲得したプロデューサー。日本では嵐「Whenever You Call」をブルーノ・マーズと共に手掛けたことでもっと注目されるべき存在と言えますが、そのDマイル関連曲を入れている点でもこのプレイリストは素晴らしいですね。
さて、末崎裕之さんがプレイリストを作成されて以降も、R&Bを中心に1990年代後半から2000年代前半の音が用いられている曲が次々と出ているのが興味深いのです。先月リリースされた作品および想起される作品を掲載します。
ストークリー”Cascade”のリミックス(Lvrs Quarrel Mix)...これはたまらない! マイロンの“Destiny“を思い出してしまった。https://t.co/H2GBwScCR2
— RIN-GO (@hystys) 2021年4月25日
(勝手ながら紹介させていただきました。問題があれば削除いたします。)
レコード会社のA&Rやライターを務めるJAMさんこと細田日出男さんのツイートに、音楽評論家の林剛さんが反応。ミント・コンディションのボーカルを務めるストークリーのオリジナルバージョン(→こちら)から大きく異なっているのみならず、ミュージックビデオを制作することにリミックスへの強い意気込みを感じます。
マイロンは1998年、当時のネオソウルムーブメントの中で登場した歌手。1990年代のR&Bをまとめた書籍『R&B/HIP-HOP DISC GUIDE』ではマイロンについて、『シンガーとしてはミント・コンディションのストークリー~ラファエル・サディーク系の、青臭い声をしている』と表現されています。20年以上の時を経てストークリーが寄せた?というのはさすがに大袈裟かもしれませんが、なかなか面白い動きですね。
キャンディ「Don't Think I'm Not」がうっすら香るかのよう。2000年前後のR&Bを敷いた曲が増えている印象。
— Kei (@Kei_radio) 2021年4月19日
https://t.co/Fslii1Suus
キャンディはプロデューサーのシェイクスピア(She'kspere)と組み、TLC「No Scrubs」やデスティニーズ・チャイルド「Bills, Bills, Bills」等を大ヒットさせていますが、それら作品も1990年代後半発。キャンディは2000年に初のソロ作をリリースし、その先行曲がこの「Don't Think I'm Not」でした。
なお、キャンディが在籍するエクスケイプは、R&Bやヒップホップの人気オンラインイベント”Verzuz”に登場。相手はSWVというのですから、まさに90年代リバイバルブームを象徴した内容と言えそうです。
Are y’all ready for May 8th!? This is for the R&B queens 👸🏾👸🏾👸🏾🔥 SWV vs Xscape 💕💕💕💕
— VERZUZ (@verzuzonline) 2021年4月27日
Saturday, May 8th | 5PM PT / 8PM ET
Watch in the @triller app, on your TV with the @FiteTV app, or on our Instagram.@FemmeItForward #VERZUZ
Drinks by @Ciroc pic.twitter.com/aHNmzF9WW7
先述したTLC「No Scrubs」については、ビービー・レクサの新曲がその雰囲気を纏っている印象があります。
似てないかもと言われることを覚悟で書くならば、ビービー・レクサ feat. リル・ウージー・ヴァート「Die For A Man」におけるギターの使い方、サビのハイハットがTLC「No Scrubs」っぽいなあと。https://t.co/Z5QT3Y2JDx
— Kei (@Kei_radio) 2021年4月30日
カール・トーマス「I WISH」サンプリング?とふと。2000年前後のR&Bを意識した曲、増えてますね。https://t.co/q54PNWoNo7
— Kei (@Kei_radio) 2021年4月20日
エルア(と読む模様)エルエイ「In My Corner」のクレジット(YouTubeの概要欄参照)には、カール・トーマス「I Wish」(2000)のプロデューサーであるマイク・シティの本名(マイケル・フラワーズ)が記載。Twitterでご指摘いただいたのですが、元曲のオケの部分は弾き直した可能性が高いかもしれません。
(※歌手名の読み方について、末崎裕之さんよりご指摘をいただきました→こちら。よって元の記載内容を打ち消し、正しい名前を記載しました。)
最後はちょっと違う角度から。DJキャレドが突如リリースしたニューアルバム、『Khaled Khaled』。Spotifyの新曲プレイリストで序盤に登場した「I Did It」(feat. ポスト・マローン、メーガン・ザ・スタリオン、リルベイビー & ダベイビー)が、あのデレク・アンド・ザ・ドミノス「Layla」を大ネタ使いしたトラックなのです。
ここまでの堂々とした使い方で思い出したのは、ポリス「Every Breath You Take」を下敷きにしたパフ・ダディ & フェイス・エヴァンス feat. 112「I'll Be Missing You」でした。
亡きザ・ノトーリアス・B.I.G.の追悼としてリリースされた「I'll Be Missing You」のリリースは1997年。ヒップホップでも20年前の音がリバイバルされていると感じずにはいられません。