ここ最近、日本において動画を活用したプロモーションが増えている印象があります。ミュージックビデオのプレミア公開(さらに直前には生配信を実施)、ティーザーによる予告やチラ見せ、ミュージックビデオのメイキング(海外ではビハインド・ザ・シーンと呼ばれるもの)を公開、等…リリース前にどれだけ認知を高め、リリースの瞬間をお祭り状態にし、リリース後も離さないように留めさせるという戦略が日本で根付いているように思います。そしてそれらをスケジュールとして事前に告知したことで既に祭状態を生んでいるBTS「Butter」は一歩先を行く印象があります。
BTS「Butter」のプロモーションスケジュール公開https://t.co/nE3r0HVX0q#BTS #방탄소년단 #BTS_Butter
— 音楽ナタリー (@natalie_mu) 2021年4月29日
「Dynamite」に次ぐ全編英語詞の曲であり、おそらくはリミックスも複数種リリースされることでしょう。
米ビルボードソングスチャートやグローバルチャートではリミックスやミュージックビデオの別バージョン等がきちんと合算されます。これらによってチャートトップに躍り出た作品もあり、たとえばハリー・スタイルズ「Watermelon Sugar」については、首位を獲得した際にメイキングを公開する等の施策が徹底されていました。
一方で、リミックスやミュージックビデオの別バージョン等が合算されない(とみられている)日本では、メイキング等を観てから本編映像再生やデジタルプラットフォームでの接触もしくは所有へつなげない限りチャートに反映されにくい状況です。それでもメイキングの公開が徹底されてきているのは好いことだと感じています。
メイキングの公開において、最近その試みに感心したのが向井太一「Colorless」。戸塚純貴さんと共演したミュージックビデオはこちら。
先月リリースのアルバム『COLORLESS』収録のこの曲、メイキングが後日公開されたのですが、合わせて脚本も公開されているのです。
向井太一が演技に初挑戦、「Colorless」MVメイキングと脚本公開(動画あり)https://t.co/0VkzrtCETJ#向井太一
— 音楽ナタリー (@natalie_mu) 2021年4月27日
脚本を読んでミュージックビデオをチェック、その逆もまた行われることでビデオや曲への思いがより深まるはず。脚本は水橋文美江が担当し、陶芸シーンの登場は自身が手掛けた『スカーレット』(NHK)を彷彿。さらに演出は中江功さんという布陣であり、以前林遣都さんが三役を務めた『世界は3で出来ている』のコンビなのです。その『世界は3で出来ている』は先週発表された第58回ギャラクシー賞のテレビ部門で入賞していることから、「Colorless」のメイキングは映像関係の仕事を目指す方にとっても学ぶことの多いコンテンツではないでしょうか。
【 #ギャラクシー賞 】(1/3)
— 放送批評懇談会 (@houkon_jp) 2021年4月30日
テレビ、ラジオ、CMの作品、関係者を顕彰する「ギャラクシー賞」。
本日4月30日正午、第58回ギャラクシー賞テレビ、ラジオ、CM、報道活動部門の入賞作品、テレビ部門個人賞、特別賞、ラジオ部門DJパーソナリティ賞および奨励賞を発表いたします! pic.twitter.com/bdJxF3vKKZ
演出脚本コンビによってさらに箔がついた「Colorless」。ミュージックビデオの演出や裏側をみせるということはあっても、脚本をというのはあまり聞いたことがありません。これらによって「Colorless」にすでに浸っていた方がさらにその深度を増し、ライト層の興味の入り口を増やすことができていると考えます。