イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

(追記あり) 櫻坂46・A.B.C-ZとNiziUのチャートアクションの差から見えてくるものは…4月21日公開(4月26日付)ビルボードジャパンソングスチャートをチェック

(※追記(17時12分):文章構成を一部変更しました。)

 

 

毎週木曜は、前日発表されたビルボードジャパン各種チャートの注目点を紹介します。

4月12~18日を集計期間とする4月21日公開(4月26日付)ビルボードジャパンソングスチャート(Hot 100)。NiziU「Take a picture」が2位に後退、櫻坂46「BAN」がフィジカルセールス初加算に伴い初の首位を獲得しました。

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「BAN」のチャートアクション、前作であり改名後の初陣となった「Nobody's fault」を彷彿とさせます。

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「BAN」は「Nobody's fault」に比べてフィジカルセールスが微減となり、且つ今年に入ってからビルボードジャパンがフィジカルセールスのウェイトを小さくしたことで同指標からの獲得ポイントは減っていますが、ダウンロードや動画再生等他指標が前作より好調のため、ポイント面で前作超えを果たしました。

一方で気になるのはストリーミング指標の弱さ。同指標は300位以内となり加点対象にはなりながらも100位以内を逃しています。そして「BAN」の再生回数は『1,086,231再生』と上記記事に記載。総合トップ10紹介記事ではフィジカルセールス、ダウンロードおよびストリーミング(再生回数)の各数値はそれぞれの指標が50位以内でなければ記されないことがルールとなっていますが、「BAN」は公表されている形です(ゆえにいずれ記事が修正される可能性があります)。

最新チャートトップ10の中でストリーミング指標10位未満なのはNiziU「Poppin' Shakin'」(総合10位)およびONE OK ROCK「Renegades」(総合8位)の2曲。「Renegades」は同指標43位で2499752回再生を記録していることから、櫻坂46「BAN」の再生回数の多くなさが解ります。加えて、「Nobody's fault」がチャートを制した昨年12月21日付(12月16日公開)ビルボードジャパンソングスチャートにおけるストリーミング再生回数からの増加が一割に満たないという状況です(前作「Nobody's fault」については下記ブログエントリーをご参照ください)。

 

 

※追記(15時36分):記事が訂正され、櫻坂46「BAN」のストリーミング再生回数が未掲載となりました。

この訂正は自分が知る限り二度目。それも前回は同じ櫻坂46「Nobody's fault」で発生していました。詳しくは上記ブログエントリー((追記あり) 12月21日付ビルボードジャパンソングスチャート制覇、櫻坂46の初陣をどうみるか)をご参照ください。

訂正後の記事では『ストリーミング数について誤った数字を記載しておりました』とあります。この表記は前回の訂正時と変わりません。実際に数値が誤っていたかは解りかねますが、しかし誤っていたならば正しい数値を掲載するのが自然であり、未記載とする必要はないと考えます。

同種の事項が複数回発生したことに対し、個人的には以下の改善を要求します。ビルボードジャパンが信頼されるチャートであり続けることを願うため、また総合チャート記載者の負担軽減を目的とすることがその理由です。

(以上、追記終わり。)

 

 

デジタル等では「Nobody's fault」より好調と言えるかもしれない「BAN」ですが、それでも次週トップ10内にとどまることができるかは微妙な情勢と言えます。

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今年度の10位のポイントにおける最低は5340(3月24日公開(3月29日付))。仮に次週5340ポイントを獲得するならば「BAN」はポイント前週比16.2%以上が必要となります。改名前の欅坂46時代ならば余裕と言えましたが、今作はどうなるでしょうか。

 

 

男性アイドルでは、A.B.C-Z「Nothin' but funky」が最新チャートで初登場を果たしました。しかしながらトップ10入りは逃しています。

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フィジカルセールスに係数処理が施されチャートが一気に社会的ヒットの鑑に近づいたと言える2017年度以降の、A.B.C-ZにおけるシングルCD表題曲の状況を上記に。フィジカルセールスは常にトップ3内をキープする一方、総合では2作続けてトップ10入りを逃しました。

順位面で高いのはフィジカルセールスのみならず、「Nothin' but funky」においてはTwitter指標も2位と好調。しかし、ミュージックビデオを用意しても動画再生指標が加点対象となる300位以内にも入らない状況です。フルバージョンではないものの2~3分台のミュージックビデオを載せることで動画再生指標が比較的高い位置に来るジャニーズ事務所所属歌手が増えたのですが、A.B.C-Zについてはこの指標の盛り上がりがなかったのが残念です。

 

 

さて、前週2連覇を達成したのがNiziU「Take a picture」。その動向を”理想のチャートアクション”と記しました。

そのNiziUについて、最新週のチャートアクションをみてみると。

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フィジカルセールス加算2週目の「Take a picture」はポイント前週比29.1%。フィジカルセールスの落ち込みによる急落ですが、しかしポイント前週比3割前後という数値はアイドル曲では圧倒的に高いものであり、且つ1万ポイントを上回っています。そして、フィジカル関連指標のポイントが付かない「Poppin' Shakin'」もトップ10内をキープしているのです。

NiziUの強みは動画再生指標の高さであり、同指標のトップ2を最新シングルの2曲が占拠していることからも明らか。それのみならず、ストリーミングが「Take a picture」2位、「Poppin' Shakin'」11位と上位であることも大きいでしょう。フィジカルセールスという所有指標がダウンしても、これら接触指標群が強いことでNiziUの曲は高水準をキープしているのです。

 

 

櫻坂46もA.B.C-Zも、そしてNiziUもアイドルグループとしての認知度は高いものと思われます。アイドルにおいてはフィジカルセールスが強いほか、動画再生指標も比較的高い傾向があり、極端に言えば画的な(ビジュアル面での)ニーズの高さが反映されているのかもしれません。では純粋な曲の評価となるとどうでしょう。ダウンロードやサブスク未解禁作品および歌手については言及することもできませんが、デジタル解禁してもフィジカルセールス等にそぐわない低さであるならば、アイドル面で評価はされどその域を出ていないのでは、アーティストとしての評価が高いとは言えないのでは…そう考える自分がいます。

その面において、オーディションを勝ち抜き、その実力が評価されてデビューに至ったNiziUについては、アイドルという位置付けのみならずアーティストという面でも評価されているのではないかということをチャート面から感じています。尤も、初の音源となった「Make you happy」がフィジカル未リリースゆえファンのデジタルへの意識がそこで強まったと言えるかもしれません。しかしながら、コアなファンのみならずライト層へも曲が十分浸透していることがアイドルかアーティストかの差につながっていると捉えることは、決して大袈裟ではないかもしれません。

 

 

※追記(8時14分):アイドルとアーティストについて、ツイート先行で表現を少し改めてみました。アイドルでありながらアーティストでもあることこそ理想かもしれません。