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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

「廻廻奇譚」「怪物」の新たな投入が他指標も刺激し浮上…4月5日付ビルボードジャパンソングスチャートをチェック

毎週木曜は、前日発表されたビルボードジャパン各種チャートの注目点を紹介します。

3月22~28日を集計期間とする4月5日付ビルボードジャパンソングスチャート(Hot 100)が3月31日に公開。Sexy Zone「LET'S MUSIC」がフィジカルセールス初加算に伴い初登場で首位を獲得しました。

(※なお今週より、ビルボードジャパンではチャートの日付を公開日ベースに変更しています。通常は3月31日公開分と記載すべきですがこのブログではしばらくの間、米ビルボードに倣い●月●日付と記載する予定です。)

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前作「NOT FOUND」は昨年11月16日付においてフィジカルセールス25万枚以上を獲得しながらもLiSA「炎」に破れて最高2位にとどまっており、今回念願の首位復帰を果たした「LET'S MUSIC」。フィジカルセールス、ルックアップおよびTwitterを制していますが、デジタル未解禁につき次週どこまで踏みとどまることができるかが気になります。

 

前週首位の宇多田ヒカル「One Last Kiss」は5位にダウン。一方でYOASOBI「怪物」が7→2位と躍進しポイントも同曲初の5桁に達したほか、Eve「廻廻奇譚」が2月22日付以来となるトップ10復帰を果たしています。

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これらの曲の直近3週間の動向を比較すると、面白いことが見えてきます。

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最新週において宇多田ヒカル「One Last Kiss」がポイントおよび指標全体で漸減しているのに対し、Eve「廻廻奇譚」は動画再生が11→4位、Twitterが100位圏外(300位以内)→6位に躍進したほかストリーミングは9位をキープしながら再生回数は5%近く上昇。YOASOBI「怪物」もダウンロードが9→3位となり前週から5割以上上昇しています。

これは月曜のブログエントリーで記載した内容が大きく影響を与えたと言っていいでしょう。つまり、Eve「廻廻奇譚」は新たな映像の発信が、YOASOBIは「怪物」「優しい彗星」のダブルAサイドシングルをフィジカルリリースしたことが功を奏し、それらが「廻廻奇譚」は動画再生、「怪物」はフィジカルセールスおよびルックアップに直接影響を与えたのみならず、他指標へも勢いが波及しているのです。

またデジタルの数値が不明であり、且つフィジカルセールスが加算されないものの、YOASOBI「優しい彗星」がデジタル関連指標の順位を上げていることも大きな特徴と言えます。

一方、SpotifyCanvas動画を3月22日から『シン・エヴァンゲリオン劇場版』仕様にした宇多田ヒカル「One Last Kiss」ですが、Spotifyの再生回数は3月15日からの1週間が1,608,444回だったのが翌週は1,464,675回に(前週比91.1%)。他のサブスクサービスを含めた最新週の総再生回数は前週比83.3%であったためSpotifyCanvas効果はみられただろう一方、他指標に波及したとは言い難いでしょう。

 

「廻廻奇譚」や「怪物」「優しい彗星」がそれぞれテーマソングに起用されたテレビアニメ(『呪術廻戦』『BEASTARS』)が共に前週最終回を迎えたことも曲の反応の大きさにつながっていますが、そのタイミングでの新規投入が功を奏しています。どのタイミングでの投入が効果を最大化できるか、そして投入する作品にアニメの世界観を踏襲することの重要性を、運営側は間違いなく熟知していると思うのです。