イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

テイラー・スウィフトに続いてYUI「CHE.R.RY」も…ビルボードジャパンの曖昧といえる合算基準を是正するならば

ビルボードジャパンソングスチャートで気になる現象が再び起きています。

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2007年リリースのYUI「CHE.R.RY」はダウンロードでミリオンセールスを達成。チャート分析に長けたあささんはブログの中で『CDと配信の合計値で自己最高売上を記録している「CHE.R.RY」がYUI最大のヒット曲である』と述べるほど、彼女にとって最も知られた曲と言えます。

この「CHE.R.RY」、最新3月8日付ビルボードジャパンソングスチャートでラジオ指標が18位に到達。この曲はラジオで桜の咲く時期に毎年ピークを迎える傾向にあることがチャート推移から解るのですが(同曲のCHART insightはこちら)、しかし今年は早くも2月の段階で上昇傾向にあるのです。ラジオ指標はプランテックのOA回数データに基づき聴取可能人口等を加味して独自に指標化されたものですが、そのプランテックでは前週の段階で『早くも“春ソング”がチャートイン開始、新たな桜ソング登場も』との見出しを付け、「CHE.R.RY」が上昇傾向にあることを伝えていますが(星野源/aiko/あいみょんがTOP3に君臨、注目の新鋭勢が上位目指し善戦【エアモニ】 | Musicman(2月24日付)参照)、この情報は不完全ではないかと考えます。

YUIさんのセルフカバーアルバム『NATURAL』に収録された6曲はすべて、OA解禁日時と初OAする番組(放送局)が設定され、2月11日に事前アナウンスしています。

『TACTY IN THE MORNING』

放送局:FM802

放送日時:2021年2月16日(火) 6:00~11:00

解禁曲:「CHE.R.RY」

これだけラジオに力を入れているとなると、「CHE.R.RY」のセルフカバーバージョンが上昇するのは必然と言えます。代表曲であり、またTHE FIRST TAKE FESでも披露されているわけで尚の事です。

しかしここで問題が。先述したチャート推移をみると「CHE.R.RY」は昨年以前からランクインしています。つまりビルボードジャパンソングスチャートではオリジナルバージョンとセルフカバー版双方の「CHE.R.RY」が合算されていることになるのです。この合算問題については今週、テイラー・スウィフト「Love Story」について述べたばかりであり、連続で発生していることに(なお、テイラー・スウィフトにおいてはセルフカバー版は「Love Story (Taylor's Version)」と表記されます)。

テイラー・スウィフトにおける問題発生時には『ビルボードジャパンソングスチャートの他指標ではきちんと分けられているものの、プランテックが誤って混同したデータをそのままラジオ指標に換算しただけなのかもしれません』と書きました(『』内は上記ブログエントリーより)。しかし今回の「CHE.R.RY」はTwitter等他指標も入っています。たとえば"YUI" "CHE.R.RY"のみならず、セルフカバーバージョン(NATURAL Ver.)と記載されたツイートもTwitter指標に加算されたのならば、合算はプランテックのみならずビルボードジャパンも行っていることになると言えるでしょう。ならば、テイラー・スウィフトを取り上げた際に比較として取り上げたDISH//「猫」および同曲のTHE FIRST TAKEバージョンは合算するのが自然では?他の曲も同様ではないか…そんな思いをやはり強く抱いてしまうのです。

 

先述したブログエントリーは『合算の基準について一度きちんと公表すべきだというのが私見です』と結んだのですが、より強い私見を申し上げるならば米ビルボードやグローバルチャートに倣いビルボードジャパンにおいても合算すべきではないでしょうか。そのほうが集計上においても煩わしさが軽減されるというメリットがあると考えます。その他にも合算すべき理由があり、以前記載しています。

ビルボードジャパン、そしてプランテックには合算の基準について一度きちんと公表してほしいと思います。同時に、現行における合算の曖昧さ(と指摘されてもおかしくない点)に気づいていただき、合算するかどうかについて一度議論していただきたいと切に願います。