イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

ずとまよ、yama、YOASOBI…THE FIRST TAKEが音楽業界に与えたインパクトの大きさを確認する

一発録りをコンセプトとするYouTubeチャンネル、THE FIRST TAKEのこのところの人選が凄いと感じずにはいられません。とりわけ、2月中旬の登場歌手には衝撃を受けました。

顔出しをしていないずっと真夜中でいいのに。(のACAねさん)が登場したTHE FIRST TAKE。公開から半月が経過した現在、444万を超える再生回数を記録しています。一昨日には「正しくなれない」も公開されました。

この人選、ユニバーサルミュージックからはTOMORROW X TOGETHERに次ぐ2組目の出演という点でも驚かされます。

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この1ヶ月におけるソニーミュージック率の低さを踏まえれば、THE FIRST TAKEがソニーミュージックの宣伝コンテンツの域を脱し、広く日本の音楽業界に影響を与えるツールになったと捉えています。これまでの出演者について、そしておそらくソニーミュージックの運営であることについては下記ブログエントリー等にて記載しています。

先に貼付したツイートで触れた通り、2月10日にはソニーミュージックからも強力作品がリリースされているのですが、にもかかわらず同日リリースのずっと真夜中でいいのに。を出演に至らせるのは凄い判断ではないかと。一方で「秒針を噛む」はずとまよの最新アルバム『ぐされ』には未収録の2018年作品。選曲権をチャンネル/歌手のどちらが持つかは分かりませんが、仮に前者が判断したとしたならばソニーミュージックの意向が少なからずあるのでは…そんな穿った見方が捨てきれない自分もいます(ただし2回目の出演となった水曜のTHE FIRST TAKEで披露された「正しくなれない」は『ぐされ』収録曲)。

 

とはいえ、ずっと真夜中でいいのに。の出演をTHE FIRST TAKE側が打診したことに対し、チャンネルの芯のブレなさを感じずにはいられません。これまでにYOASOBI(ikuraこと幾田りらさん。THE HOME TAKEとして)やyamaさんのライブパフォーマンスの場をいち早く用意したのが同チャンネルであり、それぞれ話題になっています。YOASOBIは昨年の『NHK紅白歌合戦』まで、yamaさんは2月19日放送の『ミュージックステーション』までテレビでのパフォーマンスがなかったことを踏まえれば、THE FIRST TAKEが如何に特別な存在であるかがよく解るのです。ずっと真夜中でいいのに。は『SONGS』出演こそあったものの、THE FIRST TAKE出演はやはり大きなインパクトがありました。

昨年5月15日にYOASOBI 「夜に駆ける」がTHE HOME TAKEにて公開されると、日本のSpotifyでは直後の日曜に初の17万台に達し翌週には20万を突破、今に至る大ヒットにつながっています。yama「春を告げる」は一時のピークが落ち着いた昨年12月18日に公開され、1日12万再生を割っていたSpotifyにおいて公開翌日に13万台へ回復すると、『ミュージックステーション』出演を経て2月21日には196714回再生まで上昇。THE FIRST TAKE出演が、曲の人気を押し上げる(もしくは再浮上させる)きっかけとなっているのです。YOASOBIのサブスク総再生回数が今月になって10億を突破しましたが、THE HOME TAKE出演が歌手の知名度を押し上げる大きなきっかけになったのは間違いないでしょう。

 

そのYOASOBIが本日公開のTHE FIRST TAKEに出演します。YOASOBIにとっては恩返し的出演と言えるかもしれません。

最新3月1日付ビルボードジャパンソングスチャートにおけるYOASOBIの動向をみると、「優しい彗星」が50位以内から転落しポイント不明となったものの、7曲がトップ50内をキープ。そしてこれらの曲は、ポイント前週割れであったとしても微減にとどまっています。

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これは最新チャートの集計期間前日に開催された配信ライブの影響が大きいと思われます。観た方は勿論のこと、観ていない方にとってもTwitterのトレンド入りでその存在を知り、またnoteによるライブレポートで疑似体験できたのではないか…これはブログで以前予想していたことでした(下記エントリー参照)。ライブ冒頭に据えた「あの夢をなぞって」が1ランクダウンの55位となったことは予想外だったものの、ライブ自体がYOASOBI全体のチャートアクションに大きな影響を与えたものと考えています。

そしてこのタイミングでのTHE FIRST TAKE出演は、披露曲のみならずYOASOBI全体への注目度のさらなる上昇につながるはずです。そのスケジューリングの巧さに感心するとともに、"歌手の全容が解らない、でも知りたい"と思う方の需要に応え続けるTHE FIRST TAKEの存在は、音楽業界にとってなくてはならないとあらためて強く感じています。