イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

「創造」「silent」「Luv Bias」…チャートアクション急上昇の理由を探る

昨日のブログエントリーに多くの反応をいただいております。心より感謝申し上げます。

インプレッション数は現段階で22000を超えており、いただいた反応のすべてが好意的なものでした。星野源さんによる「創造」が素晴らしいのは勿論のこと、そのプロモーションの新しい世界の"創造"もまた見事だということをあらためて実感した次第です。

 

その「創造」、サブスクサービスでも特筆すべき動きを示しています。

再生回数が開示されているSpotifyについて、日本における最新2月19日付デイリーチャート(→こちら)では前日の93779回から120339回に急上昇。これは2月18日深夜(おそらく3時頃?)から24時間の数字ですが、木曜から金曜にかけては基本的に再生回数が下降する曲が多く、トップ10入りした曲ではAwesome City Club「勿忘」以外はダウン。その中で「創造」が大きく数字を伸ばしたのは同曲がリリース直後であることもさることながら、昨日も述べたようにネット番組への出演が大きく寄与していることは間違いないでしょう。

特に『マフィア梶田中村悠一の「わしゃがなTV」』はブログ執筆の2月21日8時段階で84万を超える再生回数を記録し、同チャンネルの中でも人気番組となっています。同番組の影響力の大きさが、金曜の「創造」の上昇に寄与したと考えるのは自然なことと言えます。

また所属レコード会社では「創造」の購入および接触者向けのキャンペーンも実施。こちらも次週のチャートアクションに影響するでしょう。

 

 

複合指標から成るビルボードジャパンソングスチャートや先述したSpotify等で時折急上昇を果たす曲に出会うとその動向が気になり、理由を探りたくなるものです。

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クリスマスソングとして人気のSEKAI NO OWARI「silent」はクリスマス後にビルボードジャパンソングスチャートでダウンするも、その動きはなだらか(最もはっきり急落したと言える指標はラジオでしたが)。しかし最新2月22日付ソングスチャートでは総合で1ランクアップ。特にフィジカルセールス52位、ダウンロード73位と、共に前週の100位圏外(300位以内)から急浮上を遂げています。

最新のビルボードジャパンアルバムチャートではSEKAI NO OWARIのベストアルバム『SEKAI NO OWARI 2010-2019』が初登場で首位に立ち、リリースに合わせて『CDTVライブ!ライブ!』ではセカオワフェスと題した長尺ライブが披露されましたが、ライブで披露された「silent」はベストアルバム未収録。アルバムは当初昨年リリース予定だったもののコロナ禍で延期となっており(音楽ナタリーの記事参照)、「silent」の未収録は自然なことと言えますが、テレビやベスト盤リリースの影響でアルバム購入者が「silent」も手に取りたいという欲求が生まれ、今回の所有指標拡大に繋がったと言えるでしょう。

 

その「silent」はTBS火曜ドラマ『この恋あたためますか』主題歌でしたが、後番組『オー!マイ・ボス! 恋は別冊で』主題歌となるKis-My-Ft2Luv Bias」にも特筆すべき動きが出ています。

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チャート推移(CHART insight)の赤の折れ線で示される動画再生指標が急進し、最新2月22日付ビルボードジャパンソングスチャートでは同指標が12位まで上昇。この動きは前作「ENDLESS SUMMER」では見られなかったものです(同曲のCHART insightはこちら)。Kis-My-Ft2が所属するジャニーズ事務所の他の歌手も最近は短尺版ながらミュージックビデオをアップする流れが徹底されておりその認知度が上昇したこともあるでしょうが、ドラマ主題歌であることが接触指標に拍車をかけていることは間違いないでしょう。特にこの火曜ドラマ枠の主題歌の強さは以前記しており、ならば「Luv Bias」のデジタル解禁は必須だということを述べてきました。

記事内にもあるように、ドラマ視聴率は安定して推移し、「Luv Bias」のテレビパフォーマンスも相俟って動画再生の伸びに繋がっていることは確実と言えます。これをデジタルへの柔軟な姿勢に活かしチャートアクションをより好くしていけるかどうか…レコード会社は勿論のこと、なにより芸能事務所であるジャニーズ事務所の姿勢が問われています。