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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

宮本浩次『ROMANCE』が好調をキープ、トップ10返り咲きに貢献したのはレコードだった

宮本浩次さんによるカバーアルバム『ROMANCE』が引き続き好調です。この作品については、ビルボードジャパンアルバムチャート登場3週目の段階で一度紹介しました。

先週水曜に発表された2月8日付ビルボードジャパンアルバムチャートにおいて、『ROMANCE』は登場11週目にしてトップ10返り咲きを果たしています。

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ビルボードジャパンアルバムチャートはCDセールス、ダウンロード、およびルックアップ(パソコン等にCDを取り込んだ際、インターネットデータベースへアクセスされる回数)で構成されていますが、最新2月8日付におけるトップ10返り咲きには完全生産限定盤となるアナログ盤の売上が大きく牽引。弊ブログでは分かりやすくCDセールスと書いてはいますが、こちらはフィジカル全体の売上となります。

総合10位には宮本浩次の『ROMANCE』が前週14位から上昇してチャートイン。1月27日に『ROMANCE』のアナログ盤がリリースされたことにより、CDセールス指標が前週15位から当週11位に上昇している。また、ダウンロード指標も前週11位から当週4位に上昇している。

レコードセールスについては今週、ビルボードジャパンにて昨年の売上上位作品が記事になりました。最新週における『ROMANCE』のレコードセールスは不明ですが、受注生産分の数量次第では2021年の年間セールス上位10傑を目指せるかもしれません。

このレコードセールスがチャートに反映された他の例として、昨年の年間4~6位を占拠したKing Gnuが挙げられます。売上が初加算された昨年12月14日付ビルボードジャパンアルバムチャート(→こちら)において、『CEREMONY』(2020)が30→12位へ上昇し、他2作も前週の100位圏外から20位以内に返り咲いています。

レコード購入はコアなファン、そしてレコードの音の好さを知っている方が主体となっているものと考えられますが、最新週においてはダウンロードも少なからず伸びています(2月1日付における『ROMANCE』のダウンロード指標は11位であり数値は不明ですが、同日付における10位の数値は635であり(記事はこちら)、翌週における『ROMANCE』のダウンロードセールスが1割以上伸びていることが解ります)。レコードの到着やその評判等が『ROMANCE』のさらなる起爆剤になったと言えるかもしれません。

 

 

『ROMANCE』のロングヒットによって様々なメディアに取り上げられるようになり、それがアルバムの成績に反映、さらにメディアに…という好循環が生まれていると思われます。今年、MY FIRST STORYのHiroこと森内寛樹さんが初のソロアルバムにしてカバー集となる『Sing;est』をリリースしましたが、今週月曜のテレビ番組にて両者のカバー企画共演が実現したのも、その好循環の好例と言えるでしょう。

放送日となる2月8日は、来週水曜に発表される2月22日付ビルボードジャパンアルバムチャートの集計期間初日。しばらくは『ROMANCE』のチャートの行方から目が離せません。

 

 

以前宮本浩次『ROMANCE』のチャートアクションについて取り上げた際、その好調の理由として【①カバーアルバムが一周回って新しいと感じられたこと、②相次ぐメディア出演により話題性を維持していること、③アルバムの中長期的な戦略が功を奏していること】の3つを提示しました。アナログ盤リリースは中長期的な戦略スパンの一環となり、チャートアクションに反映されることでメディアでの取り上げや出演も増え、『CDTVライブ!ライブ!』の企画等でカバーの好さが知れ渡る…『ROMANCE』のレコードリリースはすべて好い方向に動いたのではないでしょうか。

 

『ROMANCE』は昨年度のビルボードジャパン年間アルバムチャート(→こちら)で74位に登場。こちらは週間チャート1週目のみの数値に因るものであり、2021年度においては登場2週目以降の成績が反映されます。『ROMANCE』がさらなるロングヒットに至れば年間チャートの上位進出、そしてカバーアルバムでの『NHK紅白歌合戦』出場も十分あり得るのではないでしょうか。