今日発表されるビルボードジャパンソングスチャートではLiSA「炎」の首位獲得は確実…そのことはこの1週間強で幾度となく記載していますが、注目すべきはその翌週以降の数値でもあるのです。そう考える理由を、ふたつのチャートを用いて紹介します。
まずはサブスク再生回数の動向。LINE MUSICに比べてチャートの駆け上がりが遅いSpotifyで、「炎」は急上昇を続けています。
【@SpotifyJP 最新動向】10月18日までの日本のSpotifyデイリーチャートを踏まえ上位曲から10曲を選出しグラフ化。#DISH//「#猫」は参考として2バージョン合算値も用意。#BTS(@BTS_jp_official @BTS_twt)「#Dynamite」が史上初の32万突破、#LiSA(@LiSA_OLiVE @LiSA_STAFF)「#炎」が登場1週間で22万台に pic.twitter.com/HL3h6FNMgJ
— Kei (@Kei_radio) 2020年10月19日
この日本におけるSpotifyのデイリー再生回数、通常は平日より土曜、土曜より日曜の再生回数が多く、週末の金曜は他の平日より下がるというのが一般的な流れですが、LiSA「炎」は金曜以降大きな伸びを示しています。
#LiSA(@LiSA_OLiVE @LiSA_STAFF)「#炎」は金曜以降連日、前日から4~6万増加。「#紅蓮華」も金曜以降連日2万前後増加し、10月18日付では「紅蓮華」がデイリー最高となる再生回数を記録。間違いなく #鬼滅の刃無限列車編 効果といえます
— Kei (@Kei_radio) 2020年10月19日
さらに10月19日月曜は前日から3万以上伸ばし、同曲初の26万台に突入。
赤い折れ線で示したのがLiSA「炎」ですが、この急上昇はとんでもないことです。いや、濃い青で示した米津玄師「感電」こそより急勾配で上昇しているのですが、こちらは曲の発表直後ではなくアルバム『STRAY SHEEP』リリースタイミングでの解禁(Spotifyの日付の区切りの関係上、前日にもランクイン)であり、かなり認知度が高い状態で解禁したため。「炎」はその「感電」並のペースで上昇していると考えれば、その勢いの凄まじさが解るはずです。
そしてさらなる注目は、米ビルボードが先月新設したグローバルチャート、最新10月24日付における高位置での初登場。
米ビルボードが先月新設したグローバルチャート、日本人歌手の成績をみると。
— Kei (@Kei_radio) 2020年10月20日
Global 200 https://t.co/bS8hbRPoQK では
・初登場62位 #LiSA「#炎」
・82→78位 #YOASOBI「#夜に駆ける」
無料会員が確認可能な100位までに2曲ランクイン
Global 200から米分を除いた Global Excl. U.S. https://t.co/4GLNtkls01 では
— Kei (@Kei_radio) 2020年10月20日
・初登場21位 #LiSA「#炎」
・38→39位 #YOASOBI「#夜に駆ける」
・64→74位 #DISH//「#猫」
・143→85位 #LiSA「#紅蓮華」
・91→88位 #NiziU「#Makeyouhappy」
無料会員が確認可能な100位までに5曲ランクイン
2種類のグローバルチャートについての特徴は以下に。
2種のグローバルチャートはストリーミングとダウンロードの2指標で構成。また、下記についてはビルボードジャパンから断言は得られなかったため自己判断ではありますが、
— Kei (@Kei_radio) 2020年10月20日
・米ビルボードに倣いリミックスを合算
・全世界的に金曜集計開始
となりますhttps://t.co/gWRPheHbiv
このチャートにおいては以前、嵐「Whenever You Call」がGlobal 200で51位、Global Excl. U.S.では17位に初登場しており、LiSA「炎」は「Whenever You Call」に次ぐ順位となっています(Global 200においてはYOASOBI「夜に駆ける」の最高位に並んでいます)。「Whenever You Call」は翌週、両チャートにおいて少なくとも100位以内からは姿を消しましたが、一方の「炎」はさらなる上昇が予想できるのです。
その理由は、このチャートが木曜までのデータに伴うため。次週(日本時間の10月27日に発表される10月31日付)の集計期間は日本における映画『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』の公開日が初日となるのですが、映画は公開日からの3日間で興行収入が46億円を突破する大ヒットを記録しています。
【映画動員ランキング】「鬼滅の刃」初週で動員1位、興収46億円!「スパイの妻」なども初登場https://t.co/4XFKbyS888
— 映画ナタリー (@eiga_natalie) 2020年10月19日
#映画ランキング #鬼滅の刃 #夜明けを信じて #スパイの妻 #みをつくし料理帖 pic.twitter.com/NnjaRAq7ZQ
この盛り上がりはSpotifyデイリー再生回数の大幅な伸びに大きく反映され、月曜はこの記録がアナウンスされたことで尚の事再生回数が伸びたものと思われます。昨日昼には「炎」のミュージックビデオが1000万回再生を突破。映画熱はこれら接触指標群のみならず、所有指標(特にダウンロード)にも反映されていくことでしょう。
【祝】🔥🔥LiSA「炎」MVがついに1000万回再生を突破!🔥🔥
— LiSA_STAFF (@LiSA_STAFF) 2020年10月20日
「LEO-NiNE」のリード曲「play the world! feat.PABLO」のMVも100万回再生を突破!
ありがとうございます!
▼「炎」MVhttps://t.co/tqs9MVLt6j
▼「play the world feat.PABLO」MVhttps://t.co/XYvwxQtHnH#LiSA#レオナイン#炎ほむら pic.twitter.com/OzVGP5ub67
LiSA「炎」の急激な伸びは、社会現象化した『鬼滅の刃』の影響によるものもあれど、LiSAさんサイドがこの「炎」およびアルバム『LEO-NiNE』リリース週に様々な訴求を行ったことが間違いなく反映されているはずです。
映画のヒットのみならず作品の訴求を徹底させたことが、米ビルボードグローバルチャートにおける次週のさらなる上昇につながるというのが私見。とはいえ、Global Excl. U.S.でトップ10を狙えるのではという考えは早計かもしれません。「炎」はほぼ日本のみでヒットしており、「炎」のみならず日本人歌手の曲が世界中でヒットする曲と対峙するのは厳しい状況です。しかし、10月24日付Global Excl. U.S.で首位を獲得したBTS「Dynamite」はストリーミングが6230万そしてダウンロードが12000であり、日本では未だ諸外国よりダウンロードが高いことを踏まえれば、ストリーミングの高くなさをダウンロードが補う形で次週のさらなる上昇が見込まれるものと考えます。
今日発表される最新10月26日付ビルボードジャパンソングスチャートでは首位登場が予想されますがそのポイント数が非常に気になります。さらにはサブスク(の中でも数値が可視化されているSpotify)の今後の動向、そして世界中の主なデジタルプラットフォームで購入ならびに接触された数に基づくグローバルチャートでの次週のチャートアクションが楽しみです。そしてそれら動向を踏まえれば、次週11月2日付ビルボードジャパンソングスチャートでの連覇もあり得るのではないでしょうか。
最後に。
ビルボードジャパンのフィジカルセールスチャートが月曜発表され、シングル/アルバムの双方をLiSAさんが制したとアナウンスがありました。
【ビルボード】LiSA『炎』が65,000枚でSGセールス首位 Snow Manは100万枚目前 https://t.co/oGrXtN5f8t pic.twitter.com/tRPJq6OR3f
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2020年10月19日
【ビルボード】LiSA『LEO-NiNE』が66,165枚でALセールス首位 和楽器バンド/BLACKPINKが続く https://t.co/9eVLJKLJr1 pic.twitter.com/mtEors9Hny
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2020年10月19日
しかし、このフィジカルセールスに対するリアクションは、翌日発表されたオリコンランキングに対するほうがより目立っているように思います。
LiSA、令和初のシングル&アルバム同時1位獲得 女性アーティスト歴代10組目に「すごい歴史に名前を刻ませていただけてうれしい」【オリコンランキング】(写真 全3枚)https://t.co/Hzg5ijmE9z
— ORICON NEWS【アニメ】 (@oricon_anime_) 2020年10月19日
#LiSA #鬼滅の刃 #新譜 #オリコン #紅蓮華 #炎 #LEONiNE @LiSA_OLiVE @kimetsu_off
ただ、そのリアクションの中に、10万に満たないシングルセールスをもって評価に値しない、CDが売れなくなった的な声が散見されたのはあまりにも悲しいことです(特にこちらのニュースへのリアクションにおいて)。フィジカルのみならずデジタル、所有のみならず接触についても捉える多角的な視野を持ち合わせてほしいと願うと共に、そのようなマイナスイメージを堂々と載せられる方は、たとえば自身が好きな歌手の作品が思うほど売れないと考えればファンを辞めるのか、そもそもフィジカルリリースしていない歌手の作品は評価しないのか等を考えてほしいと強く思います。そして同時に、認知度でオリコンに未だ敵わないかもしれないビルボードジャパンは、複合指標から成る自身のソングスチャートがより社会的なヒットの鑑となっていることを示すべく、訴求を徹底してほしいと強く願うのです。