ラジオが盛り上がってきたとの声は以前から聞きます。『日経トレンディ』最新11月号でラジオが特集される等、ネット時代にあってラジオが見直されているという声をあちこちで耳にします。
日経トレンディ11月号、本日発売!木村拓哉さんの表紙が目印です。巻頭特集は「ラジオ」。2000人超のアンケートをもとにした「好きなラジオ番組ランキング」など必見!他にも「2020年下半期食品ブレイク予測」など盛り沢山の内容です。https://t.co/SOyP0w7My4 pic.twitter.com/v6LevuvJSb
— 日経トレンディ (@Nikkei_TRENDY) 2020年10月2日
では、その人気の尺度を測る物差しは何でしょう。質の高さを示す賞の存在もありますが、受賞する作品は社会問題を取り上げた特別番組が多くレギュラー番組に光が当たりにくい印象。ならば単純に数で測るべきかもしれないのですが、radikoのアクセス数も見えてこない上、それ以前から長きに渡って調査されている聴取率の結果がほぼ可視化されないのは由々しき事態だと思うのです。
9月に行われた首都圏ラジオ局の聴取率調査の結果はTBSラジオ、ニッポン放送そしてJ-WAVEの同率首位となりました。しかし下記リンク先では日刊文化通信速報の定期購読者のみが内容を確認できる仕様です。
またTBSラジオ、ニッポン放送はそれぞれ、聴取率トップ獲得を自社のホームページ内で掲示しましたが、こちらもサイトの登録者のみ見られる仕様であり一般のリスナーは確認できません。
聴取率は今後の営業における武器になることを踏まえればばセールス向けに用いるので十分かもしれませんが、リスナーには(数字の面から)どの番組や局が人気かが見えてきません。ゆえにどの番組を聴けば好いかの判断基準が解らず、ラジオ全体の活性化の機会を自らフイにする行為をラジオ業界全体が行ってしまっているのではと強く危惧するのです。
一方で、限られながらも報じられるその内容にも問題が。ラジオニュースに長けラジオへの愛情も感じるオリコンですが、その聴取率報道には偏りがあります。
『オードリーANN』聴取率でV27達成 ナイナイ、乃木坂、佐久間Pも好調https://t.co/eJMBxKXgQQ
— ORICON NEWS(オリコンニュース) (@oricon) 2020年10月8日
#オードリー #ラジオ #ニッポン放送 #annkw #ナインティナインANN #乃木坂46ANN #佐久間宣行ANN0 @1242_PR
自分は8月期(9月実施)の聴取率調査の結果について、まずは上記およびマイナビニュース・ラジオのツイートで知りました(マイナビニュース・ラジオは後に記事化)。しかしオリコンもマイナビニュース・ラジオもあくまでニッポン放送が首位に立ったという一側面からしか語っていません。オリコンで”聴取率”にてニュース検索すると昨年12月の調査以降は今回同様ニッポン放送の視点からのみ報じられており、おそらくニッポン放送側から出るソースをほぼそのまま流している点において客観性に欠けていると感じます。仮に客観的視点を持ち合わせていると自負するならば、8月調査週の開始日に新番組をスタートさせたことに対し疑義を示すことこそ報道する者の使命だとも思うのですが。
オリコンやマイナビニュース・ラジオには客観的視点を持ってほしいと願いますが、とはいえこれらメディアが取り上げることがラジオ業界の盛り上げに一役買っていると歓迎するならば、次回調査での首位陥落も予想されるTBSラジオがニッポン放送並に自社ニュースを外部に示す必要があると考えます(これはニッポン放送以外のラジオ局全体にも言えることですが)。オリコン等のみならず、radikoのTwitterアカウント発のニュースもニッポン放送を取り上げる機会が多い印象があるので尚の事。ニッポン放送は聴取率調査週間をスペシャルウイークと題して10月期も豪華ゲストの用意や特番編成(およびレギュラー番組休止)を行うはずで、個人的にはこの姿勢を以前から疑問視していますが(私見については上記ブログエントリー参照)、同局がオリコン等へ積極的な情報提示を行うことが良好なコネクションを築き、報道メディアにおけるニッポン放送優遇を招いているのでしょう。
他局の情報提示も大切ですが、しかし最大の解決策は聴取率の結果をきちんと開示することにあるはずです。首位獲得局からの発表ではなく、聴取率を調査するビデオリサーチ社がテレビ視聴率同様に行うべきではないでしょうか。報道に偏りが生まれる理由は、データに客観的にアクセスできないため主観で報じていいという思考が暗躍するためではないかと考えるに、このビデオリサーチ社の姿勢も含めてラジオ業界がきちんとデータを示すべく変わらなければいけません。